前回からの続きです。
今年の6月にオークションで落札した「JBL LE8T 16Ω 初期型 フルレンジ 名機 完動品 ペア」
とても有名なユニットなのでもう語りつくされた感があるが、改めてオーディオ界の大御所「菅野沖彦」氏のコメントを紹介しておこう。
「このスピーカーの素晴らしさは積極的に訴えかけてきながらバランスを損なわないで、きちんと全帯域にわたってコントロールされている点ですね。マルチウェイシステムに比べれば周波数レンジは狭いわけですが、それほどレンジの狭さは感じさせない。
特に高音域の繊細な弦の感じは不満なく出てくるんです。それに中音から低音にかけての積極的な押し出しもよく再現されますので、とりたててどこかに欠陥があるかと探しても見当たらないわけですね。やはり全帯域型としてもっともウェルバランスでしかも万人が納得せざるを得ないようなソースの質感を素直に出してくれるスピーカーという感じです。」
以上のとおりだが、自分の感想は「口径20センチのメリットをフルに生かしたスピード感あふれるサウンドで、イギリス系のユニットにはない良さがある。」と、とても重宝している。
鳴らし方としては当初はフルレンジで鳴らしていたが紆余曲折があって今では変則3ウェイへ。
つまり、LE8Tはフルレンジで鳴らし、低音域は「160ヘルツ以下」を「D123」(口径30センチ:ウッドホーン入り)で補強し、高音域は「075」ツィーターでかすかに付け加えるというもの。
当初に聴いたときは高音域がちょっとうるさく思ったが、そのうち耳の方が慣れてしまって違和感なく聴いていたのだが、この23日(土)に仲間たち(大分市)に来てもらい試聴してもらったところ口々に責め立てられた。
「高音域がうるさすぎる!」
「ジャズを聴くのなら高音域はこのくらいうるさい方がいいと思いますよ。」と強がりを言ったものの、お帰りになった後でやっぱりそうかなあと、急に自信喪失(笑)。
オーディオの場合、ファースト・インプレッションはとても大切のようだ。
なぜなら人間の耳は実に都合よくできていて当初は音質に違和感を持っていても聴いているうちに勝手に耳(脳)の方にバイアスがかかってきて次第に「いい音」のように思えてくるのが通常だから。
「直感は過たない、誤るのは判断だ。」とは文豪「ゲーテ」の言葉だが、まことに正鵠を射ている(笑)。
こういうことがあるから、やはりときどきは「よそ様」の耳を借りる方が我が家のケースでは総じてうまくいくようだ。
実は、後になってから一つ思い当たることがあって、それは仲間がやってくる直前にWE300Bアンプの出力管を、やや「へたり気味」の「1951年製」から元気のいい「1988年製」に換えたこと。
「ええ格好しい」というか、欲を出し過ぎた罰が当たったようで、かえって逆効果だった(笑)。1951年製300Bオールドの渋さはやっぱり伊達じゃなかった。
総じて、今回の場合、低音域の補強は実にうまくいったのだが、ツィーターの使い方の難しさを改めて痛感したことだった。
この「LE8T」も「AXIOM80」ほどではないが簡単には鳴ってくれず、いろいろ勉強させてもらっていて実に弄り甲斐のあるユニットである。
以下、続く。