前回からの続きです。
仲間たちから「高音域に難あり!」と指摘があった「オールJBLの変則3ウェイシステム」だが、その後一心不乱になって対策を講じた結果、ようやく次により決着を見た。
まず、アンプの方の出力管をWE300B「1988年製」から「1951年製」に戻す。二番目の対策はフルレンジユニット「LE-8T」をネットワークを使って「8000ヘルツでハイカット」(12db/oct)する。
一方「075」はマイカ・コンデンサー2個(0.075μF×2)を使ってローカットした。
これが楽屋裏からみた画像になる。
効果絶大で、ジャズもクラシックもバッチリ(笑)。
「075」ツィーターは能率が「108db」と、とても高いので微小値のマイカ・コンデンサーと組み合わせると、どんな中高音域を受け持つユニットにも合わせやすいのが利点。いまだにオークションで高値を付けているのもよく分かる。
難点は音がやや暴れ気味のところがあるが、我が家ではカバーしているステンレス削り出しホーンが超重量級(お値段は35万円ですぞ!)だけあって、重たくて澄み切った高音が出るので大満足。
それでは次の話題に移ろう。
今年は真空管式のプリアンプに恵まれたことも特筆すべき事柄だった。
いつぞやのブログで「プリアンプ不要論」を滔々とぶったが、これは明らかに若気の至りだった(笑)。
現在の心境は「プリアンプが要るも要らないもその性能次第で左右される。良ければ使った方がいいし、悪いときは外した方がいい。」に尽きる。
☆ 真空管式プリアンプの導入(6月)
今年の3月に知り合ったオーディオ仲間のMさん(大分市)のおかげで巡り会ったのが「クリスキットのマークⅥカスタム」。
このシリーズの生みの親である「桝谷」氏によると、「プリアンプに限っては真空管を増幅素子にしたものに限る」そうだ。
振り返ってみると、マーク・レヴィンソン(No.26SL)などの有名どころも織り交ぜていろいろ試してきたが、個人的にはこの説に大いに賛同する。真空管式以外のプリアンプは音の艶とか柔らかさとかがどうしても物足りない。
このプリアンプはレコード用のフォノイコライザー付きで、「12AU7」を6本使っているが、あらゆる点で不満がまったく出てこないプリアンプである。
ただし、Mさんによると「クリスキットシリーズのプリアンプのうち完成度が最も高いのは最後のマークⅥのカスタムです。これ以外は欠点がいろいろあって使わない方がいいですよ。」
現在、我が家の唯一の大型システム「D130・イン・ウェストミンスター+AXIOM80」専用に使っているが、このところ相次いでお見えになったお客さんたちから絶賛を博しているのもこのプリアンプのおかげといっていいぐらい(笑)。
続いて、
☆ 2台目の真空管式プリアンプ
「J.D.S(ジャディス)の回路が余っています。」とのことだったので、こちらからシャーシを提供してMさんから作っていただいたプリアンプがこれ。
現在は中小型のスピーカー「AXIOM80」「ワーフェデールの2ウェイ」「変則JBL3ウェイシステム」専用に使っている。
通常のプリアンプによく使用される「12AX7」を6本使った回路だが、例によっていろいろな真空管を差し替えて試してみた。12AU7,12AT7、E80CC、E180CC、そして本家本元の12AX7など。
この中でベストマッチングは「E180CC」だった。「μ(ミュー)=増幅率」が50前後の球だが、レンジ、スピード感、艶などのバランスがとても良かった。
ただし、この「E180CC」にもいろんなブランドがあって現在手元には「フランス製」、「AMPEREX」(アメリカ)、「ムラード」(英国)、「VALVO」(ドイツ)があるが、画像一番左側のフランス製が一番相性が良かった。
フランス製の真空管といえば世間的になじみが薄いようだが、これまで「VISSEAUX」(「2A3」刻印)を含めて、いろいろ使ってみたが一度もハズレたことがなく、独特の味があって好印象を持っている。
この辺を、古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」に率直にぶつけてみると「仰る通りです。フランス人は料理にもうるさいし、独特の感性があるみたいですよ。私もフランス製の球は大いに注目しています。」
以上、これらお気に入りの2台のプリアンプの共通点といえば真空管を6本使っていることにある。2本式、4本式に比べるとやはりそれなりの質感が音質に出てくるように思っている。
以下続く。