前回からの続きです。
愛知県からお見えになったSさんの鋭い耳に敬意を表しつつ、その一方では大いに当てにしながら(笑)、我が家を代表する「PX25シングル」アンプと「WE300Bシングルアンプ」の両方を試聴してもらったところ次のようなコメントだった。
「WE300Bはオーディオ的にはいい音だと思いますが、やや派手な音で前に出てきますね。クラシック音楽としての表現力からするとPX25の方が一枚上手ではないでしょうか。私はPX25の方が魅力があって好きです。」
そうなんですよねえ、仰ることはよく分かります(笑)。
我がオーディオ仲間のうちでも「PX25」派と「WE300B」派とに見事に色分けされるのがとても興味深い。前者を純粋なクラシック派とすれば後者は「何でもあり」派ともいえよう。
どちらがいいとか悪いというものではないものの、かくいう自分はといえば「ワーフェデール」を鳴らすときは「PX25」が好きだが「AXIOM80」を鳴らすときは「WE300B」が好きで、これはもう完全な日和見主義者である(笑)。
ちなみに、このPX25アンプはつい先日、出力管1本がオシャカになったのを機に整流管を直熱管から傍熱管(コッサーの太管「CV378」)に換えてから一段と音が澄んできた気がしている。
まことに「災い転じて福となる」あるいは「ピンチはチャンス」だった(笑)。
2時間ほどの試聴だったがSさんがお帰り際に遠慮がちにこう申された。
「これだけワーフェデールでヴァイオリンがうまく鳴ると、JBLの混成旅団がどう逆立ちしたってヴァイオリンの響きは追い付けそうにないですよ。むしろヴァイオリンに拘らずに管楽器をうまく鳴らす方向で調整されたらいかがでしょうか。これだけの大型システムですと音の余裕度がまったく違いますから、このままではもったいない気がします。」
いかにもトランペットが大好きなSさんらしいお言葉である。
翌日(29日)の午前10時に再度来訪されることを申し合わせて、Sさんがお帰りになった後で沈思黙考すること10分あまり。
それもそうだ・・・。どうしても大味になる大型システムでヴァイオリンをうまく鳴らそうなんて欲張り過ぎかもしれない。クラシックとかジャズとかに拘らず管楽器をうまく鳴らす方向で考えると面白いかもね~。ワーグナーの楽劇あたりは管楽器の迫力次第のところがあるし、さぞかしゾクゾクくるかもねえ。
ここで前回のブログの冒頭部分で張った「伏線」が生きてくる。
つまり、仲間の影響を受けやすい傾向にあるのが良くも悪くも我がシステムの特徴なのである(笑)。
そういうわけで「JBL175ドライバー」の再登板となった。交換するのに5分とかからず、あとは能率がメチャ高いユニット(108db)なのでパワーアンプのボリュームを若干絞るだけ。
大分市内のホテルに宿泊され、きっかり翌日(29日)の10時にお見えになったSさんに、「ほら、1000ヘルツ以上はこうしましたよ。」と第一声。
「あれぇっ!」
さっそくSさん持参のトランペットのCDを聴くと「これ、これ、やっぱり管楽器の表現力はJBLのホーン付きドライバーに限りますよ!」
それからは、この際とばかりいよいよ待望の「アンプ転がし」に入った。
このシステムはチャンデバを使って2ウェイマルチで鳴らしているが、中高音域(1000ヘルツ以上)を担当している「471A(デフォレ)シングル」(前段管:MH4(メッシュプレート)」は175ドライバーと相性抜群なのでいっさい変える気はない。
問題は中低音域(~1000ヘルツ)を担当しているJBLのD130(イン・ウェストミンスター)を駆動しているアンプ「171Aシングル」(前段管:6SN7)で、次の2台のアンプと交換して比較試聴してみることにした。
まずは「371Aプッシュプル」、次は「エレハモ300Bシングル」(モノ×2台)となったが、それぞれにいい面と悪い面があって「帯に短し、たすきに長し」(笑)。
たとえば171Aシングルはボーカルはとてもいいが低音域の沈み込みがやや物足りない。371Aプッシュプルは量感が十分だが音が膨らみ過ぎて175ドライバーのスピードについていけない。箱が大きいせいだろう。「エレハモ300B」は無難過ぎてやや個性に乏しいといった具合。
まあ、これからはその日の気分次第で入れ替えることにしよう(笑)。
そうこうするうちに丁度お昼時になったので市内のレストランに繰り出したが、ちょうど連休中とあって市内の幹線道路は県外ナンバーで大混雑なので遠回りになるが裏道を抜けた。
昼食後に半年後の再会を約束してお別れしたが、Sさんはこれから福岡の実家に戻られ、連休後に愛知県に戻られるという。
「次回はおそらくあまりシステムは変わっていないと思いますので期待薄ですよ~。」と、述べたが、何しろ今後のオークションでの掘り出し物次第なので、はたしてどうなっていることやら(笑)。