「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

木村好夫の魅惑のムードギター

2018年05月10日 | 音楽談義

 つい先日のこと、行きつけの「運動ジム」で備え付けの朝日新聞(2018.5.4)を読んでいたら第一面の「天声人語」に次のような記事があった。

「前略~ギブソンが経営破綻した。ギター市場が縮小するなか、活路を求めて音響機器へと事業を拡げたがうまくいかなかった。名門企業の落日である。

ジミー・ペイジ、ジミー・ヘンドリックス・・・。かっては若者が神様とあがめる奏者が何人もいたが、今は見当たらくなったと米紙が指摘していた。

音楽に目覚めたらまずギターを手にする時代は終わってしまったのか。ギターが前面に出ないヒップホップの隆盛なども響いているようだ。

<たった一つの音だけで誰かを崖っぷちから救い出したり、恋人たちを寄り添わせたり・・・>。ギターの持つ力について名手のカルロス・サンタナが述べている。戦争を終わらせることだって可能だと「エレクトリック・ギター革命史」。

聴く人の気持ちを揺り動かす力は、もちろん多くの楽器にある。それでも、ギターだけが持つ魔法があるような気がするのは、なぜだろう。」

以上のとおりで、ギターの名門「ギブソン」(アメリカ)がいったん債務整理を図って今後はギター製造に専念するというお話だが、この文章の中のポイントといえば最後の「ギターだけが持つ魔法があるような気がするのはなぜだろう」という箇所。

いわば、ギターの音色は格別の趣があるというわけだが、
実にタイミングよく自分も似たような体験をしたので述べてみよう。

ギター奏者
「木村好夫」と聞いてピンとくる方はどのくらいおられるんだろう。

「美空ひばり」など大歌手たちの伴奏をしていた、いわば当時の第一人者であり「黄金の指を持つ男」と称されたが亡くなられてからもう20年ほどになる。

BS放送で深夜番組「音楽のある風景」というのがあるが、先日「木村好夫」特集をやっていた。

題して「ムードギター昭和歌謡百選 木村好夫」という番組で録画して後で視聴したところ、ギターの音色がすこぶる哀愁味を帯びていて大いに琴線に触れるものがありウットリ聞き惚れた。大好きなヴァイオリンにもない独特の表現力がとても新鮮に感じた。

それに「昭和歌謡」のノスタルジックなメロディーがとてもいい。それほど歌謡曲を好んで聴いてきたわけでもないが、自分の青春時代の記憶と分かちがたく結びついているのでたいへん懐かしくこれもまた大好きなモーツァルトとは違った良さがある(笑)。

「善は急げ」とばかり、すぐに注文して4日後ぐらいには到着した。

   

左側が5枚組、右側が3枚組で全部で8枚のCDだが、このところ毎日のように聞き惚れている。

ギターはどうしてこうも素敵な音色を出すんだろう!

ギターの魅力全開といったところだが、素人考えながら楽器は「叩く」「はじく」「擦(こす)る」「吹く」ことで分類されると思うが、ギターは「弦楽器」に分類されており「はじく」ことで音を出すので「撥(はつ)弦楽器」その一方、お馴染みのヴァイオリンは「こする」ことで音を出すので「擦(さつ)弦楽器」とされている。

木村さんの奏法は自称「ちりめんビブラート」とされるもので独特のアコースティックな響きがたいへん魅力的だが、使用されているギターは前述のギブソンではなくスペインの「ホセ・ルイス・ロマニョス」で、「ギターのストラディヴァリウス」と称されている。

道理で「素晴らしい響き」のはずだ(笑)。

スペインのギターといえばハードボイルド作家「逢坂 剛」氏(直木賞)の「カディスの赤い星」を思い出す。

いずれにしろ昭和20年代生まれのオーディオ愛好家にはぜひお奨めのCD全集だと思いますよ~。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする