「クラシックやジャズ、そしてオーディオは1950年代が黄金時代だった、あの頃はほんとうに良かったなあ。」と回顧する人は多い。
ただし、現代と大きく違うのは「インターネット」という文明の利器が利用できないことだった。
これは大きい。
オーディオの向上は自己に有益な情報をいかに収集するかにかかっているともいえるが、現代ではネット情報によりいとも簡単に貴重な情報が手に入るし、それにオークションが実に効果的なツールになっている!
我が家もその例にもれず現在使っているオーディオ機器の大半はオークションで手に入れたものである。
ここ20年ほど常にアンテナを張っているが、機器の調達のほかにも売り買いの相場を通じてオーディオの趨勢が把握できるところが実に面白い。
そこで、つい最近の顕著な例として高額で落札されたSPユニット二点を挙げてみよう。
☆ SPユニット「AXIOM80」(グッドマン:英国)
「フレームに塗装がしていない 初期の物です。ビビリもなく 修理歴もない 美品です。」と簡潔な説明付きで出品された「AXIOM80」。
落札日は3月11日(月)、落札額は「622、001円」なり!
高ッ!
たしかに、マグネット部分の角が丸いし「WEMBLEY MIDDX.」の印字は比較的初期の製品であることを示している。
それにしても62万円とは驚く。我が家のAXIOM80も最初期の製品との触れ込みで5年ほど前にオークションで落札したときは「36万円」だったので、今にしてみると随分安い買い物だったことになる。
このところ「AXIOM80」の相場が「うなぎ登り」のようだが、このユニットじゃないと出せない音がある一方で、現代は「マンション・オーディオ」の波及によって大型スピーカーの人気が凋落しており、その反動があるのかもしれない。
そしてもうひとつ、ネット情報でこのユニットの凄さが広く知れ渡ってきたことも挙げられる。
もちろん、このブログがその一つだとは言いませんけどね(笑)。
☆ JBL / AMPEX 150-4C 極上ペア
オークションの解説がちょっと長くなるがそのまま掲載させてもらおう。
「JBL最強ウーファーの誉れ高い150-4Cの、最初期ジムラン筆記体AMPEXラベルです。
JBLが初めてシアター向けに開発しWESTREX、AMPEXに供給したもので、375ドライバーや537-500ホーンとともにJBLを代表する銘ウーファーです。製造は年代から見て1954~56年頃です。
ラベルにBy AMPEXとあるのは、この時期にJBLがAMPEXにライセンス供与したためで、設計製造は正真正銘のJBLです。この後、AMPEXによるJBL買収はご破算になりますが、当時WESTREX、AMPEXブランドと同時にJBLブランドも並行して製造、販売されていました。
今回出品のものは、コーンやエッジに全くのへたりや痛みのない極上品で、コーンNo.も150-101のオリジナルです。コーン裏面の粗さやフィックスドエッジの仕上げから見て、製造当初のものと思います(定かではありませんが)。」
以上のとおりだが、数ある口径38センチのユニットの中でJBL「150-4C」の噂はかねがね聞いていたので落札価格に大いに興味を持っていたところ、結果は「52万5千円」なり。
まあ、そんなところですかね。やっぱりJBLファンの入れ込みようは半端ないですね(笑)。
ちなみに我が家のポリシーには口径38センチ以上のユニットは入っていない。
空気を前後に動かす量と負荷を考えただけで背筋がゾッとするし(笑)、音の反応が鈍いというかスピードが遅く感じるのでどんなユニットであろうとアウト。
せいぜい口径30センチまでが合格ラインで、「スケール感」と「繊細かつ緻密な再生」を天秤にかけた時に後者を優先させることにしているのがその理由。
つい最近もJBLの口径38センチ「D130」ユニットをオークションで委託処分したばかりだが落札価格は「5万円」だった。「150-4C」とは月とスッポンの価格(苦笑)。
しかし、いかに「150-4C」といえども価格的には「AXIOM80」に負けるのだから意外だ。
このことは「音を雄大に鳴らす」量的オーディオから「音の彫琢を愉しむ」質的オーディオの時代への移行を暗示しているのだろうか。
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