我が家の真空管アンプ群の中で、もし「ベスト1はどれですか?」と問われれば、どう答えようかと思うことがときどきある。
その日の気分次第に左右されるところもあるし、聴く音楽ソースによっても違うが、それらをいっさいおしなべて均してみたとするとやはり「300B」アンプに落ち着きそうだ。
現在、出力管を「WE300B」(1988年製)と「6A3」(1930年代製刻印付き)を交互に挿し代えながら楽しんでいるが、ケーブル類の交換などの周辺環境の変化に伴い、ますます存在価値を増しているのがWE300B。
「WE300Bはとても丈夫な真空管です。ごく控えめの動作に設定していますので、少なくともあなたが生きているうちは寿命が持つと思いますよ。」とは、このアンプを改造していただいた北国の真空管博士の弁だが、やはり高価な「WE300B」を常時使うのはちょっと抵抗感がある。
「高嶺の花はそれなりにそっとしておきたい」、マニアならこの心理お分かりですよね~(笑)。
そこで、「WE300B」に肉薄した真空管を新たに手に入れて常時使用にすれば精神衛生上すこぶるよさそうだ。
さて「WE300B」の類似管として製作された球は山ほどあると言っても過言ではない。中国製、チェコ製、ドイツ製、日本製などいろいろだが、それらの中で比較的音がいいとされているのは「スヴェトラーナ」(ロシア)である。
第二次大戦後、ドイツの技術者を連れて帰って軍事用の球を作っていたという由緒あるメーカーなので信頼度は上の部である。民生用と違って軍事用は人間の命がかかっているのでよりシビアなツクリが求められる。
そこで、めったにオークションに出品されないスヴェトラーナ製の300Bに対してアンテナを張っていたところ、ついに引っかかったのが次の球。
真空管の点灯時に「紫色の光」がほのかに垣間見えるのは真空度が高い証拠で、これでほぼ新品同様であることがわかる。
オークションの解説にはこうある。
「Svetlana スベトラーナ SV300B マッチドペア 釣鐘式 Sロゴ レア品の新品同様品です。98年5月のペア管です。
資料も少なくレア品の理由をご存知の方は非常に少ないと思いますが、
このSV300B(Svetlana)は旧ロシア・サンクトペテルブルグにあるスヴェトラーナの工場で製造された300Bです。
写真の本体自体の構造を見て頂ければ判断頂けると思います。
WE300B(ウエスタンエレクトリック)を忠実にコピーしたレプリカで上部のオムスビマイカや釣竿型フィラメント固定具まで再現しています。
ウエスタンエレクトリックWE300Bにも劣らない丁寧なつくりで繊細で透明感のある音質がとても素晴らしい真空管です。コレクターの方や音質の優れた300Bをお探しの方には是非手にして頂きたい品物です。
新品をおろして数十時間しか使用しておりませんのでまだエージングの段階かもしれませんが動作は良好な状態でございます。
フィラメントの断線も一切なくゲッターの残量も良好でございますので写真を御確認下さい。プリントの印字のかすれもありません。残念ながら箱とデータシートはありませんが、間違いなくマッチドペアのVS300Bでございます。」
以上のとおりだった。
出品者の説明を鵜呑みにするほど「お人好し」ではないつもりなので(笑)、さっそく「北国の真空管博士」に連絡してご判断を仰いだのは言うまでもない。
「今は手いっぱいなので夜中でも見ておきましょう。」
そして、その翌朝のこと・・。
以下続く。
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