前々回の「忖度する真空管アンプ」からの続きです。
来し方50年のオーディオ人生を振り返ってみると、自分から進んで能動的に行った取り組みは意外なことに空振りに終わるケースが多い。
その一方、故障などで余儀なくされた消極的な取り組みが望外の良い結果をもたらしてくれることが往々にしてあるのはいったいどうしたことだろうか。
これは我がオーディオセンスが冴えない証しなのだろうか(笑)。
実は今回もそうだった。
「不作為は(オーディオの)神の思し召し」ともいえる今回の因果関係を振り返ってみよう。
SPユニット「トライアクショムの故障」 → 「修理完了後にその性能を試すための箱の入れ替え」 → 「箱から追い出された初期版のAXIOM80と復刻版のAXIOM80との入れ替え」
この「玉突き衝突」の結果が我がオーディオ人生の集大成に肉迫してこようとは当初は夢にも思わなかった。ちょっと大げさかな(笑)。
復刻版とは明らかにコーン紙の色が違いますねえ。もちろん、ユニットの生命であるコーン紙の重さやマグネットも違いますよ~。
そして、実は「音」の方にも天と地ほどに開きがあったのである!
第一に音がメチャ柔らかくなった。実にしなやかで音の彫琢といい色艶といい思わず息を呑むほどの美しさ。
そして中低音域との繋がりが非常に良くなってまったく違和感を感じさせず、この音ならクラシックもジャズも何を再生してOKだと思えるほどだった。
一緒に聴いていた仲間も「とても低音域から高音域までバランスがいいですねえ。これまで聴かせてもらった中でこれが最高の音ですよ。AXIOM80の初期版の魅力全開です。
それに低音域がまったく中高音域に被ってこないのが不思議です。やっぱり箱が利いてますね。普通の箱がどんなに逆立ちしてもこの豊かな低音は出てこないです。よほどユニットと箱の相性がいんでしょう」
応じて「まさかこんなに変わるとは思いませんでしたよ。スコーカー兼ツィーターとしてAXIOM80の初期版が世界最高だと胸を張って言える気になりました。クロスオーバー1200ヘルツが一番相性が良さそうです。自分が求めている理想の音を100点とすると95点はいきましたかね」
残りの5点は現用中のワーフェデールの「スーパー12」(赤帯マグネット)を変えた時の伸びしろを見込んでのことで、同じグッドマンでコーン紙が薄くて軽い「AXIOM150マークⅡ」(口径30センチ)あたりが狙い目である。
まかり間違っても反応の鈍い口径38センチには絶対に戻りませんからね~(笑)。
そして、駆動するアンプもたいへん相性が良かった。
と、続きを書こうとしてちょっと待った・・。
何から何まで自画自賛に終始するような気がしてきて、読者の皆様はいったいどう思われているんだろう・・。中には「またか」とお気を悪くされる方もいたりして~。
その一方では「どんなことを書いてもブログ作成者の特権ですからね」と開き直る手もある(笑)。
ずっと以前のことをふと思い出した。当時、タンノイさんへの不満を書くたびに特定の一読者から抗議のメールをいただくことが再々あった。
アルニコ・マグネット時代のグッドマンを聴くと、もうタンノイさんには戻れないがいまだに熱烈な信者が多いことが今もってどうもよく分からない。
「そんなに不快に思うくらいならブログを読まなきゃいいでしょう。別に有料サイトでもないし、読んでくれと頼んだわけでもありませんよ」というのが当方の言い分だった。
これって、おかしな考えですかね?
話は戻って次の画像に注目。
「以前から再々聴かせていただいてますが、このアンプがご当家のベスト1だと思います。出力管は何ですか?」と仲間からのお尋ね。
そこで「ロシアのスヴェトラーナ製のSV-300Bです。出自が軍事用ですからフィラメントなど精密なツクリのようですよ。本家本元のWE300Bより気に入ってます」
テレビで「開運!なんでも鑑定団」という長寿番組があり、毎週楽しく拝見させてもらっている。
骨董品の鑑定結果によりホンモノとニセモノのお値段の落差が極端なので悲喜こもごもだが、いつも思うのだが別にニセモノだって本人が気に入ってさえいればそれでいいんじゃないの。
それと同じで「SVー300Bが本物よりもいいと思っていればそれでいいんじゃないの」(笑)。