つい先日(6月2日)のこと、NHKの「Eテレ」(昔の教育テレビ)で「クラシックTV~リヒャルト・ワーグナーの魅力~」を放映していた。
録画していたので実際に観たのは一昨日(土曜日)のことだったが、わずか30分の番組にもかかわらず編集が上手くてワーグナーの魅力をしばし堪能できた。
まるで「威風堂々と辺りを睥睨(へいげい)する」かのような独特の音楽である。
平たくいえば、自分がまるで王様になったかのような痛快な気分とでもいおうか、妙に感情を昂ぶらせてくれるところがあって、なるほどと「ワグネリアン」の心境の一端が見える気がした。
そういえば第二次世界大戦のさなか、あの「ヒトラー」が聴衆を鼓舞するのにワーグナーの音楽をよく利用していたことは有名な話。
たとえ一時的にせよ「こういう錯覚」を起こさせてくれるのだからやはり「凄い音楽」であることをこの番組を通じて実感した。
ワーグナーといえば現在の手持ちのCDは次のとおり。
日頃「モーツァルト」一辺倒なのでワーグナーは縁の薄い作曲家だが、刺激を受けて久しぶりにこの中から「ワルキューレ」(ショルティ指揮)を聴いてみようと思い立った。
で、現用のシステムで聴いてみたところ、悪くはないんだけど何だか物足りない。本格的にワーグナーを聴こうと思ったら普通の「いい音」では駄目そう~。
そう、地の底から湧き上がってくるようなスケール感を伴った重低音が出てくれないとワーグナーのオペラは鑑賞できないし、それには「大きな箱=ウェストミンスター」が必要なのです(笑)。
そこで、次のように臨時的にシステムを構築した。
★ 低音の補強対策
ウェストミンスターから重低音を出そうとするなら日頃聴いているやり方とは、「オサラバ」しなければならない。
で、ムンドルフ(ドイツ)の2つのコイルを連結させて「15mh(ミリヘンリー)」にしてクロスオーバーをおよそ「100ヘルツ」(-6db/oct)に設定した。つまりサブ・ウーファーとしての活用へ。
これを駆動するパワーアンプは我が家で一番力持ちの「EL34プッシュプル」。100へルツ以下の受け持ちならアラが目立たなくて済むので助かる(笑)。
低音対策はこれで十分だろう。
★ フルレンジ
問題は100ヘルツ以上を担当するフルレンジにどれを選択しようか。
「AXIOM80」だと低音過多になってユニットの故障に繋がりそうだしちょっと怖い。「トライアクショム」(口径30cm)だと低音が出過ぎてウェストミンスターと被り過ぎそう。
で、結局リチャードアレンの「ニューゴールデン8」(以下「G8」)を登場させた。口径20cmの同軸2ウェイだが、イギリス製だけあって中高音域のみずみずしさは流石だと思わせるものがある。
ワクワクドキドキしながら聴いてみると、狙いが見事に的中して弦のファンダメンタルな響きがしっかりと全体のサウンドを支えており雄大な響きが何とも言えない。
両方のSPのつながりも良くてまったく違和感が感じられない。
ワーグナーを聴くならこれに限るなあ~(笑)。
100ヘルツ以下の補強だけで見違えるようなサウンドになるのだから改めて「低音の威力」に驚かされるが、ワーグナーだけではなく、ほかの曲目も十分いけそうなのでしばらくこれで聴いてみるとしよう。
で、もう一つのポイントは「G8」を駆動するアンプの選択だったが、このユニットは能率も高いしどんなアンプを持ってきてもOKだろうが、このところ大のお気に入りの「071」シングルアンプを起用した。
瑞々しくてレンジの広い中高音域はこのアンプの独壇場である。
この「071」(ブルー管)はWE300Bアンプの前段管に起用したときには元気が良すぎて取り換えたが、出力管として起用すると他の真空管(71A)に比べてスピードが速くてメリハリの利いたサウンドへ大変身。
それはもう信じられないくらいで、まるで別のアンプに変えたみたいになるのだから球の選択はゆめゆめおろそかにできない。
というわけで、「ワーグナー」をうまく聴きたいばかりに、あれやこれやの騒動もどうやら一段落をみたが、スピーカー、アンプ、真空管の個性を把握するのには絶好の機会になりました(笑)。
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