遅ればせながら前々回の「我が家のベストサウンド」の続きです。
このところブログ記事の関係もあってスピーカーを「AXIOM80」に固定して聴いていると改めてその繊細な再生ぶりに驚いている。
好きな曲目が終わってCDプレイヤーのストップボタンを押そうとしたら、これまで気づかなかったきわめて繊細で微かな音が余韻を引きながら音響空間の中にす~っと消え去っていくのに驚いた。
え~っ、こんな音が入っていたんだ!!
ほかのスピーカーで「もうこれで十分だ」と思うこともあるが、やはり上には上があることを思い知らされる。
容れる箱や駆動するアンプをメチャ選ぶので、うまく鳴らすのがとても難しいが、やっぱりこのSPは絶対に手放せないですね(笑)。
ちなみに「AXIOM80」の凄さを物語る逸話を紹介すると、
スピーカーを求めに来たご夫婦のうち奥様が、美空ひばりの歌声を聴いて『お父さん、これ(AXIOM80)にしましょうよ!ひばりが此処に居るじゃない!!』 奥さんは(ひばりの)親衛隊だっただけに生の歌声を聴いている訳です。~中略
『スタックスのコンデンサー型イヤースピーカーと変わらない淀み無く澄みきった高域』それと『声を出す時の息の湿り気をも感じる様な生々しさ』に打ちのめされた。この音はこのユニットにしか出せない音なんだな」
で、当日(11日)の試聴会に来ていただいたYさんに聴いていただいたシステムを再掲すると、
パナソニック「DPーUB9000K」 →(デジタルコード)→ GUSTARD「A22(ハイレゾ176.4Hz)」→「安井式プリ」→「071シングルアンプ」(SRPP回路)→「AXIOM80」(復刻版)
既述したとおり、この組み合わせで仲間の「Y」さんから絶賛を受けたわけだが、ここでYさんからご提案があった。
「DACのA22ですが、RCA出力よりもXLR(バランス)出力の方が音が大きくなるそうですよ。変換ケーブルで試してみたらいかがでしょう」
「それは面白そうですね!」
この「A22」は以前にYさんのアドバイスで「黄金ヒューズ」に取り換えてから(音質が)一皮剥けた記憶がある。
幸い「T」さん(静岡県)から作っていただいた「変換ケーブル」(LAN)があったのでさっそく入れ替えた。
異口同音に「あれっ、変わりましたね。音響空間が随分静かになってSN比が向上しました。圧倒的にこちらの方がいいですよ」
「XLR→RCA」の変換ケーブルについてはこれまで市販品を2種類ほど使ったことがありいずれも音が劣化してアウトだったが、このLANケーブルに限っては劣化がまったく感じ取れない。シールドカバー線が無いことも影響しているのかな。
となると、別のDAC「エルガー プラス」(dCS)についてもプリアンプに繋ぐ「変換ケーブル」(1ペア)が欲しくなった。おそらく同様の結果が得られる可能性が極めて高い。
で、厚かましくも「右手親指」付近が炎症中の「T」さんに無理を言ってお願いしたところ、ご快諾していただきさっそく作製していただいてこの程無事到着。ここに誌面を借りて厚くお礼申し上げます。
で、話は戻って今度はスピーカーを「復刻版」から本命の「AXIOM80」(オリジナル版)に代えてみた。
いわば「復刻版」と「オリジナル版」の同士の一騎打ちだ。
「復刻版は元気の良さが目立ちましたが、オリジナル版となると何だか胸に染み入ってくるような切なくて悲しい音になりましたね。こういう哀愁を帯びたヴァイオリンの音色が本来の音なんでしょうか」と、Yさん。
「音楽にはいろんな役割があると思いますが、人を慰め癒してくれるのが一番でしょう・・。AXIOM80とヴァイオリンの組み合わせはまさにそのドツボに嵌る感じですね。こういう音を聴かされると自然に目が潤んできて困ります」
しばし、二人とも無言のまま聴き入った。何だか音を形容する言葉を発したいのだけど、何を言っても嘘になる感じといえばいいのかな。
「美には、人を沈黙させる力があるのです。これが美の持つ根本の力であり、根本の性質です。絵や音楽が本当に解るという事は、こういう沈黙の力に堪える経験をよく味わう事に他なりません。ですから、絵や音楽について沢山の知識を持ち、様々な意見を吐ける人が、必ずしも絵や音楽が解った人とは限りません。」(小林秀雄「美を求める心」)
音楽もオーディオも最終的に求めているのは「美」なんですよね。
というわけで「沈黙の力に堪える経験」を存分に味わったわけだが、ちょっと「気障」で「我田引水」気味だったかな~(笑)。
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