丁度、2年前(2015)の1月に「北国のおじさんシリーズ」と銘打ったタイトルで3回に分けてブログに掲載したことを覚えておられるだろうか?
要は「北国のおじさん」(自称)はアンプ歴が50年以上を誇り、有名な「205D」アンプなどを自作され、SPシステムも中高音域用に独自に加工されたホルンなどを使用されているなど、それはもうたいへんなオーディオ愛好家である。
メールを通じて交流が始まり、ご好意でホルン(1ペア)をいただいたりして、大いに勉強させていただいたが、このブログにも再々登場される「北国の真空管博士」とはクルマで20分程度の距離とのことで、ご昵懇の仲だとか。
そのお二人が協力し合って、このほど「71Aアンプ」を製作されたとお聞きして、これは黙って見逃す手はなく是非聴かせていただこうと申し込んだ。
「71A真空管は大好きです。あつかましいお願いですが一度試聴させていただけませんか?」
すると「売り物ではありませんが、試聴するだけならいいですよ。」とご快諾。
そのアンプがこのほど到着した。梱包を解くとジャジャ~ン。
いかにも「歴戦の勇士」が作った凄そうなアンプ。いろんなメーターが付いていて、何から何までマニアックな感じがする。
事前に伺ったお話では、インプットランスはウェスタン製、インターステージ・トランスは「UTC」、出力トランスはアメリカ製、前段管は「AC/HL」(ナス管:英国マツダ)とのことだった。
さあ、いったいどういう音がするんだろう?胸をワクワクさせながら結線した。
CDトランスポート → DAコンバーター → パワーアンプ「71A」 → スピーカー「AXIOM150マークⅡ・イン・ウェストミンスター」というラインアップ。音の傾向をピュアに把握するためにプリアンプはあえて入れない。
はじめに付属していた71A(ST管)で聴いてみたが、どこといって過不足のないいかにも素性のいい模範的な71Aの鳴り方。スピーカーの弱点を殊更責め立てることなくうまくカバーしてくれるので、いかにも「礼節を知る球」としてその特徴がモロに出ている。
「流石だなあ」と、唸りながら今度は「71A」を手持ちの「471ーB」(デフォレ:ナス管)に差し替えてみた。すると、一段と響きが良くなってレンジも拡大。
「これは素晴らしい。」
もっと欲が出て、今度は「471ーB」から「371」(トリタン仕様)に差し替えてみるとこれがまた一段と素晴らしい。結局この球が出力管としてベストだった。
ちなみに、古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」によると、「171系はフィラメント電流のバリエーションが豊富で、私が知っているだけでもこれだけあります。」
通常、オークションで取引されているものは「171A 0.25A」が一般的だが、基本的なツクリがしっかりしているので今からおよそ90年前の真空管にもかかわらずこれだけのヴァリエーションがある。このうち大半を所有し、いろいろと差し替えて楽しんでいるが、いまだにまるで深山幽谷に迷い込んだように飽きがこない(笑)。
いずれにしても「このアンプ売り物ではないというけど欲しいなあ!」
いつぞやのブログにも記載したが、我が家のエース級「PX25シングル」アンプと比較すると、71系は「素顔美人」で「PX25」は「お化粧美人」に分類でき、真空管アンプを愛好される方なら「71系」は一家に1台は必要だと思っているが、ただし、我が家にはいまのところ「71」関係のアンプが3台ある。
すべてナス管だが、「371Aプッシュプル」、「171シングル」(インターステージ・トランス内蔵)、「371Aシングル」。
今回のアンプははたしてこの中でどういう位置づけになるんだろうかと考えてみたが、それぞれに捨て難く「いずれ アヤメ か カキツバタ」・・・。
長く置いておくと未練が出そうだし、それかといってすぐに返すのももったいないし、現在「沈思黙考」中(笑)~。