「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

気難しいSPユニット

2012年09月25日 | オーディオ談義

先日メールをいただいた関西地方のSさん。

同じSPユニット「AXIOM80」(以下、「80」)の愛好家として100年の知己を得た思いをしたが、「80」にツィーター(高域用ユニット)を加えて使っておられるのがちょっと気になった。

素朴な疑問として「80にツィーターが要りますか?」と、よほどお訊ねしようかと思ったが、待てよ、自分で一度実験してみてからでも遅くはあるまいと実際にチャレンジしてみることにした。オーディオは理論も大切だが、実際にやってみないと断言できないところがあるのはマニアならおそらく心当たりがあるはず。

機器同士の相性も無視できないし、それぞれの電源環境の問題もある。

その前に改めてこの「80」の諸元を確認しておこうと「別冊ステレオサウンド」~いまだからフルレンジ~(1997年3月刊)を引っ張りだした。

   

本書にはダブルコーン形式で周波数帯域は20~2万ヘルツとある。メーカー発表はあまり”鵜呑み”にできないが、とにかくデータ上はツィーターの必要性はない。「45真空管アンプ」で「80」を鳴らされていた「瀬川冬樹」さん(故人)もツィーターは使っておられなかったと記憶している。

とにかく、この「80」はなかなかうまく鳴らすのが難しいSPである。本書によると「このユニットの本領を発揮させるには相当の力量が必要で、当時(1950年代)としても独特の繊細で、ふっくらした艶やかな響きを堪能していた人は稀だったと思う」(114頁)とある。自分の経験でも、駆動するアンプのえり好みが激しくて、相性が悪いとすぐに「ひねくれた音」を出すので閉口した経験が何度もある。

それにエンクロージャー、吸音材、背圧の逃がし方などいろいろ勉強させてもらったが、これにツィーターを付けくわえようというのだから正直言ってかなり勇気がいる。

ともあれ、先日のブログで「ツィーターは中域から以上の音に透明感が不足しているときに欲しくなるケースが多い。むしろ問題は高域ではなくて中域あたりに潜んでいるのでは」と偉そうなことを書いたばかりで「お前は舌の根も乾かないうちにツィーターの実験か」と、お叱りを受けそうでチョッピリ気が引けるがオーディオマニアは寛容な方が多いので許してもらおう(笑)。

ツィーターには「AXIOM301」に付けていたJBL075(以下、「075」)を外して持ってくることにした。この「075」は能率が110dbもあり小出力の真空管アンプで対応できるので実に重宝している。

「80」に付ける以上、中途半端なことはしたくないので、音の流れを滑りやすくしようと”ざらざら”している外面を磨き上げた。

            

先ず裏ネジを外して分解。次に二通りの方法でやってみた。

                  

効果があったのはナイロンタワシ(細目)の方で、これで随分光沢が出てきた。このナイロンタワシは洗面器についた温泉の湯垢を落とすのに重宝しているが、こういうときに役立ったので思わぬ効用。

さあ、いよいよ接続開始。必要なのはSPコードとコンデンサー。もちろん「80」と振動板の位置を目視で合わせた。

SPコードはウェスタン製の細い単芯を使い、コンデンサーの方は3種類準備した。ウェスタン社のオイル・コンデンサー2ペアとマイカ・コンデンサー1ペア。それぞれ試した結果、ウェスタン社のモノは「2.16μF」と「1.0μF」と数値が比較的高いため高域が出過ぎでいずれもアウト。マイカ・コンデンサーが透明感も含めて一枚上だった。

このマイカコンは値が「0.075μF」なので計算上では26万5千ヘルツ(6db/oct)と途方もない高い値でカットオフになるが、それにもかかわらずちゃんと高域が出てくるので単なるアッテネーターの役割を果たしているに過ぎないが、これがなかなかの優れもの。

試聴盤はツィーターのテストとくれば我が家の定番「サキコロ」に決まっているが、ほかにも「ワルキューレ」(ショルティ指揮)、「ちあき なおみ」などいろいろ。

明らかにツィーターを付ける前よりも音響空間が拡大して心地よく聴こえた。高域の隠し味にしては、予想以上の効果だが、天候の具合による湿気や体調の良し悪しなども含めて少なくともあと2週間くらいは時間が欲しいところ。しかし、Sさんのおかげで「80」の使い方の幅を広げることができたのは感謝である。

          

ツィーターの背後には吸音材として厚いスポンジ(黄色)を置いている。大分市にお住いのEさんに教えてもらったのだが、たしかにこれを置くとなぜか高域のアバレが少なくなるので不思議。

ところで、たったこれだけの作業に日曜日(23日)の昼から月曜日の午前中いっぱいかかってしまった。ここには記載していない細かい作業やノウハウがいろいろあるので仕方がないところ。

それにしても「80」の愛用者はかなり居られると思うのだが、「ツィーター」を付け加えている方はどのくらいの割合なんだろう?

全国の中にはこの気難しい「AXIOM80」を自分以上にうまく手なずけて鳴らしている方がきっといるに違いない。以前、「AXIOM80愛好倶楽部」を結成しようとこのブログで呼びかけたが、梨の礫(なしのつぶて)だった。せめて名簿でも作らせてもらうと情報交換が出来てお互いにメリットがあると思うのだが~。

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「話題あれこれ」第2弾 | トップ | 「話題あれこれ」第3弾 »
最新の画像もっと見る

オーディオ談義」カテゴリの最新記事