オーディオ愛好家は常に「音」のことが頭の中から離れないという極めてシツコイ人種。「もっと音が良くなる方法はないものか」といつも考えている。
「日本一、音のいいジャズ喫茶」(岩手県一関市)と称されるマスターの菅原昭二さんの名著「ベーシーの選択」~ぼくとジムランの酒とバラの日々~のプロローグに次のようなくだりがある。
一般的にオーディオマニアとは「キカイいじりの好きな人種」ぐらいに片付けられているのがオチ。しかし、実際にオーディオマニアの誰か一人の頭の中を割って覗いてみると以外にも思ったより構造がずっと複雑なことに驚くことだろう。
複雑な証拠に、往々にして彼らの表情には「困った顔」が多く、何時まで経っても容易に晴れ晴れとしない・・・・。
実に「言い得て妙」で、自分が実際にそうなのである。傍から見るといつも何か割り切れない顔をしており、「困った顔」どころか、ときには「気難しそうな顔」という印象を与えているかもしれない。
いろんな対策を講じて「いい音」になったときはこの上なくうれしいが、それも一時的な話でしばらくすると「どこかに不満が出てきて、もっと良くなる方法はないものか」と考え込んでしまう。ホントにオーディオ愛好家とはキリがないほど欲の深い人種である。
3月6日の土曜日。曇りとも雨ともつかない天気の中、室内作業にはもってこいと思い切って低域の改善に取り組むことにした。
音楽鑑賞の根幹にかかわる大切な低域の改善には、つい最近取り組んだばかりだが、改めてその重要性に目覚めたので、「さらに」というわけで低域のユニットとボックスをソックリ入れ替える大作業。
バックロードホーン形式のボックスは、とても独りでは持てないので、猫なで声で「花壇にどうかな~」とカミさんのご機嫌をとり、猫の額ほどの庭の片隅に運ばせることに成功。
このボックスは1年間ほど使ってみたが材質がベニヤ板なのでソースによっては深々とした低音に変な響きがつきまとい音響がいまいちだったのでもはや未練なし。
ユニット〔口径20cm)のほうは、ジェンセンの1950年代の代物から、フォステクス製の強力なアルニコマグネットつきの低域専用ユニット(20cm)へと交換。
音楽を聴くうえでこの上なく大切な「音像定位」のことを考えてウェストミンスターの正面に据えてみたが低域と中域のクロスオーバーがごちゃごちゃなってしまい諦めて次の写真のように設置した。
左が今回の入れ替えユニット〔正面)、真ん中が裏側から見た写真、一番右の写真が全景〔右チャンネル)。〔すべて画像をクリックすると拡大できます)
早速、試聴してみた。CD盤は「ベスト・オブ・エンヤ」から2曲目の「カリビアン・ブルー」。冒頭のドスンと来る低音がどのように響くかでおよその良し悪しが分かる。
テスト盤として非常に重宝しているが、これまでになくスコーンと軽い低音がさわやかに抜けていく。それは、それは見事なもの。これがもともと録音されていたホントの音なのかと感激した。それもヘッドフォンで聴く音にきちんと低音が追加されているような印象を受けた。
低域はこれで良しとして次の対策に移って、ややクセがあって、ときには小うるさく聴こえる「アキシオム80」の最高域を抑えてみようとアンプとスピーカーを結ぶケーブルに小さなコイルをはさんでみた。
最高域をカットすることで、アンプのボリュームを安心して上げることが出来、低域と中域のつながりがしっかりしてきた。とはいえ、音の艶がちょっと落ちてくるがそれを補って余りあるほど「音の骨格」がしっかりしてくる。
「これまでで最高の音になった」とニッコリ。「貴方は改善するたびにいつも同じ事を言うのね」とカミさんから揶揄されるが「今度こそ本当だ!」、とはいえ1週間ほどいろんなソースを聴く必要アリ。
さて、ここで奈良にお住まいのメール仲間、M中さんからお借りしたヒラリー・ハーンの「ゴールド・ディスク」をかけてみた。
左のジャケットが自分が持っているCDで、右が今回お借りしたゴールド・ディスク。もちろん同一の演奏だが値段に2倍ほどの開きがある。さて音質の差やいかにと興味津々だが、アット驚くほどの違いがあった。
ヴァイオリンの音色もさることながら背後に広がる空気感というか空間の大きさが違う。透明度というべきか!
まるで上質のアナログ装置の音を聴く感じで実在感に相当の差がある。これなら倍の値段の差があるのも納得。
これはマスタリングの違い、それともCD盤の材質の違い、或いは相乗効果だろうか。
オーディオ装置の改善もさることながら、その一方ではCDソフトの改善も同じくらい大事だと改めて考えさせられた。