今や「第3次世界大戦」という言葉が飛び交うほどの「新型コロナ騒動」だが、伝染率は凄いものの80%程度は軽症に終わるとのこと。
初期症状としては「匂いや味がしなくなる、身体が鉛のように重たくなりだるくなる」そうで、一見大したことは無さそうだが、これが重症化すると一気に命の危険にさらされるようで、やはり怖い。しかも圧倒的に高齢の男性の方が重症化率が高いそうだ。
自分なんぞは持病もあるし、ウィルスに罹患するとイチコロですな(笑)。
まあ、その時はその時でこれまで目いっぱい「音楽&オーディオ」を楽しませてもらったのであまり後悔はないが、「まあ長生きするに越したことはないけど・・」というのが現在の心境。
それにしても、そもそも男性は女性に比べて短命だとされているが、いったいどうしてかな?
ちょっと分け入ってみよう。
「本が好き」〔光文社月刊誌)
本誌に「できそこないの男たち~Yの哀しみ~」(36頁)というのがある。著者の福岡伸一氏は青山学院大学理工学部(化学・生命科学科)教授。
2018年時点で日本人男性の平均寿命(生まれたばかりの男子の平均余命)は81.25歳であり、対して女性の平均寿命は87.32歳。ゼロ歳の時点ですでに6年もの差がある。
「女性の方が長生きできる!」この結果はすでに人口比に表れている。現在、日本では女性の方が300万人ほど多いが、今から50年たつとその差は460万人にまで拡大する。
男女数の差は年齢を経るほどに拡大する。80歳を超えると男性の数は女性の半分になる。100歳を超える男性の数は女性の5分の1以下にすぎない。中年以降、世界は女性のものになるのである。
どうして男性の方が短命であり、女性のほうが長生きできるのだろうか。
☆ 男の方が重労働をしているから
☆ 危険な仕事に就くことが多いから
☆ 虐げられているから
☆ 男の人生の方がストレスが大きいから
いずれももっともらしい理由だが、6年もの平均寿命の差を生み出す理由としては薄弱である。
著者が着目したのは上記の理由がいずれも環境的要因に限られていることで、むしろ生物学的な要因に原因があるのではと焦点を当ててさらに検証が進められていく。
その結果、世界中のありとあらゆる国で、ありとあらゆる民族や部族の中で、男性は女性よりも常に平均寿命が短い。そして、いつの時代でもどんな地域でも、あらゆる年齢層でも男の方が女よりも死にやすいというデータが示される。
結局、生物学的にみて男の方が弱い、それは無理に男を男たらしめたことの副作用とでもいうべきものなのだという結論が示される。
その証として、取り上げられるのが日本人の死因のトップであるガン。
ガンは結構ポピュラーといっていい病だがそれほど簡単にできるものではない。細胞がガン化し、際限ない増殖を開始し、そして転移し多数の場所で固体の秩序を破壊していくためには何段階もの「障壁」を乗り越える必要がある。
つまり多段階のステップとその都度障壁を乗り越えるような偶然が積み重なる必要があって、稀なことが複数回、連鎖的に発生しないとガンはガンにはなりえない。
それゆえに、確率という視点からみてガンの最大の支援者は時間であり、年齢とともにガンの発症率が増加するのは周知のとおり。
もうひとつ、ガンに至るまでに大きな障壁が横たわっている。それが個体に備わっている高度な防禦システム、免疫系である。
人間が持つ白血球のうちナチュラルキラー細胞が、がん細胞を排除する役割を担っているが、何らかの理由でこの防禦能力が低下するとガンが暴走し始める。
近年、明らかになってきた免疫系の注目すべき知見のひとつに、性ホルモンと免疫システムの密接な関係がある。
つまり、主要な男性ホルモンであるテストステロンが免疫システムに抑制的に働くという。
テストステロンの体内濃度が上昇すると、免疫細胞が抗体を産生する能力も、さらにはナチュラルキラー細胞など細胞性免疫の能力も低下する。これはガンのみならず「感染症」にも影響を及ぼす。
しかし、テストステロンこそは筋肉、骨格、体毛、あるいは脳に男性特有の男らしさをもたらすホルモンなのだ。
男性はその生涯のほとんどにわたってその全身を高濃度のテストステロンにさらされ続けている。これが男らしさの魅力の源だが、一方ではテストステロンが免疫系を傷つけ続けている可能性が大いにある。
何という「両刃の剣」の上を男は歩かされているのだろうか。
以上が「Yの哀しみ」の概略。
結局、「男性がなぜ女性よりも早死に?」の理由は「男性に生まれたばかりにYというありがたくない染色体を無理やり持たされ、男らしさを発揮した挙句に早死に」というのが結論だった。
とはいえ、何やかや言ってみても今度生まれ変わるときはやっぱり男性にと筆者は願っているが、皆さまはどう思われますかね?(笑)