前々回のブログ「現状に満足したままでは進歩なし」を読まれた「I」さん(東海地方)から「(ワーフェデールの)スーパー10が本丸のウェストミンスターへ乗り込みますか。(AXIOM80は「大奥」だと思っています)」とのメールが届いた。
日頃から「本丸と大奥」という問題意識は無かったが、そう言われてみると我が家ではいったいどちらが本丸なんだろう。
「本丸」が潰れると「枕を並べて討ち死に」だが、「大奥」が潰れても命には別状ない(笑)。
ウェストミンスターが本来の実力を発揮したときには「さすが本丸」と言いたいところだが、いまだに実現したことがないのがちょっと淋しい。このままだと、宝の持ち腐れになりそう。
人生の残り時間からすると急がねばと少々焦っているが、今回の騒動でかなり肉迫したような気がする~(笑)。
前置きはこのくらいにしてさっそく本題に入ろう。
先述したとおりスコーカーをグッドマンからワーフェデールの「スーパー10」(赤帯マグネット付き)に入れ替えて聴いてみたところ、音の勢いが迸るように溢れ出てきて腰を抜かさんばかりに驚いた。
いや、けっして大袈裟じゃなく~(笑)。
これならクラシックもジャズも十分いけると思うほどの大変身!
さっそく、11日(土)の午後に仲間のYさんに聴いてもらった。
「一皮剥けましたね。ベールが一枚も二枚も取れた感じです。このスーパー10はまるでホーン型のように音が飛んで来ますね」と大好評。
「そうなんです。強力な赤帯マグネット付きのユニットはコーン型でありながらホーン型の良さも併せ持つ優れものですよ。よく引き締まった音でスピードがメチャ早いです」と、つい調子に乗ってべらべらと。
人の誉め言葉を素直に受け止めるのが私の美点の一つです(笑)。
そして、ここから話が少々込み入ってくる。
「今のクロスオーバー(以下「クロス」)は何ヘルツですか?」の問いに対して「ハイ、700ヘルツと6000ヘルツですよ」
すると「700ヘルツを思い切って250ヘルツあたりに下げてみませんか、このスーパー10なら十分いけると思いますが」
想像だにしない提案にエッと驚いた。
周知のとおりこのウェストミンスターにはかってタンノイの同軸2ウェイユニットが入っていたが、クロスは「1000ヘルツ」であり、フロントのショートホーン、そしてバックロードホーンにしてもクロス1000ヘルツを前提に作られている。
その固定観念があって、せいぜい700ヘルツまでぐらいが許容範囲だろうと思っていたので、「250ヘルツ」の提案は思いもかけなかったというわけ。
Yさんの持論はこうである。
「スピーカーはフルレンジが基本だと思います。それに最低音域と最高音域を少し付け足すという考え方です。したがって、3ウェイの場合はスコーカー(中音域)が主役になるのが自然です。
これまで至るところでクロス500ヘルツとか1000ヘルツのシステムを聴かせていただきましたが、どうしても音像に不自然さが伴います。それぞれのマグネットの違うユニットをクロス(交錯)させるにはできるだけ目立たない周波数に限ると思っています」
一つの考え方だが一理ありますね。
Yさんが我が家の3ウェイを聴かれても、いつも30分ほどで早々に切り上げて「AXIOM80を聴かせてください」と、所望されるのもそういう理由だったのか(笑)。
先人たちもこの辺りのクロスの設定にはずいぶん苦労されているようで、たとえば250ヘルツあたりから使えるドライバーとなると有名な「ウェスタンの555」あたりが思い浮かぶし、それがJBLの「375」だとせいぜい500ヘルツあたりが限界となる。
今回の場合は「スーパー10」がホーン並みの実力を持っているからこそのクロスの改変要望である。
チャンデバの場合、クロスを「750→250ヘルツ」にするのは簡単だ。低音域用のスイッチと中音域用のスイッチを2か所ひねってやればそれで済むがそれだけでは芸がない。
スコーカー(スーパー10)が主役に躍り出るとなれば、それなりに駆動するアンプの方も代えた方が効果的。
結局、Yさんの提案に乗ることにして「クロスを250ヘルツと8000ヘルツ」に設定し、3台のアンプの編成も代えた。
「~250ヘルツ」→「2A3シングル」、「250~8000ヘルツ」→「WE300Bシングル」、「8000ヘルツ~」→「71Aシングル1号機」
チャンデバのRCAコードの入れ替え、SPコードの入れ替えも済んで、いよいよ音出しだ。
二人してじっと耳を澄ませた。
「いいじゃないですか!音像にまったく不自然さがありません。まるでフルレンジが鳴っているみたいです。スーパー10の魅力全開ですね。これなら理想的な3ウェイだと思いますよ。」と、Yさん。
思いもかけない展開にただただ唖然とするばかり。たったの250ヘルツ以下を受け持たせるのにこの箱の図体では”もったいない”という気もするが、実際に聴いてみると、音の基本的な傾向を決める極めて重要な帯域であることが分かった。つまり、この箱は十分機能している!
ま、しばらくこのままで聴いてみるとしようかな。
まったく「オーディオって奴は、先入観は罪、固定観念は悪ですな!」~(笑)。
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