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五輪汚職を反省し札幌冬季大会の誘致を断念せよ

2022年11月10日 | 社会

 

事件の検証に後ろ向きのJOC・都

2022年11月10日

 東京地検特捜部は東京五輪を巡る汚職事件の捜査を事実上終結しました。今後、法廷での裁きに舞台が移るにしても、JOC(日本オリンピック委員会)、東京都は汚職を生んだ五輪の運営体制、組織の総点検を捜査当局とは別の観点から独自に検証、反省する必要があります。

 

 どうもその気配がないようです。札幌市、JOCは2030年の冬季大会の誘致に向け、活動を続けています。札幌市は大真面目で「世界が驚く、冬にしよう」とのスローガンを10月に決めました。

 

 JOC理事だった高橋治之・元電通専務一人にかき回され、収賄額は5ルートで約2億円、逮捕者15人という醜悪な結果になりました。平和の祭典の裏で、単純な犯罪をやすやすと許したことに「日本中が驚いた」のです。

 

 このタイミングで札幌市、JOCが「世界が驚く、冬にしよう」とのスローガンを持ち出した無神経さにあきれます。恐らく事件を生んだことへの反省、再発防止策、巨額の費用が掛かる五輪の商業主義の是正という意識がまるでないのでしょう。

 

 2030年冬季五輪の開催地決定は当初予定の23年5-6月が23年秋に延期されました。この事件が影響してはいないといっても、誰も信用しないでしょう。札幌市民も半数は誘致に反対している。日本は立候補を取りやめ、誘致活動を停止することを私は望みます。

 

 開催経費は当初の案から490億円も増え、2970億-3170億に膨張しました。この種のイベントの経費は最終的には、当初案の2倍に膨らむ。小さく見せかけて誘致反対の声をまるめ込むためです。

 

 東京五輪の経費は総額1兆4000億円で、国と都の公費が7800億円も投入されています。足が出た分は開催市が穴埋めします。五輪汚職の影響で、スポンサー料が目論見通りに集まるかも疑問です。 

 

 東京五輪の場合は、組織委員会事務局のマーケッティング局に電通が多数の社員を送り込み、スポンサー集めに活動しました。元電通専務が彼らを動かしたり、電通本社に口効きする構造の中で汚職が発生しました。電通本社の数十人が特捜部の事情聴取を受けました。

 

 電通はこうしたビジネスの手法に反省を迫られます。JOCも電通独占の是正はもちろん、五輪ビジネスへの関与停止という処分を下すべきなのです。電通が動けなくなれば、目論見通りのスポンサー料収入を得られなくなるかもしれません。

 

 JOCは今回のような事件が再び起きないように「利益相反取引に対する管理体制の整備を進める」との宣誓文を発表しました。さらに弁護士らによる委員会が23年2月に、不正対策をまとめるそうです。

 

 その前提となるのが行き過ぎた商業五輪への反省、それに絡む利権の構造の是正、広告会社に頼らないスポーツビジネスへの方向転換を含む事後検証です。組織委は清算法人になったとはいえ、政府や都がやる気になれば、できるはずです。

 

 そのプロセスなしに「管理体制の整備、クリーンな大会」と叫んでも、信用されません。札幌誘致が決まる前に出直しが必要なのです。新しい大会運営のあり方が来秋の誘致決定に間に合うとは思えません。誘致を断念するよう私は求めます。

 

 国家の基本に関わる事件や問題が起きても検証せず、時が経てば忘却するというか、忘れさせる。それが日本の体質です。それをまた繰り返してはならないのです。

 


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