過剰反応も景気下降を加速
2022年2月28日
「そう遠くない将来に資産バブルは破裂する」と、警告されていた事態がとうとうやってきたようだ。そうした見方が広がるでしょう。NY市場は急落が続き、日本は5日連続の下げで2万1000円割れも近い。世界市場は連鎖的な下落を続けています。短期間で収まりそうにありません。
バブルについて「何が破裂のきっかけになるのか、それがいつになるかは分からない」でした。どうやら新型肺炎ウイルス・コロナの感染拡大が引き金になり、下落はこれからまだまだ続く。崩壊が始まった。日本の場合は、政策当局やメディアの過剰反応が事態の悪化を加速させています。
震源地の中国の習近平政権が必死になるのは当然としても、「全国の小中高の一斉休校の突然の発表」に象徴される安倍政権のコロナウイルス対策は、逆に国民の心理を冷え込ませ、景気減速に拍車をかけるというマイナス効果を生みます。
言論プラットフォーム主宰の池田信夫氏は「インフルエンザの場合、生徒の10%が休むと、学級閉鎖というルールになっている。何も起きていない学校を含め、全国一斉休校という過激な措置は中国でもとっていない」と、批判しています。
自民党の鈴木総務会長がうっかり本音を言いました。「コロナで東京五輪が中止になると、政治責任問題となる」と。そうか、五輪を中止させたくないので、戦時体制並みの強硬措置をとっているのか。中止になっても政治責任は生じません。基本的な責任は中国にあります。
経団連会長ら財界トップを集め、社員の自宅勤務を要請したり、大規模イベントやスポーツ観戦の中止を求めたり、安倍政権はまるで統制社会に戻ったように強硬手段に訴えています。5大陸に広がった感染対策のために、各国が協力して対策をとるべきであるにせよ、日本はやりすぎです。
五輪は中止ないし延期でも、影響は一過性です。全社会、全産業を対象に過剰な感染病対策がとられれば、マイナスの影響は長期かつ深刻です。それを比較して対策を決めたのか、思い切った対策をとにかくとろうという感覚で決めたのか。スタンドプレーじみていると思います。
資産バブルについて「グローバルに膨張を続けている。株式、債券、不動産と多様化し、バブルが生じている国・地域は広がり、こうした多様化と地域的広がりは前例をみない。膨張はいずれ止まる。すでに頭打ちの気配がみられる」(日興リサーチセンター)という分析があります。
日本はどうか。「資産バブルが破裂した場合、金融システムの動揺とあいまって、世界金融危機時(08年のリーマンショック)を上回る不況となる公算が強い」(同)。そういう観測があるところに、今回のコロナ危機が起きたと、考えると事態は深刻です。
ピークを過ぎたとはいえまだインフル流行期なので、休校によるインフル予防効果は期待できます。
インフル患者・死者が減ることでコロナに対応する余力が生じると考えれば、休校は一概に批判すべきものとは思いません。
子供を犠牲にしても選挙には影響しない、共働き世帯は選挙に行かないので犠牲にしても構わない。高齢者を救うため、若い世代が犠牲になるシルバー民主主義がもたらす最悪の構図。
大手メディアは国民を煽り、野党はそれに乗り亡国に導く。先の大戦と同じ。既に多くの官僚や医療従事者が壊されただろう。もの申せない人達にリスペクトを欠く風潮に怒りを覚える。