新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

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新聞の夕刊を廃止し経営合理化の一助に

2022年09月01日 | メディア論

 

朝刊以上に発行部数が激減

2022年9月1日

 新聞の夕刊の内容が急速に劣化しているように思います。経営的にも、編集面でエネルギーを割けなくなっているんのでしょう。だらだらと、発行を続けるのではなく廃止し、経営合理化の一助にすべきでしょう。

 

   すでに夕刊を廃止している地方紙もありますし、全国紙も地域によっては、山梨県のようにやめています。夕刊全廃の先陣を切りたくないというトップの意向があるのか、部数競争という悪習があるためなのか。

 

 人口減、経済成長の長期的停滞、急激なネット化の中で、一新聞社が朝刊も夕刊も発行し続けられるはずはない。経営資源の浪費です。

 

 日本新聞協会で「夕刊問題検討会」を設け、夕刊の維持がいかに難しくなっているかの方向性を確認し、各社が独自に対応すればどうか。これなら、談合だといって公正取引委員会も動くことないでしょう。

 

 9月1日の夕刊は、読売10頁、日経12頁、朝日も似たようなものでしょう。10頁のうち、締め切り直前までに執筆したとみられるのは読売4頁(主にニュース)、日経3頁(株価、商況は除く)です。

 

 今や、ニュース記事を除いたほとんどが前日までに用意した特集、フィーチャー(文化系読み物)で占められます。朝刊と一緒にするか、日曜版か土曜版に載せればいいものばかりです。

 

 朝刊と夕刊を別にする必要はないのです。昼前までに発生した国内ニュース、時差のある海外ニュースは、ネット(オンライン)で読むか、テレビを見る。夕刊の時間帯にかかってくる選挙速報などは同様です。

 

 配達時間はどうでしょうか。私の場合は、もう2時半過ぎには配達されます。夕方に配られる「夕刊新聞」ではなく、午前中までのニュースを載せる「昼間新聞」です。「新聞」でなく「旧聞」の部分が多いから、簡単に印刷し、販売店に回すことができる。以前の配達は夕方でした。

 

 朝刊、夕刊をセットでとる部数(セット率)は、8、90%の時代がありました。今は10ー20%でしょうか。オンラインでも読めるし、夫婦ともに勤務先があり読むに読めない。ライフスタイルの変化でもあります。

 

 21年の一般紙は3065万部、セット部数は648万です。5年前の一般紙は3984万部、セット部数は1041万部でした。一般紙は5年で1000万部減り、セット部数は350万部も減りました。販売店に配達されないまま、残っている新聞(残紙、積紙)も多いからこの数字も当てになりません。

 

 朝刊、夕刊をセットでなく、朝刊だけをとり、夕刊はやめるという読者は意外に少ないのです。販売店に申しでても、2、300円程度しか値引きしないので惰性で取り続けている読者も多いのでしょう。

 

 以前は、朝刊、夕刊のセットでとっている読者のために、夕刊で先行したニュースを朝刊に回す場合、見出しや内容を少しは変えていました。「同じ記事を二度も読まされる」という苦情があるためです。夕刊部数が減ってきたため、そんな手間もあまりかけないようになりました。

 

 旧ソ連のゴルバチョフ大統領が死去した大ニュースが8月31日の夕刊の一面を飾りました。翌日の朝刊でも一面で大扱いです。読売は夕刊も朝刊も「ゴルバチョフ氏死去/冷戦終結、ソ連元大統領」と同じ見出しです。

 

 読売の記事本文には若干の修正が施されています。「同じものを読ませるか」との苦情をかわすために、わざわざそうしている。朝日も同様です。驚いたのは毎日で、朝刊の記事本文は夕刊と全く同じです。以前はそこまで割り切ることはしませんでした。

 

 要するに、夕刊の終末期が迫ってっ来たという印象をうけます。広告収入もほとんどあがっていません。読売は、「福岡特産の大玉柿」、「紀州梅の里のはちみつ梅」の安い通販広告が目立つ程度です。

 

 どこの新聞社も紙、印刷費も回収できていないでしょう。新聞制作費、販売店費用、広告収入を考えると、部門収支は赤字のはずです。夕刊廃止にすら踏み切れないようでは、ネット時代に対応した新聞の大改革ができるはずがありません。

 

 朝日の夕刊は、読み物色が濃くなり、レイアウトも従来とはがらりと変え、一口ずつ読んでもらう工夫をしています。別の情報媒体にする意図がありなのでしょうか。そういう努力が経営収支にどこまで見合うか。わざわざ印刷して配達するほどのものなのか。

 

 新聞そのものが存続の危機に瀕しています。私は夕刊を廃止し、経営資源を別の方向に用いるべきだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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