根が深い関係者の野望
2018年5月20日
アメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が悪質なタックルをし、関西学院選手を負傷させた事件は、傷害罪として警察の手で厳格に調べるべきだと、考えます。日大自身、関東学生連盟などが調査しても、身内に甘くなる可能性あります。第3者委員会を設けたところで、依頼主の意向が反映された報告書が提出される事例を何度、見てきたことか。
この一件だけなのか、類似行為が他になかったのか、調べるべきです。関西学院側がひどく怒っているところをみると、この一件だけだとは思えません。ビデオを調べれば、分かります。類似行為が多ければ、謝罪だけで済ますわけにはいかないでしょう。
内田監督が辞任で済まそうとせず、例えば「自分が選手に違法行為を指示したことを認める。指示は複数回で、他にも違法行為があった。責任をとり、大学の常務理事も辞める。負傷した選手には示談金を払う。日大も総長レベルが謝罪する」という結論ならば、警察の捜査は必要なくなるでしょう。
悪質タックル事件の展開を見ていますと、不祥事が発覚した場合の処理と多くの共通項があります。負傷事件が起きたのは6日で、映像の拡散で騒ぎが明るみになるまで、当事者の日大は「ルール違反」という言い訳で逃げ切るつもりだったのでしょうか。財務省次官のセクハラ事件の処理とも似ています。
安倍政権も一斉に批判
鈴木スポーツ庁長官が「衝撃的で非常に危険なプレーで容認できない」と発言したのは14日です。ついで内閣官房副長官の西村氏が「重大な事故につながる非常に危険な行為だった」と批判したのは16日です。さらに林文科相が18日に「看過できず危険な行為」と指摘しました。
閣僚級が次々に登場するので、「政治がそこまで顔をだすのはなぜか」と、思いました。セクハラ事件、文書改ざん、「面会の記憶がない」の押し問答で支持率の低下に悩む安倍政権が、話題をそらそすには、ちょうどいい不祥事だと、思った。そう想像した国民もいるでしょう。
多くのスポーツは格闘技ですから、体がぶつかり合い、しばしば負傷者がでます。そこでサッカー協会は「競技中のケガによる法廷闘争(傷害事件の扱い)は禁止する」としています。ただし、乱闘騒ぎとなると、また別のようです。ボクシングでは「試合中に発生した偶然のケガは自己責任」としています。つまり、スポーツのプレー中の行為について傷害罪が適用されたことは、あまりないのだそうです。
悪質な場合は傷害罪相当も
極めて悪質の場合はどうか。今回の事件でも「監督が指示し、それに従って悪意があったとなると、刑事事件として、傷害罪にあたりうる」という法律家の見解を読みました。内田監督は「反則をやるなら試合に出してやる。相手選手を壊してこい」と選手に指示したとの情報が多いですね。
無防備の選手の背後から、体当たりを加え昏倒させた映像を何度、みたことでしょうか。アメフトのルール違反ではなく、負傷させることを目的にした暴力行為です。選手が行った行為、その指示をした監督の責任、それが恒常化していたか否か、その目的は何であったのか。恒常的に行われていたとすると、内田氏の常務理事の辞任、日大による大学としての謝罪を求める必要もでてきます。
少子化で大学経営は楽ではありません。人気スポーツで優勝したりして、知名度や人気を上げることが経営安定の近道のようです。アメフトで王者になれば、監督の評価があがり、出世し常務理事にもなれるので野心を持つ。だから監督を辞任しても、「常務理事の件は別問題」と、居直るのでしょう。そう考えると、悪質タックルの根は深いことになります。
正月の学生箱根駅伝は、すごい人気です。優勝しようのもなら、受験生が急増し、受験料で大学経営が潤うといいます。教育の良し悪しより、スポーツ競技で成果を挙げることを、大学経営で重視する傾向が強まっており、その一例が今回の事件となって表れたとすれば、残念なことです。
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