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調剤もしないのに調剤薬局という不思議

2019年12月27日 | 社会

 

何のための対価か1・8兆円

2019年12月27日

 高齢者の多くはしばしば、病院、医院に行き、薬の処方箋をもらい、帰りに調剤薬局に寄って、薬を買います。領収証は専門用語が使われているので、なんのことか分からず、おカネを払い、後はゴミ箱にポイです。調剤薬局への支払いが国全体で約1・8兆円に上る。一体、何に対する対価なのか。


 自分の体験をもとに「調剤薬局は本当に必要な存在なのだろうか」という疑問を2年前、ブログで書きました。タイトルは「医療費を食う薬剤師の不労所得」(17/10/31)、「薬剤師の不労所得論に殺到した抗議」(11/06)などで、数本は書いたでしょうか。


 2年前のブログに最近、またアクセスが目立ちます。厚労省は医療費の節約のために、患者に薬を渡すだけの「門前薬局」を減らそうと、診療報酬を改定しました。診療報酬の一つである薬価(薬代)が来年度予算では1%、引き下げられます。


 医療費は年間43兆円、その2割強の8兆円が薬代です。これとは別に調剤薬局に払う手数料(手間賃)が1・8兆円ほどでしょうか。薬局で渡される領収証には、調剤技術料、薬学管理料、薬剤料(薬代)という医療用語が書かれています。薬剤料はともかく、故意に意味不明にしてあるのでしょうか。


薬局の領収証を読んでみよう


 いつもの循環器内科医院に行き、受け取った処方箋 を調剤薬局に持参し、そこでの支払いは6900円(12月分)でした(自己負担は所得、年齢に応じて1割から3割、人によって異なる)。領収証にある調剤技術料は薬剤師への報酬、薬学管理料とは薬務歴のデータ管理のことです。合計して3200円で、薬代の3600円に対し、この月は4割を超えました。平均でいうと2割から3割でしょう。


 多くの人が「薬の入ったカプセルやパッケージを棚から取り出し、患者に渡すだけなのに、なぜ高い手数料とるのか」「医院にも処方箋料(私の場合は1400円)を払っている」「本来の意味の調剤は薬分の調合なのに、製薬メーカーが製造する薬にとって、調剤とは何か」「技術料とは何か。やっている仕事は単純な労働にすぎない」などの疑問を持つのは当然です。


 調剤薬局が果たすべき本来の役割はあります。「薬の効果、薬剤情報の説明」「医師の処方箋に疑義がないか」「多種類の薬の飲み合わせによるリスクがないか」「薬の飲み残しがあるかないかの聞き取り」などです。医師がやっている仕事とかなり、重複しています。


 厚労省も認識しており、単純作業だけをする薬局を減らそうと、薬価の引き下げ、調剤基本料の見直しに取り組み、薬局の利益率は低下しています。困った薬局側は「買収、合併で集約化を進め、乱立による不経済をなくす」「製薬部門にも乗り出し、製造から販売まで手掛ける」(日経新聞)などに取り組み、新しいビジネス・モデルを模索する動きが広がっています。


手を打たない薬局は淘汰される


 私のブログには、「ろくに調べもしないで、いい加減な批判をしている」「お前が早く死ねば医療費も減るぞ」といった感情的な抗議が目立ちました。現実はどうかというと、薬剤師が果たすべき役割を見据えながら、効率化、合理化を進める方向に向かっており、手を打たない薬局は淘汰される。


 日経は「薬の無駄をどう省く」という1㌻の特集(12/26)を組み、専門家の主張を紹介しています。「病院は安い後発薬への切り替えを進める」「後発薬があるのに先発薬を選ぶ患者は差額を自己負担する」「薬剤費が減れば、病院の収支も改善する」と、医大教授が指摘しています。


 健保組合の理事は「調剤しか手掛けない薬局は、経営が成り立たない水準まで調剤基本料を下げる」「かかりつけ薬局のように高度なサービスを提供するよう誘導する」と、主張します。「薬剤師は、処方箋とうり調剤する人としか見られていない」という専門家もいます。つまり専門的知識がいらない。


 毎月、通う医院の処方箋を持って、先日、薬局に行きました。薬剤師は「お加減はいかがですか」「寒さのおり、風邪をひかれませんように」と。毎度毎度、同じ文言の繰り返しです。どの患者にも同じことを言います。「相談には乗っている」という格好が必要なのでしょう。多くの薬局の現場は、意識の切り替えが遅れています。

 




 



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2 コメント

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Unknown (調剤薬局薬剤師)
2020-05-10 09:02:54
目に見えるところしか見えない人は、あまり書かないほうがいいかと思います。
調剤薬局の薬剤師が、ピッキング作業しかしてないと思わないほうがいいですよ。
地域包括のためにケア会議に参加したり、在宅で夜間に呼ばれたりと、24時間対応したりしています。
目に見えないところばかりの仕事が多いから仕方ないんでしょうが。
残念ですね。
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Unknown (薬剤師ではありませんが)
2019-12-28 13:52:52
調剤薬局から院内処方に戻した方が良いというご意見でしょうか。ただ厚労省が院外に誘導したのは、病院が儲けるためにいらない薬を出すし、病院に対する製薬会社の接待が異常だったからだったと思います。この二つはかなり改善されているように側からは見えます。
それに薬局から病院に対する疑義もかなりあるように見受けられます。老人のための複数の薬の一包化や薬の余っている人の調整など手のかかる人が増えるだろうことは容易に想像が尽きます。たしかに儲け過ぎているきらいがあったので、前回の薬価改定では削られた筈です。確かに薬のピックアップだけならば有資格者がやる必要はありませんが、現在の制度ではピックアップだけでも薬剤師がやらねばなりません。この点少し規制緩和して調剤料も下げたらと思います。
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