酸素補給器が必携に
2024年6月3日
5月19日(日)の未明に救急車で病院に搬送され、2週間、入院しました。退院できたものの、自宅ではしばらく酸素補給装置付きの不便な生活です。私の場合、コロナウィルスが急性肺炎を起こし、その肺機能が元通りになるには、2か月ほどかかるという宣告です。
感染症法5条に移行して、公式の発表も報道もあまり見かけなくなりました。私もすっかり安心していたところ、不意を突かれた感染、発症となりました。治療中に体に起きた異変、今後の生活に影響がでる後遺症について書きました。若い世代は発症率も低く、回復も早い。高齢者はその逆です。
救急車で隣接市の立川相互病院に搬入され、医師から「治療中に不測の事態が起きるかもしれない。あなたは延命治療を希望しますか、どうしますか」と、真っ先に聞かれました。以前から「延命治療は受けない」と紙に書き、家族にも伝えてあるので、即座に「希望しません」と答えました。意識のあるうちに、病院側が入院時に確認してくれるのは必要なことです。
もう社会的に役割がなくなった高齢者だし、植物状態になり、不自由な体で生きていくのも望まないし、高齢者医療にかかる巨額の医療費は社会的な損失と思っています。少なくとも、延命治療だけは望まないということです。運転免許証にも、その項目にチェックをいれてあります
今回の感染で、後遺症でもっとも問題となるのが、肺の損傷による酸素の供給不足です。自宅に置いた酸素供給器に長いビニールパイプ(20㍍)をつなげ、食卓、ベッド、トイレ、風呂などまでひぱっていく。そこで鼻から酸素を吸入する。
外出する時は、携帯酸素ボンベを手押し車に乗せて移動する。酸素供給器と携帯酸素ボンベはセットでレンタルでき、医療保険も使えます。1か月1・5万円です(2割の本人負担額)。医師は「7月には必要なくなるでしょう」といっていますから、2か月は不自由な生活を強いられます。
指先で血液中の酸素濃度を測るオキシオメーターを常備し、就寝の前後、歩行時、食事時、入浴後などでデータを常時チェックできるようにしておく。酸素濃度は95%以上あればよく、90%台前半ならまあまあ、90%以下ならば要注意と指示されています。
私の場合は、2㍑補給で酸素濃度は90-95%で、補給装置がなければ90%を割り、要注意です。補給なしに95%にもっていくのが目標です。
喉も傷めつけられ、声がでない。こういう状態になったら、人を呼ぶこともできない。2週間、無声状態でした。
発症後の異変として、まず挙げたいのは嗅覚の異常です。食事のお盆が運ばれてくると、気持ち悪くなるような臭いが鼻につく。コロナ対策の強い消毒薬かなと思うことにしました。それも3日ほどすると、感じなくなったところをみると、はやりコロナによる嗅覚異常だったのでしょう。脳の働きに異常がでるそうです。
次が自分の呼気の異臭です。歯磨きが足りないせいかなと想像しました。とにかく嫌な臭いでした。それも3日で消えました。世話してくれた看護師さんは「自分も3月にコロナにかかり、3週間、食べ物の味が失われた」と、いっていいました。私の場合は、味覚ではなく、嗅覚の異常でした。
せん妄(幻覚)には3日3晩、頭が苦しめられました。どういうわけか、イスラエル・ガサ紛争の大論争が頭に浮上し、「イスラエル建国、パレスチナ国家設立の認可などの外交論争」が頭のなかでぐるぐる始まるのです。「もうやめてくれ」と叫ぶのに3晩、同じシーンが繰り返されました。
もう一つのせん妄は、在職していた会社の販売担当役員の顔が頭に浮上してきて、薄気味悪い表情をこちらに浮かべるのです。見たこともない顔です。実在することもない顔です。これも3晩、繰り替えされました。
よく、死の間際には「花が咲く川の向こうで、両親がおいでおいでと、誘っている。従っていれば、死んでいた」という幻想が生じるようです。これは実際の光景というより、せん妄の類なのでしょう。
体重は4、5㌔、あっという間に激減し、筋力も削げ落ちました。病院側は退院に備えた丁寧なリハビリ指導をしてくれました。主に歩行訓練です。最後は自力で院内の廊下をゆっくり歩くことを繰り返しました。
今回の医療費は約50万円で、私の負担は約10万円(2割)でした。国民全体の医療費は116兆円(2020年)でそれを税金で34%(国22%、地方12%)、保険料負担65%(窓口・自己負担24%、現役世代41%)でカバーしています。いつまでこうした仕組みを続けられるのでしょうか。
現役世代は自分たちの医療費のほかに、高齢者の医療費も補助しています。高齢化はどんどん進み、高齢者ほど多額の医療費を使う。また、私には全く効果のなかった「初の国内のみ薬」の特効薬ゾコーバは、一回あたり(5日間)で5万円を超えます。半分飲んだところで、救急搬送ですから、何万円分も飲み残しがあります。いろいろ考えることがありました。
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