積極的にビデオ判定を
2015年1月27日
大相撲の初場所で、横綱の白鵬が全勝優勝し、これで優勝回数が史上最多の33回となりました。せっかくの大記録なのに、日本相撲協会、横綱審議会が権威風を吹かした下手な対応で、後味の悪い土俵となりましたね。
優勝を決めた13日目の取り組みが審判の物言いで取り直しとなりました。不満の白鵬が「勝っている相撲だ。帰ってビデオを見た。子供でも分る。悲しかった。もう少し緊張感を持ってほしい」と、一夜明けた翌日、記者会見で痛烈に批判したというのです。まず前例がないほど、きつい批判ですね。大記録がかかった場所でしたから、本音がつい出たのでしょう。新聞の記事を読むと、白鳳ばかりが悪者にされているので、相撲ファンでもない私も腹がたってきました。
勝敗より権威が大切か
横綱審議会の委員長は「審判はスポーツの世界では厳正。反省すべきは横綱本人で、みずからの未熟さをさらけだしている」と反論、これまた痛烈な反撃です。そこまでいわなくてもいいのにと思った人はおおいでしょう。協会は、師匠の宮城野親方を通じて注意するいいますから、大横綱の一撃を食らって、いきり立っているのでしょう。勝敗より協会側の権威が大切なのですね。
冷静な解説、提言の記事も見当たりません。さらに読売新聞の名物コラム「編集手帳」も「記録の上では相撲史の山頂を極めた人も、精神は遥か下、山麓をさまよう途中らしい」と書きました。巧みな切り口のコラムを日ごろ、愛読しています。この日ばかりはいけません。一方的に白鵬を悪者扱いにしています。協会や審判を批判するひとことがあってほしいところです。コラムには毒がなければ、いけません。横綱の礼儀をただす優等生のような文章ですね。
物言いがついた時はビデオ判定をすることになっており、ビデオ室の担当者の意見をイヤホンで聞くそうです。そうならそうと、「ビデオ判定の結果、取り直しとなりました」とでも、場内放送でいえばいいのです。横審委員長も「審判能力の向上に一層、努力を」とか、「ビデオを見直し、研究を続けるように」とか、おとなの言葉で述べればいいのです。
テニス人気を見習え
テニスの全豪オープンで日本の錦織選手が大活躍です。たったひとりでテニス人気をこれほどまで引き上げることができるのかと、驚きます。印象的なのは、ボールがラインをかすったとか、はずれたとか、審判の判断に異議がある場合、選手が申し立てれば、制限回数の中で、ビデオ判定をしてくれることになっています。固唾を呑んで待っていると、ボールの跡がくっきり映り、これがまたテレビの視聴者の楽しみになっています。
ベテランの審判の判断が先端技術の採用でくつがえされることも、スポーツの楽しみではないですか。恥でもなんでもないですよね。権威に傷がつくなんて、古い古い。「大横綱がそういうことをいうのはいかがなものか」とかいうセリフは聞きたくないですね。
白鵬は千秋楽の終了後、翌日の明け方まで祝宴をしていたそうです。翌日までアルコールが残っていた様子といいます。日本人が作った優勝回数の記録更新まで、緊張感が続いていただろうし、記録達成でほっとしたことでしょう。1人で相撲人気を支えてきた重圧も大変なことだったでしょう。
人間とは思えない努力、精進の賜物でした。飲み過ぎ、二日酔いも人間らしくていいではないですか。横審委員なら「下積みの努力を日本人はしなくなった。モンゴル出身者に見習ったらどうか」とでも言い放つくらいの機転があって欲しかったですね。
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