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たたき台が欲しい

2018年08月15日 | コンサルティング

「昼食の時に『ランチはどの店に行こうか?』と部下数人に声をかけても、みんな遠慮して答えないんですよ。そこで、『じゃあ、○○家の牛丼にする?』と言うと、急に誰かが「先日行った定食屋がおいしかったですよ」とか、「牛丼よりもラーメンが食べたいです」といような、具体的な意見が出てくるんです」

これは、先日ある企業の管理者から伺った話です。ランチのみならず、研修のグループ討議などで意見やアイディアを募っても、初めはお互いに遠慮しあってなかなか口火を切る人がいないということは、よくあることです。

私自身の体験でも、研修の提案をする際に、事前に研修担当者からニーズを伺いたいと思っても、なかなか具体的な話を聞くことができないような場合があります。しかし、そういうときに試しに予め想定していた案をお見せすると、不思議と次々と具体的な要望が出てくることはよくあります。

目の前に何もないと、なかなか具体的に希望や要望が言えない人も、「たたき台」があることにより、自身の考えがきちんと整理できるようになるということなのでしょう。

では、この「たたき台」とはどういうものなのでしょうか。

改めて広辞苑で意味を調べてみると、「これから批判・検討を加えて良い案としていくための、最初に出される案」とあります。また、たたき台の語源は鍛冶屋が熱した金属を叩いて成形する際に乗せる専用の台から来ているようです。

まさに、一つの案に対して様々な意見を加えながら、精度を高めていくというのがたたき台ということです。

通常、企画や提案内容をまとめていく場合には、何度も会議やブレーンストーミングなどが行われます。

そうしたときに何か取っかりとなるものがないと、なかなか議論は盛り上がりませんが、その取っ掛かりとなるのが、このたたき台なのです。冒頭のランチの話も、牛丼というたたき台が出されたことによって、定食屋やラーメンなどのアイディアが出てきたわけです。

ランチの話ですら、簡単に自分の希望を伝えることが難しく感じる人がいるわけですから、研修のグループ討議で口火を切ったり、会議の場で発言したりするのは難しいと感じる人がいるのは、当然と言えば当然のことでしょう。

このように、たたき台の効果は思った以上にあるのです。会議でなかなか意見が出てこない、盛り上がりが足りないなと考えている管理者の方は、まずはたたき台を用意することから始めてみてはいかがでしょうか。

きっと定食や牛丼の話よりも、具体的なアイディアがたくさん出てくるはずです。

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