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工業が農業へ恩返しをするとき

2014年06月15日 | コンサルティング

日本のGDP(国内総生産)約470兆円に占める農業の割合は約1.2%程度です。

この数字について、かつてある政治家が、農産物の輸入自由化に反対する人たちに対して次のように発言したことがあります。

「1.5%(当時)を守るために98.5%を犠牲にするのか」

説得力のありそうな言葉ですが、OECD諸国の中では1.5%は特に低いとは言えません。また、農産物の消費量は、工業製品やサービスのように大幅に増加することもありませんから、GDPの1.2%でも決して不思議ではないと思います。

ただし、日本の食料自給率が約39%(カロリーベース)というのは、やはり他の国々から比べるとかなり低いと言わざるを得ません。

そこで、国内の農産物の供給を増やす方法がいろいろと考えられています。なかでも、効率的な生産技術の確立が切り札になりそうです。最近話題になる「植物工場」もそのひとつです。

「工場」というと、農業には馴染まないように感じるかもしれません。しかし、工場といっても加工したり組み立てたりするわけではなく、植物が育つ環境を制御することが主な目的です。

ここで、確認しておきたいことがあります。日本のお家芸であるものつくりの技術は、農業から受け継いだ文化が基礎になっているということです。

かつて日本国民のほとんどが農業従事者でした。特に稲作は正確な手順と多くの手間がかかる「プロセス産業」でした。そのお陰で日本人は、多数の人間が協調しあって何かを作ることに長けた国民になりました。

つまり、日本の優れた工業生産技術は、稲作などの農作業を通じて得た「プロセス技術」があったからこそ花開いたわけです。

今こそ、工業は農業に恩返ししなければなりません。

さて、人を育てることも農業の手法と同じだと思います。何度も言及していますが、弊社は「人財」という言葉は使わず「人材」にこだわっています。

財は金額で換算できる価値を表していますが、材は生き物であり伸びる可能性を秘めています。

人材育成に農業から受け継いだ精神を生かしていく、それが私たち日本人のやり方ではないでしょうか。

(人材育成社)

 

 


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