「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「女性リーダーに求められる役割やスキルを学ぶ研修を考えているのですが。」
これは、弊社が定期的と言ってもいいくらいに研修のご担当者から受ける相談の一つです。近年、女性管理職を増やすことは官民を問わず組織の至上命題となっています。もちろん、女性管理職を増やすための一助として女性を対象に研修により意識を醸成することには意味があると考えています。しかし、こうしたお話をいただく度に、「女性リーダーに特化して求められる役割やスキルとは何なのだろうか」ということも、同時に感じているのです。
皆さんはこの点についてどのように考えられるでしょうか?
言うまでもないことと思いますが、管理職の役割とはチームを指揮・監督してチームに与えられた使命(目標)を達成することです。使命(目標)を達成するためには、メンバーに最大限の力を発揮してもらえるようにやる気を引き出し、能力を高めてもらうことが必要ですが、この求められる役割には男女の差はないはずです。しかし、女性のみを対象にした研修の中で、敢えて「女性管理職に求められる役割」というように限定して表現する理由には何があるのでしょうか?
これに関連して、先日管理職として既に5年ほどの経験を持つ2名の女性にインタビューさせていただく機会がありました。お二人とも管理職になられた経緯は異なるのですが、現在それぞれイキイキと活躍されていることがとてもよく伝わってきました。
そこで、お二人に先述の「女性管理職に求められる役割」について尋ねてみたのですが、それに対してお二人から異口同音に発せられたのは、「気配りのようなものが必要だと感じる」ということでした。
お話によると、管理職としての成果を出すことはもちろんのこと、女性ならではの周囲への気配りや調和のようなものを暗黙のうちに求められているような気がするし、実際そういう身の処し方のようなものを示さないと、組織の中で動きにくいとのことでした。具体的には自分が前に出過ぎないようにしたり、周囲と闘うのではなく、うまく巻き込んだりすることが必要だと感じるというお話でした。
日本では組織のみならず、まだまだ男性優位の世界が多いように思います。女性管理職を増やそうとしている一方で、女性が管理職として活躍するためには成果だけでなく、暗黙のうちに男性とは別の役割やスキルが求められしまうという現実を改めて見たように感じました。
そして、これらのことが女性にとっては大きなプレッシャーとなり、管理職という次の一歩を踏み出すことをためらわせてしまう一因になっているのではないでしょうか。
そして同時に、この点が解決されない限り女性管理職を増やすことは難しいのではないかとも考えています。
こう考えると、女性管理職だからこそできるものも確かにあるのかもしれません。しかし研修を提供する側としては、はじめから「気配りや配慮が必要です」と伝えることにはやはり抵抗があるなと改めて感じさせられた事例でした。