中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「言葉にできない」

2014年06月04日 | コンサルティング

Q「お客さんの情報はどうやって聞き出しているの?」

A「あの手この手でいろいろな角度から質問するようにしているよ。そうすると、少しずつ話をしてくれるようになるので。」

Q「『あの手この手』の具体的な質問内容と質問の順番を教えてくれる?」

A「特に決まった質問や順番があるわけではないので、具体的にと言われても・・・」

その昔、お客様からの情報収集の仕方に悩んでいた同僚から受けた質問です。

「あの手この手」を具体的にしようとすればするほど、だんだん訳がわからなくなってしまい、相手に伝わらないもどかしさを感じたことを今もよく覚えています。

あれから十数年たちますが、現在でもお客様から「社内で培ってきたノウハウが後進に伝授されていないので、何とかしてもらえないか?」という相談を受けるたびに、ノウハウの中身を顕在化させるにはどうすればいいのだろう?と悩んでしまいます。

そもそもそうしたノウハウに関わる知識は膨大であることが多いですし、ベテランの「経験から生み出されるノウハウ」は整理が難しい暗黙知であるため、科学的に検証することが難しく、その内容を伝授することは、一朝一夕ではいきません。

「暗黙知」とは表現が困難な知恵や知識のことで、例えばベテランの職人が持つ技術やノウハウはそれを言葉やデータで表現しようとしても難しい、しきれないことが多いと感じます。

しかし、一方で人材育成の観点からはそれをいかに社内で共有し、後進に継承していくかは大変に重要な課題です。ベテラン技術者などの大量退職を迎えている中で、この課題に取り組んでいる企業は数多いと思います。

今後、こうした知識や技術を形式知化(誰にも認識が可能で、客観的にとらえることができる知識にする)して、それを共有、継承することがますます必要とされます。こうした知識や技術、ノウハウのデジタル化、データ化が進められていくのでしょうが、ではそれによって中身が全て顕在化できるのでしょうか?

ベテラン職人の「こうとしか言えないんだよな。」といったいわば「阿吽の呼吸の世界」のようなものは仮にデータ化はできても、それですべては伝わらない部分が残るのではと思います。

物事のデジタル化がどんどん進んでいる現代ですが、こうした部分をどのように伝えることができるのか、弊社にとってもなかなか難しいテーマです。よりよい方法を見つけるべく日々努力する、それ以外に道はないと肝に銘じています。

(人材育成社)


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