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第1,054話 一方通行で伝えるだけはコミュニケーションとは言えない

2021年09月08日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

先週金曜日(2021年9月3日)に、自身は自民党の総裁選には出馬をせず事実上の退陣表明をした菅首相ですが、これまでそのコミュニケーションに関しては一方通行で、国民からすると結果を押し付けられるだけなどいった批判が少なくなかったように思います。

この「一方通行のコミュニケーション」という部分に関して、先週弊社が担当させていただいたセミナー「テレワークで部下を育成する方法」での、一人の受講者(管理職A氏)から受けた質問を思い出しました。

それは「テレワークになってから、部下への仕事の指示がこれまで以上にうまく伝わりません。どうしたらよいでしょうか?」というものでした。

A氏の会社ではテレワークが導入されて以降、部下への仕事の指示はZoomやメールを使用して行っているそうです。A氏としては丁寧にコミュニケーションを行い、部下に指示を伝えているつもりとのことです。ところが部下の仕上げた仕事はA氏がイメージしていたものとは大きく異なることが多いのだそうです。そのため、その都度やりなおしの指示をしなければならないため、余計な時間もかかり非常に困っているとのことでした。

そこで、A氏に部下へ仕事の指示を出す際の状況を詳しく尋ねたところ、一つの問題点が見えてきました。それは、A氏としては部下へ指示をする際には丁寧にコミュニケーションをとって伝えているつもりだったようですが、実はA氏が行っていたことは「コミュニケーション」ではなく「インフォメーション」に過ぎなかったということです。

コミュニケーションとは、伝え手と受け手の間で双方向で行われるものであり、情報が共有され、それにもとづく双方向のやりとりができてはじめてコミュニケーションがとれた状態と言えるのです。一方のインフォメーションは情報そのものであり、伝え手が一方的に情報発信することで行われるものです。

A氏の話を聴いたところによると、A氏は仕事の指示という情報の発信は行っていたようですが、部下がその情報をきちんと(A氏の意図どおり)受け取ったかの確認をすることはしていなかったとのことです。具体的には、復唱させたり質問の有無等の確認をしたりせずに、一方的に指示をしただけで終わっていたようです。これでは、部下が指示をどれくらいきちんと理解できたのかを全くつかむことができません。

また、A氏は途中で進捗状況を確認する際にも「先日指示した仕事は順調?」などとあいまいな質問しかしていなかったようです。これでは、A氏がイメージする仕事の完成度と部下が完成させた仕事と状況の間にギャップが生じてしまうのも無理らしからぬことです。

もし質問をするのであれば、「B仕事はどのように進めている?どこまで進んでいる?」などと、もう少し突っ込んだ質問ができていれば、部下も途中で誤りに気付き修正することもできたはずです。

部下への仕事の指示に限ったことではありませんが、コミュニケーションとは双方向で行うものであり、一方通行で指示を出すことはコミュニケーションではありません。これは、対面で部下と接する際であってもテレワークで指示する際であっても同じことです。

こう考えると、菅総理も一方的な情報発信に終始してしまい、国民とのコミュニケーションがうまくとれていなかったと言わざるを得ないと思います。

さて、部下への仕事の指示が今一つうまくいっていないと感じている管理職の皆さん。ご自身のコミュニケーションが双方向になっているか、一方的なインフォメーションになってしまっていないかどうか、あらためて確認してみてはいかがでしょうか。

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