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第1,080話 コーチングのステレオタイプな考え方にご注意を

2021年12月08日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「ティーチングのように答えを教えてしまうのではなく、コーチングによって気づいてもらうことが必要です」

これは、弊社がコーチングを主眼とした研修の依頼をいただいた際の事前の打ち合わせの時に、必ずと言っていいくらい研修のご担当者から聞く言葉です。

私が人材育成の業界に身を置くようになって来年で30年目になりますが、多くの企業でコーチング研修が取り入れられるようになったのは、今から約20年前、2000年頃だったと記憶しています。その頃は私自身も外部のコーチング研修を受講したり、関連する書籍を読み漁ったりしました。そして2000年代の前半頃には、様々な企業や自治体から管理職を対象にしたコーチング研修の依頼をいただくようになったと憶えています。

それでは、ビジネスにおけるコーチングとは何をすることなのでしょうか?

コーチングとは、「相手の潜在能力を引き出し、その力を最大限発揮してもらう」ことを目指す支援技法です。具体的な進め方としては、基本的に『教える』『アドバイスする』」ことはせずに、「問いかけて聞く」という対話を通して、相手自身からさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出す方法をとります。つまり、「相手はもともと完全な存在であり「自ら答えを見つける力を持っている」という考え方に基づき、質問によって自ら考えさせ、コミットメント(約束)させる」というところに特徴があるのです。

私がコーチング研修を担当させていただく際には、以上のようにコーチングを説明しています。

それでは、コーチングとは対極のように言われることの多いティーチングでは何をするのでしょうか。ティーチングとは、文字どおり「教える」ことです。知識・スキルを教えたり、指示したり、アドバイスをしたりすることにより、相手に答えを与えることで進めます。また、具体的な方法を伝え、相手にそのとおりにやってもらうことなども行います。

ティーチングのマイナス面としてよく言われるのが、部下が指示待ちになる、指示命令の枠を超えた成果を生みにくく、その結果相手の自律を阻むなどです。しかし、ティーチングだからと言って、一方的に教えることだけをするのではありません。その中では、相手の反応を確認しながら適宜質問したり、考えてもらったり、気づいてもらったりということもしているわけです。

これらを踏まえて改めて考えると、「知識、スキル」において基本的な部分が習得できていない段階では、コーチングよりも基礎知識や技術を具体的に教えるティーチングの方が必要ということになるわけです。

要は、ティーチングとコーチングはどちらが優れているといった話ではなく、相手の状況に応じて使い分けることが大切だということなのです。支援の初期段階では主にティーチングを使い、徐々にコーチングも取り入れていくことが必要です。ただし、どちらであっても、場面や状況に対して適切ではない方法を用いると効果が上がりませんし、場合によっては不満や不信を生じさせてしまうことさえありますので、この点は十分な注意が必要です。

支援をする側がどういう立場の人であっても、他者に知識やスキルを伝えたり習得してもらうのであれば、相手の状況に応じて適宜ティーチングとコーチングを使い分けることが大切です。よく言われる「ティーチングは良くない、コーチングが良い」というステレオタイプな考え方にはご注意を、と声を大にして伝えたいと思います。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

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