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「わかりやすい」という危うさ

2013年08月22日 | コンサルティング

ビジネスのあらゆる場面において「わかりやすい」ということはとても大切です。
お客さんに商品の特徴を説明するときも、社内外の会議で発言するときも、わかりやすいことを心がけなければなりません。
しかし、わかりやすいことが危うさをはらんでいる場合もあります。

文科省が毎年行う「全国学力・学習状況調査」の結果が発表される頃になると、「子供の成績は、親の経済状態に比例する」といった記事が新聞に載ることがあります。
ときには、テレビや新聞が「親の収入が高いほど子供の成績も良い」という非常にわかりやすいメッセージを発信することもあります。
親たちはこれを見て「経済的に余裕があれば子供をもっと塾に通わせた方が良いかな」と思ったりします。

調べてみると、都道府県単位で見る限り親の収入(県民所得)と子供の成績(学力テストの点数)の間にはほとんど関係がありません。平成20年のデータを使って回帰分析をおこなったところ、決定係数(R^2)はわずか0.0323でした。

「わかりやすさ」の裏側には、意図的にデータ端折って「結論を作ってしまう」ことが往々にしてあります。「親の収入が高いほど子供の成績も良い」と言うならば、どのデータを使ったのかを明記しない限り「ねつ造」とあまり変わらないように思います。

私たちが携わる企業研修でも似たようなことはあります。受講者が分かりやすさを求めるため、講師もわかりやすい結論を作ってしまうのです。

少々まとまりがなくても、複雑な表現を使わざるを得なくても、伝えるべきことは手間をかけてきちんと伝えるようにしたいものです。

(人材育成社)


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