「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「聞き取れなかったので、もう一度お願いできますか?」、「もう少しだけ声のボリュームを上げていただけますか?」
これは、弊社が対面での研修を担当した際に受講者にかけることが多い言葉です。コロナ禍も既に2年半が経過しますが、この間大きな声で話すこと自体を控えざるを得ない状況が続いていました。何よりも声がマスクで遮られてしまうために、より聞き手に声が届きにくくなってしまっているのです。
先日担当させていただいた研修は20代半ばの受講者が中心でしたが、「はい、いいえ」に限らず全員の前で発表していただくときも声が非常に小さかったため、やむを得ず途中からマイクを使用してもらうようにしました。その結果、多少は改善されたものの、まだ十分には聞き取れなかったため、研修担当者にマイクのボリュームを上げてもらい、ようやく聞こえるようになったのでした。
また、新入社員採用試験で集団討議のアセスメントを担当させていただく際にも、繰り返し声のボリュームを上げてほしいと声をかけざるを得ないときがあります。日本人はもともと諸外国と比べると声が小さいと言われているようですが、中でも私は相対的に最近の若い人に声の小さい人が多いと感じます。
私がコミュニケーションがテーマの研修を担当させていただく際には、冒頭で「聞き手に声が届かなければコミュニケーションは取りにくい」という話を必ずします。次に「あなたは日常生活の中で、相手から聞き返されることが多いと感じますか?」と質問すると、最近では受講者の一部しか手を上げないことが多いのです。客観的には多くの人が相手に声が届きにくい状態であるのにもかかわらず、本人はそれほど問題意識を持っていない人が多いことが少々気になります。
それでは、特に最近の若い人たちの声のボリュームが小さいことには何が理由があるのでしょうか?これに関して、以前試しに数人の受講者に質問してみたことがあります。その際の回答としては「研修などで多くの人を前にすると気後れしてしまい声が出ない」、「自分の発言に自信がない」、「そもそも声の大きさについて気に留めたことはない」、「大きな声を出そうと思っても出ない」など様々な答えを聞くことができました。
しかし、コミュニケーションが成立するためには、お互いが話していることが相手にきちんと伝わることが必要なのは言うまでもないことです。
私はこの点に関しては、既に10年位前から気になっていましたので、コロナ禍の前の新入社員研修での挨拶の練習時に、声量(音量)を測定したこともあります。その後も研修の中で腹式呼吸の練習をし、ボイストレーニングを経て声のボリュームを上げていただくようなことをすることもあります。
コロナ禍でそうした練習をしづらい現在、声のボリュームを大きくするためには、まずは自分自身の「声」に関心を持ってもらうことが必要です。さらにコミュニケーションにおいては必要以上に大きな声を出す必要はないものの、聞き手にしっかり声が届くことが大前提であるということを改めて理解していただきたいと、まさに「声を大にして」お伝えしたいと思います。