中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

40周年

2013年11月20日 | コンサルティング

本日(11月20日)、「ひこうき雲」を出されてから40周年。新しいアルバム「POP CLASSICO」をリリースしたユーミンこと、松任谷由実さん。今年、デビュー40周年を迎えたそうです。この40年という時間、あらためて大変な長さだと思います。

これまでにオリジナルアルバム36枚、ソロアーティストとして初めて3,000万枚が売れたそうです。ユーミンのファンは老若男女を問わず多いですね。勿論、私も大ファンです。

昨夜のNHKニュース9にご本人が出演されていたので、ご覧になった方も多いと思います。今回のアルバムは40年前と同じ日に出すことになったそうですが、アルバムに関して「40年をこれから迎える人にはとてつもないと感じるでしょう。でも、振り返るとあっという間。その40年は「捨てたもんじゃない」と思ってもらえれば。」とおっしゃっていました。

40年もの間、第一線で活躍し続けることは実に凄いことですが、果たしてその理由はどのような事なのでしょうか?

紡ぎだされる言葉の重さ。人気に溺れることなく、軸がぶれない人だということ。いろいろと考えているうちに、ふと、あることを思い出しました。

それは、今から10年近く前の2004年年7月の話。私の身内が縁あってユーミンの逗子マリーナのコンサート(そう、逗子マリーナでの最後のコンサートですね。)のスタッフの一人として、現場の準備などを手伝わせていただく機会がありました。全ての準備が終わり、身内は他のスタッフと一緒にステージの裏で休んでいたのだそうです。

そして、コンサートが開演。盛り上がる会場に向け、ギターやドラムなどのメンバーが一人一人、舞台裏から階段を上がってステージへ出ていく度に大歓声が上がったのだそうです。

そして、最後にユーミンがステージへと向かう時、それは起こったのです。

舞台裏の階段を上がり終え、ステージへの扉の前に立ったユーミン。そして扉を通る直前、後ろ(スタッフ側)に向き直り、そこにいたスタッフ全員に向け深々とお辞儀をし、そしてステージへ消えていったのだそうです。

その瞬間、身内は鳥肌が立つくらいに感動したそうで、今でもその光景が目に浮かぶそうです。

あれほどの大スターにして、現場の一人一人のスタッフへの感謝の気持ちを忘れない謙虚さ、心遣い。そして、それをきちんと示すこと。40年もの間、ユーミンが皆から愛され、第1線で活躍し続けている理由の一つなのだろうと思いました。

振り返って、私たちは日々の生活や仕事に追われる中、ついつい謙虚な気持ちや他人への感謝の気持ちを忘れてしまうことがあると思いますが、今日その大切さをあらためてユーミンを見ていて思い出しました。

(人材育成社)


会社という物質の相転移

2013年11月19日 | コンサルティング

先日このブログで「研修を受けた人が意識を変えて、職場でその成果を実践に移そうとすると様々な障害にぶつかる。結局会社は変わらない。まるで砂漠に水を撒いているようだ」という話を書きました。

では、会社の中で意識を変えた人がどのくらいの割合になれば、会社は変わるのでしょうか。

ここで、簡単な思考実験をしてみます。

会社という組織をひとつの大きな物質と考えてみると、人はその物質を構成する分子のようなものでしょう。「人を分子扱いするなんて、乱暴過ぎる!」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご容赦ください。

次に、会社が変わることを「相転移で考えてみます。

相転移とは物質の状態が変わることです。水は常温では液体(液相)、0℃以下では氷(固相)、100℃を超えると湯気(気相)になります。このように、物質を構成している分子の状態が少し変わるだけで、物質全体の性質が大きく変わる現象が相転移です。

さて、会社はどのくらいの割合の人が変わると相転移を起こすのでしょうか。

単純なモデルで考えると50%がその境界になります※。

「なーんだ、社員の半分が意識を変えないと会社は変わらないのか」と思われたことでしょう。

ただし、この場合の社員数には制限がありません。つまり無限の人数が集まった組織の場合です。

現実の会社では、おそらくもっと低い割合で相転移が起こるはずです。

私たちの仕事はできるだけ低い割合で会社に相転移を起こすことです。

従業員の意識を変えるような働きかけをやり続ければ、ある日突然氷が溶けるように会社が変わり始めます。

相転移はきっと起こります。

※参考 

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004997082

http://www.jinzaiikuseisha.jp/column/002.html

(人材育成社)

 


「レモンティにティンカーベルがいた!」 

2013年11月18日 | コンサルティング

                             

女の子 「ママ、 レモンティにティンカーベルがいたよ!」

ママ 「レモンティにティンカーベルがいた??・・意味がわからない!」

先日、100円ショップで買い物をしていた時に聞こえてきた、小学3年生くらいの女の子とそのお母さんの会話です。このやりとりを聞いた瞬間、私は大いに受けてしまいました。女の子のお母さんと同じく「レモンティ」と「ティンカーベル」の取り合わせがいかにも不思議でおかしかったですし、お母さんの「意味がわからない」というそっけない返答も妙におかしかったのです。

100円ショップのレジに並びつつ、肩を震わせて「クッ クッ クッ クッ」と声を抑えて笑いをこらえる私。周りの人にはさぞかし不気味に映ったかもしれません。

その後も暫らくの間、このやりとりを思い出すたびに笑いがこらえられなく、「クッ クッ クッ クッ」が続いたのでした。

家に帰ってから、あの女の子が言っていた「レモンティ」と「ティンカーベル」の正体は一体何なのだろうと気になりインターネットで調べたところ、その答えは実に簡単でした。何とキリンビバレッジの「午後の紅茶」のことだったのです。ご存知のとおり、「ティンカーベル」とは小説『ピーター・パンとウェンディ』などに登場する妖精で、その粉を浴び信じる心を持てば空を飛ぶ事が出来るともいわれていますが、この「ティンカーベル」がペットボトルにデザインされていたのでした。

写真がそれですが、これは今年6月に数量限定で行われた午後の紅茶とディズニーのコラボデザインの第2弾とのこと。今回は対象商品を増やし、例えばホット飲料『あたたかい生茶』では、描かれたディズニーキャラクターの洋服の色が温度によって変化するといった遊び心も添えられているのだそうです。

さて、冒頭の女の子とお母さんの会話はちょっとチクハグになっていましたが、これは同じコンテクスト(context)を持ち合わせていなかったことが原因です。コンテクストについては、これまでこのブログでも何度か触れていますが、直訳すれば「文脈」ということ。コミュニケーションで考えると「文化・風土・価値観」といわれています。

コンテクストを意識せずにコミュニケーションをとると、自分では言ったつもりでも相手には受け入れられていないことがあるのです。

同じコンテクストを共有していれば、言葉を少々省略しても通じることもありますが、そうでない場合は発言の背景や前提をきちんと伝えないと、思いがけず誤解を与えてしまうことがあります。冒頭の女の子とそのお母さんも、まさにコンテクストが違ってしまっていたということですね。

さて、そんな私も「クッ クッ クッ クッ」と人の会話を笑っている場合ではありません。コンテクストがいかに大切であるかを研修で力説しつつ、自分自身もしかして「レモンティにティンカーベルがいたよ!」的な発言をしている時があるかもしれないと思ったのです。今回はコンテクストの大切さを改めて意識させられた親子の会話でした。

(人材育成社)


いっそ全部ひらがなとカタカナで書いてしまおうか

2013年11月17日 | コンサルティング

パソコンを使うようになってから、すっかり漢字が書けなくなった・・・このセリフ、一度ならず口にしたことがあると思います。

わが身を振り返ると確かに「読めるが、書けない漢字」が年々増えています。それは多くの人の前で(ホワイトボードに)文字を書きまくる講師という商売をしている人間にとって切実な問題です。

先日も研修の最中に漢字が思い出せなくなり「いっそ全部ひらがなとカタカナで書いてしまおうか!」と思ってしまったほどです。

さて、わが国で漢字を廃止してひらがなとカタカナにしようという話は過去に何度かありました。特に、第2次大戦後に漢字廃止の動きがあったことはよく知られています。

終戦直後の1946年(昭和21年)4月、志賀直哉は「日本語を廃止して、世界中で一番うつくしい言語であるフランス語を採用せよ」と雑誌で提案しました。また、讀賣報知(読売新聞)は「漢字を廃止せよ」という社説を掲載しました。

さらに遡って1866年に、前島密が将軍・徳川慶喜に漢字御廃止之議を献じたとあります※。また、福澤諭吉が徐々に漢字を廃止して仮名を用いるべきであると主張したり、原敬らが漢字節減に関する具体的な方針を発表したこともありました。

漢字廃止または節減論者が依っていた根拠には(1)習得するのが難しいこと、(2)活字印刷技術上の問題(活字の母型がたくさん必要になる)があったようです。

しかし、この点については(1)日本人の漢字識字率が圧倒的に高いこと、(2)日本の印刷技術の急速な発展(たくさんの中小企業が支えました)によって消えていきました。

現在、中国および中華民国以外の国で漢字を主に使っているのは日本だけです。

そして日本は、漢字もアルファベットも受け入れてとても豊かな文字文化をつくりました。実際、漢字と仮名とアルファベットが混在する文章を読んでも全く違和感がありません。

日本語の文章は複雑な表現であっても全体としての美しさを保っています。その上個性のある文章を誰もが比較的簡単に書くことができます。

よく考えてみると、これは奇跡に近いことかもしれません。

大げさではなく、日本の文字文化を世界遺産にしてほしいとさえ思っています。

私がホワイトボードの前でいかに大きなプレッシャーを感じているか、お分かりいただけると思います。

(人材育成社)

※ http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/pdf/maejimahisoka.pdf


恐るべき、女性達のパワー

2013年11月16日 | コンサルティング

今日、とある有名ブランドのセールに初めて出掛けました。このセールは大変な人気で毎回大勢の人が押し掛けるとの話で、今日も知り合いが7時には会場に行くと事前に聞いていました。

始まる2時間半も前に行くの?とその力の入れように驚きつつ、それならば私もと一世一代の覚悟で同じ時間に着くように家を出ました。

ところが、現地に着くと何と既に30人もの女性達が並んでいたのです。今日は日中は気温が上がりましたが、早朝は結構寒かったのにです。この人達は一体何時に起きて家を出たのだろう?と思いつつ、私もその列の最後に並びました。

開場までの2時間半の間、女性達は時間を持て余すどころか朝ごはんを食べて仲間と談笑したり、初対面の人同士でこれから始まるセールに向けて情報交換をしたりと結構盛り上がっていました。

こうして2時間半が過ぎ、ようやくセールの会場に入ったのですが、そこからがまた驚きの連続でした。

女性たち(男性も一部いるにはいましたが・・)の買い物パワーが一斉に全開になったのです。入場の際に渡されるビニール袋に、これでもかという勢いで次々と服を入れ、詰め込んでいるのです。いくらブランドセールとはいえ、最低でも1着1万円はするのに!(もちろん袋に入れた物を全て買うわけではなく、最終的には試着して購入する服選びをするのですが)

この会場だけを見ている限り、まるで不況なんてどこ吹く風、日本の景気は完全に回復したのではないかと思える状態で、何とも恐るべき、いや頼もしい女性パワーです!

ここでちょっと視点を変えると、日本の女性管理職の比率は国際比較では諸外国と比べて大きく低く、10%に満たない企業が81%もあるという報道がありました。確かに私が担当する管理職研修でも、女性の受講は1割未満だと感じます。政府は2020年には30%にするのが目標とのことですが、残念ながら先の見通しは必ずしも楽観的ではないようです。

今日の女性たちの買いものに捧げるエネルギッシュなパワーを目の当たりにして、このパワーを使わない手はないのにと思ったのでした。

ちなみに、今日私が購入したのはパンツ(ズボン)一枚でした。残念ながら、私にはまだまだそこまでのパワーは持ち合わせていないということか!と我が身を振り返ったのでした。

(人材育成社)


マズローの欲求5段階説

2013年11月15日 | コンサルティング

マズローの欲求5段階説(Maslow's hierarchy of needs)は研修講師が好んで使用するアイテムのひとつです。

マズロー(アブラハム・マズロー、アメリカの心理学者)は、人間の欲求はピラミッドのような構造を持ち、低階層の欲求が満たされれば、さらに高次の階層の欲求を満たすように行動すると述べています。

5段階の欲求は下から上へ・・・

・生理的欲求: 生命維持のための根源的な欲求
・安全欲求: 安全・安心を求める欲求
・社会的欲求: 集団に所属したいという欲求
・尊厳欲求: 他者から尊敬されたいという欲求
・自己実現欲求: 自己の存在意義を実現する欲求

・・・となっています。

研修講師は、管理職研修などでこの欲求5段階ピラミッドをプロジェクタで投影しながら次のように説明します。

「部下のやる気を高めるには、部下の欲求段階を把握して、その段階に見合った報酬を提供することが大切です。」

そして、このピラミッドもまた、付け焼刃の知識を振り回す「ダメ講師」がよく使う絵のひとつでもあります。

おろもしろいことに、この絵を使って「ダメ講師」かどうかを簡単に見破ることができます。

ピラミッドの一番上と一番下を残して中間の3階層の言葉を隠した絵を作り、「3つの欲求を記入してください」と講師にクイズを出すのです。

おそらく、この絵を使う研修講師の半分以上は書けないと思います。書けたとしてもちょっと悩んだり考え込んだりするはずです。

「ダメ講師」は聞きかじった知識を確認もせず、「モチベーションといえば(なんでもかんでも)欲求のピラミッドですっきり解決!」と信じ込んでいます。

「金槌しか持っていない人は、すべての問題が釘に見えるだろう」

・・・実はこれもマズローの言葉です。

(人材育成社)

 


「順番にやっていますから」 

2013年11月14日 | コンサルティング

「順番にやっていますから」

「待ち時間は何分くらいでしょうか?」 との質問に返ってきた言葉です。

先日、処方箋を持って薬局に行ったところ一見して混んでいました。その日は先を急がなくてはいけなかったので、もし待ち時間が長いようであれば別の日にしようと考えて質問をしたのです。

「あまり時間がないので、何分位かかるのか知りたいのです。どれ位待つことになりますか?」と再び質問をしましたが、再び「順番にやっていますから」という答えが繰り返されました。

結局、確認したかったことの返答を得られなかったので、私は薬を諦めて薬局を後にしました。

具体的な数字をあげて、もし余計に時間がかかるとクレームになって困るから、とマニュアルで決められた定型的な表現なのかもしれませんが、このようにあいまいな表現を用いることが結構多いですね。

あいまいな表現の定義は、「大きい」「小さい」などの形容詞を中心に、「たぶん」「だいたい」などの表現、「○○だと思います」などの受動態のことを言います。

曖昧な表現を定量化すればクリアになるのにと思いつつも、自信が無い時など曖昧表現を多用している自分にふと気がつく時があります。

皆さんは「折り返しすぐに電話します」という時の「すぐに」は、どれ位の時間をイメージしますか。

先日、研修で受講者に尋ねたところ、2~3分から4時間まで人によってとらえ方が大きく違いました。2~3分を想像していた人が4時間も待たされたら、きっと待ちくたびれてしまうと思います。

このような場合などにできる限り定量化することができれば、具体的なイメージを持つことができるので安心感につながり、双方とも無駄なエネルギーを使わなくてすむのにと思うのですが、どうでしょうか。

そんなことを考えていたところ、先週末の夜、お腹が空いたので家路を急いでいた時のことです。「信号機故障により電車が大幅に遅れています。振り替え輸送を行っていますので、乗り換えてください」とのアナウンスがホームに流れました。「大幅に遅れているのでは仕方がない」と考えて、振り替え輸送の電車に乗り、遠回りをして家にたどり着きました。

お腹がぺこぺこでふらふらになりながら、テレビをつけたところ、大幅に遅れていたはずの電車が私が振り替え輸送の電車に乗り換えたすぐ後と思われる時間に動き出したことがわかりました。

「大幅に遅れています」と言ったじゃない!だから乗り換えたのに。こうだからあいまいな表現は困るんだ」と思いながら、遅い夕食をとりました。

(人材育成社)


集団浅慮:皆で決めたことは、間違いである!

2013年11月13日 | コンサルティング

私たちは小学生の頃から学級会や部活など集団でものごとを決める」というルールを学び、身につけてきました。

しかし、社会学者たちの研究によれば「集団で決めた事柄が大きな過ちにつながる」というのが事実のようです。社会心理学者のアーヴィング・ジャニスによれば、これを集団浅慮と呼ぶそうです。浅慮=浅はかな考え、ですね。

ジャニスの研究では「真珠湾攻撃の可能性の過小評価」、「ベトナム戦争への深入り」など、過去のアメリカの大統領とアドバイザーたちの意思決定の失敗を分析しています。どのような条件が重なると集団浅慮が生じるのかは下記サイトをご参照ください※。

また、「社会的手抜き」とは、集団で作業を行うと一人ひとりが出すパワーが人数の増加に比例して低下するという現象です。皆でお神輿を担いだり綱引きをしたりするときに、よく手抜きをする人がいたりしますよね。

というわけで、どうやら集団というのはあまり良くないシステムのようです。

しかし、本当にそうでしょうか。

私は、集団というシステムが概ね上手く機能するからこそ、かえって浅慮や手抜きが目立ってしまうのだと思います。

そうでなければ人類は集団を作って活動することはなかったでしょう。なぜなら、集団での行動が失敗につながることが多いとしたら、人類はとうに滅んでいたはずです。

私たちがこうして古代人よりも長生きができて、まともな生活を送れているのは集団というシステムのおかげであることは間違いありません。

そして会社は最も進化した集団のあり方のひとつです。

もちろん、社内には浅慮や手抜きもあるでしょうから「満点」とは言えませんが、よりマシなシステムとして「合格点」には達していると思います。

月曜の朝会社に行きたくなくても、会社が「よりマシなシステム」だと思えば少しは気が休まるのではないでしょうか。

※ http://www.educate.co.jp/glossary/3-education/100-group-think-.html

(人材育成社)

 


ディスカッションの進め方を習ったことがありますか?

2013年11月12日 | コンサルティング

「ディスカッションのルールを教えてもらってよかった」

 「ルールの中で一番参考になったのは、他者の意見と異なる意見を言う時には、先ず意見を受け止める、批判をする時には必ず代案を言う」

がとても役にたったとのことでした。

皆さんはディスカッションの進め方を習ったことはありますか?

この秋は「問題発見・課題解決」をテーマとした研修を週に2~3回のペースで行っています。この研修を行う時は終始グループディスカッションで進行するのですが、先日研修の開始時にディスカッションのルールを紹介してから研修を始めたところ、研修終了後に数人の受講者が感想を言いに来てくれました。

研修においては、ディスカッションがどれくらい活発に行えるかが成果に大きな影響があると感じています。企業内で行われる研修であっても、面識がない人同士が同じグループでディスカッションをすることはどうしても遠慮があり、なかなか難しいことです。もちろん、研修の開始時には自己紹介をはじめアイスブレイクの時間をとっていますが、それでもディスカッションの盛り上がりは、グループによって差が出てきます。

では、その差はどこからくるのか。

それぞれのグループのディスカッションを観察していて感じるのは、そこで行われているのは実は本来の意味でのディスカッションではないということです。ディスカッションと称して順番に発言をしているだけです。他者の発言に対して突っ込みを入れたり、質問をしたりすることはほとんどない。時々感想を言う人がいるくらいのやりとりしか行われないていないのです。

そこで思ったのが、そもそもディスカッションの進め方を知らないのではないかということです。自分の意見を発信することにためらいがある、そのために順番に発言をすることになる。他者の意見を肯定することはできても、突っ込みを入れたり批判をすることにはネガティブなイメージがあって、どうしても遠慮をしてしまうのです。

短時間のディスカッションならばともかく、2時間を超える大型の演習では決められた時間の中で結果を模造紙にまとめるなどの成果が求めることがありますが、グループの中で発言を遠慮しあっているとちっとも議論が進まず、あっという間に納期(終了時間)が来て、完成に至らないという事態も起きうるのです。

最近そういう事態を見ていて、私たちは学校時代にディスカッションの進め方を習うことがなかったのではないか?と思うようになりました。

発言を行き交わすことがないディスカッションであれば、同じ場所に集う必要はないのです。

でも、ディスカッションの重要性はみんなわかっているのですから、これからでも遅くはない、まずはディスカッションのルールを共有することから始めようと思います。

(人材育成社)


管理職は水門

2013年11月11日 | コンサルティング

「いくら研修をやっても、会社は変わらないんだよなー」

これは、いまから10年ほど前、ある大企業の人事部で社員研修を担当していた友人から聞いた言葉です。

その時私は、「研修は無駄だってこと?」と聞いてみると、「いや、絶対にそんなことはない!研修を受けた社員は、皆顔つきが変わって帰ってくる」と彼はきっぱりと答えていました。

しかし、その後でぽつりと「でも、砂漠に水をまいているような感じがするんだ」とつぶやいていました。

研修を受けた人が職場に戻って、その成果を少しでも実践に移そうとすると様々な障害にぶつかります。忙しくて時間がない、実行するには予算が足りない・・・・。しかし、最大の障害は「上司」であることが多いようです。

上司が小さな水門のように職場の変革をせき止めている、というイメージでしょうか。

この「水門モデル」で会社を考えてみると、職場の変革が局所的なレベルに封じ込められ、やがて枯渇させられていく様子がよくわかります。

しかし、水門は開くことができます。すべての水門が開けば組織全体に変革が行き渡り、会社は変わります。

もしあなたが管理職ならば、自分が会社のなかの水門であることをイメージしてみてください。

(人材育成社)