マズローの欲求5段階説(Maslow's hierarchy of needs)は研修講師が好んで使用するアイテムのひとつです。
マズロー(アブラハム・マズロー、アメリカの心理学者)は、人間の欲求はピラミッドのような構造を持ち、低階層の欲求が満たされれば、さらに高次の階層の欲求を満たすように行動すると述べています。
5段階の欲求は下から上へ・・・
・生理的欲求: 生命維持のための根源的な欲求
・安全欲求: 安全・安心を求める欲求
・社会的欲求: 集団に所属したいという欲求
・尊厳欲求: 他者から尊敬されたいという欲求
・自己実現欲求: 自己の存在意義を実現する欲求
・・・となっています。
研修講師は、管理職研修などでこの欲求5段階ピラミッドをプロジェクタで投影しながら次のように説明します。
「部下のやる気を高めるには、部下の欲求段階を把握して、その段階に見合った報酬を提供することが大切です。」
そして、このピラミッドもまた、付け焼刃の知識を振り回す「ダメ講師」がよく使う絵のひとつでもあります。
おろもしろいことに、この絵を使って「ダメ講師」かどうかを簡単に見破ることができます。
ピラミッドの一番上と一番下を残して中間の3階層の言葉を隠した絵を作り、「3つの欲求を記入してください」と講師にクイズを出すのです。
おそらく、この絵を使う研修講師の半分以上は書けないと思います。書けたとしてもちょっと悩んだり考え込んだりするはずです。
「ダメ講師」は聞きかじった知識を確認もせず、「モチベーションといえば(なんでもかんでも)欲求のピラミッドですっきり解決!」と信じ込んでいます。
「金槌しか持っていない人は、すべての問題が釘に見えるだろう」
・・・実はこれもマズローの言葉です。
(人材育成社)