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お中元

 5月はじめに3本虫歯を抜いて以来、毎週歯医者に通っている。先週の金曜日で7回通ったことになるが、長年ほかりっぱなしにしてきたツケは大きく、まだまだ道半ばにも達していないような気がする。次回から3本抜いた箇所にブリッジを架けて歯を入れる準備を始める予定だが、毎回行くたびに少しずつ自分の口の中が整備されていくのは嬉しい。次はどこを直してもらえるのかな、と少しばかり楽しくなってきたのは事実だが、相変わらず待合室で待つのがいやで、妻に待合室に座っていてもらって、私は外で待っていて、自分の順番になると治療室に入って行く、というのを繰り返している。治療用の椅子に座っても、心がざわついて落ち着かない気持ちになるが、歯科医の従兄弟が気を遣って手際よく私の治療を済ませてくれるので、なんとか大きな迷惑をかけずに治療を終えることができている。本当にありがたいことだ、と心から従兄弟には感謝している。私より2歳年上で、中学・高校の先輩でもあるので、常にリスペクトの気持ちは忘れないで過ごしてきたつもりだが、自分がこうまで世話になると何か感謝の気持ちを伝えたくなる。治療が終わるたびに「ありがとうございました」とお礼は述べているが、とてもそれだけでは足りない・・。
 日本ではこういう場合にふさわしい慣習が古来から続いている。今の時期なら「お中元」を贈ることにっよって、普段から世話になっている人に自らの感謝の気持ちを表すことができる。もちろん儀礼的なものになってしまって、邪魔くさい慣習だと思う場合も多々あるだろうが、今回の私のような場合、そうした慣習にのっとって己の気持ちを伝えるのが一番自然なように思える。そこで名古屋の松坂屋に出かけてみた。

 お中元はいつ贈るものなのかよく分からないが、特設会場もできていて多くの人で混雑していたから、今がふさわしい時期なのだろう。ただ、その会場では商品を選ぶと自動的に郵送の手続きをするようになっているらしく、商品を持ち帰ることはできない決まりになっていた。その方が便利だと思う人が多いからなのだろうが、私は直接手渡すつもりで住所など控えてこなかったから、特設会場の品物を選ぶことができず、地階の食品売り場で何か良い物を探すことにした。
 妻と二人であれこれ迷いながらしばらく売り場を歩いていたが、これならいいかな?と思うものをやっと見つけた。それは「参宮あわび」で有名な「伊勢せきや」の「ご飯の素」というもので、「あわびごはん」「帆立貝柱ごはん」「鮎ごはん」などを作るための具が入っているものだ。それらを何種類か詰め合わせてもらったら、ちょっと気の利いたお中元になったように思えて嬉しかった。従兄弟の亡くなった母親、つまり私の伯母は五目御飯を作る名人だったので、従兄弟もきっとこの「ご飯の素」を喜んでくれるではないだろうか・・。

 お中元が決まったら、正午をかなり過ぎていた。もう余りゆっくりしていられないので、昼食を食べて帰ることにした。昼食に選んだのは「山本屋」の味噌煮込みうどん。昨年松坂屋本館のレストラン街が改装された際に、飲食店がかなり変わったが、さすがに味噌煮込みうどんの老舗の「山本屋」はそのまま営業を続けている。ただし、店の雰囲気がかなり変わって、メニューも新しくなった。

 以前なら、海老のてんぷらが中に入った味噌煮込みを注文できたのに、今ではてんぷらが別の皿に乗せられて出てくる。海老が大きくなったわけでもないのに(むしろ小さくなった気さえする・・)値段が高くなったのには少々不満を感じる。だが、やはりおいしい。麺は少なめだが、赤味噌の汁は最後の一滴まで飲みたくなる。途中で汗が滴り落ちてくるが、残したくはない。蓮華で最後まで掬って飲んでしまった。これこそ味噌煮込みの正統的な食べ方だ!
 
 ところで、白味噌の煮込みうどんてあるんだろうか。私には想像もできないが・・。
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