じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

コア・サイエンス・ティーチャー

2008-08-28 17:49:22 | 教育
★ 文科省は理数系に強い小学校教員を養成するプログラムを始めるという。今さらながらという感はするが、教育が重視されることは喜ばしい。ただ、どのような教員をどのように養成(研修)するかは、これからのようだ。

★ こうしたプログラムが導入される理由としては、学力の国際比較で理数系の分野が弱いことや従来から言われている若者の理数離れ、そして小学校教員を志望する人は文系出身者が多く、その結果、算数や理科の授業が不十分だ、といったことが指摘されている。

★ 一般論としてはそういうことだが、いくつか考慮すべき点もある。

★ まず、学力の国際比較だが、日本の場合ここ数年間で中位層の低下が著しい。低位層の拡大が平均点の低下を招いているが、この傾向が社会階層の変化と似ているのが興味深い。学力格差は家庭の所得格差とかかわりがあるようで、それだけに根深い課題だ。

★ 見方を変えれば、エリート層はどの時代でも一定の割合で存在している。コア・サイエンス・ティチャー構想は、果たして何をめざすのか。エリート層に更なるエリート教育を施すのか、それとも低位層のサポートを目指すのか。

★ 算数について言えば、「ゆとり」教育の余波はあるものの計算力はさほど低下していないように思える。問題は思考力を要する文章問題だが、こうした問題では算数の問題以前に読解力の問題が大きい。理数系のサポートも結構だが、理数系の教科で成果を上げるには読解力や表現力の養成が不可欠に思える。

★ 対処療法としての理数系のサポートは理解できるが、根治療法としては、社会経済の安定、家庭の再生、読解力・表現力といった国語力の強化こそが求められる。

★ 小学校教員に文系出身者が多いのは、今までの小学校教員という職種の特性によるものであろう。理数系が得意な人は「教育」という活動よりも「研究」「開発」に進む人が多く、民間企業や研究所でそうした職種も多彩に用意されている。また、「教育」に関心がある人も理数系の人はより専門的な中学校や高等学校の教員を目指す場合が多かったのではなかろうか。

★ 小学校での専科制の導入や小中連携など一部で実験的な取り組みが始まっているが、小中一貫制といった制度的な変革や理数系教員の待遇の改善が必要であろう。小学校の理数系教員になることにうまみをつける必要がある。

★ 最後に理科の指導内容の検討や観察や実験に十分な時間をとれる柔軟な教育課程の編成が望まれることは言うまでもない。 

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