☆ 新聞で話題になっていたので文部科学省の「英語教育実施状況調査」を調べてみた。この調査では、高等学校・中学校の英語科担当教員の英語力、高校生・中学生の英語力、英語教育の実施状況を校種別、都道府県別に調べている。
☆ 新聞では中学3年生で英検3級程度の英語力をもっている生徒が40%程度で政府の目標(50%)に到達していないことを強調していた。
☆ 実態調査自体にケチをつけるつもりはないが、いくつか課題を考えてみた。
☆ まず、英語を指導する教員の英語力と生徒の英語力とに相関があるとの前提にたった調査だろうが、どこまで実証されているのだろうか。
☆ 教員や生徒の英語力の基準として主に英検が使われているが、それが適切だろうか。
☆ 経験から考えると、中学3年生で英検3級をとれる生徒は、英語の5段階評価で5か4レベル。今は相対評価ではないが、5や4をとるレベルの生徒がクラスの50%というのは考えにくい。
☆ 英検では前半の筆記がダメでも後半のリスニングテストが強ければ結構点数が稼げる。マークシートなので勘でも結構当たる。(筆記とリスニングを分けて評価するようになるとも聞いたが、そうなると取得者は減りそうだ)
☆ 都道府県別の調査で、英検3級をとっていなくとも「同等の力があると思われる」という生徒数が計上されている。どうも都道府県でバラツキがあり、お手盛りになっていないか疑われる。
☆ 英語の授業で、担当教員が授業の半分以上を英語で発話しているかの問いに、70%が「そうだ」としているが、実態とかけ離れているように思う。学級崩壊寸前で、授業が成り立っていない実態も多いように思う。
☆ 文科省としては予算を獲得するために「これだけ進んでいますよ」という実態をアピールしたいのだろうけれど、多忙化問題が話題となっている中、この手の調査が教員の多忙化を助長しているのではと心配もする。考えすぎかもしれないが。