★ 乃南アサさんの「しゃぼん玉」(新潮文庫)を読んだ。
★ 家庭に恵まれなかったとはいえ、刹那的な生き方しかできない主人公(伊豆見翔人)。とうに二十歳も過ぎたが、住むところも定まらず、食うに困ればひったくりで食つなぐ。遂には人を傷つけてしまった。逃走の途中で行きついた田舎の集落。バイクの事故で動けなくなった老婆を助けたことから、居候をすることに。
★ 隙があれば金品を奪い、バイクを奪い、また逃げればいい。
★ ところが田舎の人々と生活をする中で、働くことの喜びを感じるようになった。人の温かみを知ることができた。彼は今までの自分を振り返り、逃げてばかりだったと反省する。今からでもやり直せるか、また逃げてしまうのか。葛藤に揺れながらも一歩前に進もうと決心する。
★ 待つ人がいるから、行くことができる。しゃぼん玉のように風に流され、触れられれば消えてしまうような人生にケリをつけるために。
★ 主人公、伊豆見翔人の心の変化が楽しい。素朴に生きる人々、しかし彼らもまた悩みを抱えながら生きている。苦しみながらも逃げないこと、老人たちの心に刻まれた年輪が、硬く凝り固まった翔人の心を和らげたのだろう。「ぼうは、ええ子」、主人公の頭をポンポン叩きながら発する老婆のこの言葉が心に響く。
★ 家庭に恵まれなかったとはいえ、刹那的な生き方しかできない主人公(伊豆見翔人)。とうに二十歳も過ぎたが、住むところも定まらず、食うに困ればひったくりで食つなぐ。遂には人を傷つけてしまった。逃走の途中で行きついた田舎の集落。バイクの事故で動けなくなった老婆を助けたことから、居候をすることに。
★ 隙があれば金品を奪い、バイクを奪い、また逃げればいい。
★ ところが田舎の人々と生活をする中で、働くことの喜びを感じるようになった。人の温かみを知ることができた。彼は今までの自分を振り返り、逃げてばかりだったと反省する。今からでもやり直せるか、また逃げてしまうのか。葛藤に揺れながらも一歩前に進もうと決心する。
★ 待つ人がいるから、行くことができる。しゃぼん玉のように風に流され、触れられれば消えてしまうような人生にケリをつけるために。
★ 主人公、伊豆見翔人の心の変化が楽しい。素朴に生きる人々、しかし彼らもまた悩みを抱えながら生きている。苦しみながらも逃げないこと、老人たちの心に刻まれた年輪が、硬く凝り固まった翔人の心を和らげたのだろう。「ぼうは、ええ子」、主人公の頭をポンポン叩きながら発する老婆のこの言葉が心に響く。