ドラマ「北の国から’０２遺言」

★　ドラマ「北の国から’０２遺言」（２００２年）を観た。感動した。およそ２０年前、放映時に観たとき以上に感動した。ドラマを観るにも適齢期があるようだ。

★　１９８１年の放映開始のとき、純と蛍の兄妹、それにキタキツネが印象に残っている。それから２１年。黒板五郎役の田中邦衛さん、純役の吉岡秀隆さん、蛍役の中嶋朋子さんなど主要なキャストが変わらずに描き続けられたのは奇跡と思える。子役の二人の成長が、作品そのものの成長でもあったようだ。

★　あらすじは言うまでもないが、北海道の富良野に移住した父親と兄妹の３人家族が、自然や土地の人々に囲まれながら暮らしていく物語。どの家族にもあるように、いくつもの困難に直面し、出会いと別れを経験する。

★　「’０２遺言」は最後の作品。五郎にも老い、そして死が近づいてきたようだ。やるべきことはやりつくした満足感と蛍の子、つまり五郎の孫と別れることのつらさ。自らがこの世からいなくなった家族を思いやり「遺言」を書きながら号泣する五郎が印象的だった。

★　今改めて見ると、田中邦衛さんの存在感が際立つ。訃報に際し、あるニュース番組で倉本聰さんのコメントが印象的だった。

★　「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」。チャップリンの言葉だそうだが、「北の国から」のテーマはこの言葉にあったとか。

★　田中邦衛さんが時々見せるコミカルな演技に笑い、共に怒り、共に泣ける。これほど感情移入できるようになったのは、私が黒板五郎と同年代になったためだろうか。

★　嗚咽しながら最後の回想シーンを見終えた。