じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

室積光「史上最強の内閣」

2021-04-24 01:45:29 | Weblog
★ 表の内閣は、「地盤、看板、鞄」を譲り受けた二世、三世の世襲議員ばかり。お坊ちゃま達は、国家の危機に直面しても右往左往で物事を決めることができない。与党に限らず、野党も似たようなものだというから悲劇的だ。でも、心配はご無用。日本には京都の御所で密かに出番を待つ裏の内閣(シャドウ・キャビネット)、「史上最強の内閣」が控えているのだ。

★ 室積光さんの「史上最強の内閣」(小学館文庫)を読んだ。こういうのは風刺小説と言うのだろうか、現実の政治をパロディ化し、面白く読ませてくれる。

★ 浅尾内閣は危機に直面していた。経済の行き詰まり、与党内の分裂、それに「北」は核兵器で脅してくる。まさに内憂外患。浅尾総理は鷹山釘男代表、大沢一郎幹事長率いる野党に政権を渡すくらいならと、遂に伝家の宝刀を抜いた。国民の前に、現政権は二軍であり、短期間の間、「史上最強の内閣」に政権を委ねると発表したのだ。

★ 藤原北家の流れをくむ二条友麿総理をはじめ、総務大臣には高杉松五郎、外務大臣には坂本万次郎、防衛大臣には山本軍治、国家公安委員長には西郷利明などどこかで聞いたことのあるような錚々たる面々が紹介された。

★ 二条総理の京ことば、新門辰郎文科大臣のべらんめぇー調、長州に薩摩に土佐の方言が飛び交い、広島出身の山本防衛大臣は「仁義なき戦い」の菅原文太さんのようだ。

★ 「北」はいよいよミサイルを発射すると、名物のおばさんアナウンサーの名調子。そんな折、「北」の将軍の御曹司が不法入国で拘束される。政権は「北」との交渉に彼を利用しようとするが、どこでどうなったのか、御曹司のキャラが受け、テレビなどで引っ張りだこに。長寿番組「鉄子の居間」にも出演する。

★ さて、クリキントン、プッシュ、オハマと歴代のアメリカ大統領ともつながりのある「史上最強の内閣」は日本の危機を解決できるのか。

★ ドラマならば、「この物語はフィクションであり、登場人物等はすべて架空のものです」とテロップが流れそうだ。浅尾総理と言うのは麻生総理で、野党・民権等の鷹山代表は鳩山代表、大沢幹事長は小沢幹事長、何かと言えば憲法9条を持ち出す社倫党の宮城美津穂は、あの人だ。

★ 風刺の中には真実がある。三度も伝家の宝刀を抜いた現政権(抜けば抜くほどに価値が下がる)。「史上最強の内閣」ならどんな手を打つだろうね。

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