じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

浅黄斑「雨中の客」

2021-04-27 17:43:03 | Weblog
★ 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が小学生の話題になっているとかで、原作第1話を読み、アニメ第1話を観た。

★ 第1話は水泳が苦手な小学5年生の女の子の話。幸運な人だけが見つけられる「駄菓子屋 銭天堂」。女の子は人魚の型抜きグミを売ってもらう。そしてそれを食べたら、まるで人魚のように水泳が得意になった、とそこまでは良かったのだが・・・。

★ 原作は廣嶋玲子さん。偕成社から小説が現在まで15巻出ているという。アニメは紙芝居のようなレトロ感がある。大人が見てもなんか懐かしい。配色が美しい。物語は、小学生版「笑ぅせぇるすまん」と言う感じかな。

★ さて、本題に入りまして、浅黄斑さんの「雨中の客」(「小説推理新人賞アンソロジー Ⅰ」双葉文庫所収)を読んだ。第14回(1992年)受賞作。

★ 主人公はちょっと名の通った小説家。古書の蒐集を趣味としていた。彼はある講演会に招かれ、丁重なもてなしを受ける。スポンサーはまだ若いが成功した実業家だという。後日、その男が主人公の家を訪れる。雨の中、高価な日本酒と豪華な重箱を下げて。主人公の作家にとってそこまではありがたかったのだが、どうも来訪も用件がわからない。ちょっと立ち寄ったにしては手が凝っている。

★ しばらくの歓談の後、古書が話題となる。主人公にとって同好の人との語らいは嫌いではないが、同好と言うわけでもないらしい。主人公の秘蔵本に話が及ぶと、急に雲行きが変わってきた。どうやらその本には曰くがあるらしい。

★ 本好きの読者は作品に引き入れられる。「或る『小倉日記』伝」や「理外の理」のような松本清張作品と雰囲気が似ている気がした。
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