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予知できないものを予知しようとする矛盾 - 南海トラフ地震臨時情報に絡むモロモロ。その5。

2024年08月17日 23時59分59秒 | 社会・経済
8月8日に発表された、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」
2019年からの運用の中で初めてだったこともあり、各所で様々な判断や反応、自粛や「静かなパニック」などがありました。
僕個人としても「なかなか微妙だな」と当初から思っており、15日の夕方に発表は解除されましたが、発表からいろいろと思ったこと感じたことなどを書いています。今日はその5回目です。 


初めて発表された、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」ですが、ニュースなどの情報を正しく理解された方は、これが地震予知情報ではなく、僕も今回当初から記事に書いておりますが、普段に比べて相対的に地震が起きる可能性が高まっているということで、気象庁のホームページでも、

南海トラフ沿いで異常な現象を観測された場合や地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合等に、気象庁から発表される情報です。

という記述があり、必ず地震が起きるという情報ではないことが書かれています。
しかしながら、下記のTBSのニュース記事を読んで少し考えたのですが、
4人に3人が「地震が起こると思った」ということは、十分に「地震予知情報」として広まってしまったのであり、そもそも「巨大地震発生の可能性が平常時と比較して比較的高くなっていることを知らせるもの」って、それって予知じゃないの???と素人的には思ってしまっても無理はないと思います。
僕だって、「普段に比べて相対的に地震が起きる可能性が高まっている」と書きながら、正直心のどこかの片隅では「ひょっとしたら起きるんじゃないの???」と思っていました。

ということで、ここからぶっちゃけな話を書きます。少し、いや結構誤解も生じるかもしれませんが、それを恐れずに書きます。
まず、今回「相対的に地震が起きる可能性が高まっている」と言っても、例えば、平時で0.01%であったものが、0.05%になったぐらいの話なわけで、実際にいろいろな現象があって可能性が統計的に高くなったとしても、その程度の話なのです。
もちろん個人でそれでも「地震が起こるのでは?」と思うのであれば、個人レベルで備えていただければ良いと思いますが、その程度で「必ず地震が起こる」とするのにはやはり無理があるわけです。
そして、そもそも地震なんて、いつ、どこで、どのような規模で起こってもおかしくないわけです。地震ってそういうものなんです。だから、「地震、雷、火事、おやじ」なんです。

それに対して、政府がわざわざ南海トラフに限ってこのような情報を流すこと自体に僕は違和感を持たざるを得ません。
調べてみると、「南海トラフ地震臨時情報」は元々「東海地震に関連する情報」をスタートとしていて「東海地震関連情報」とも呼ばれていたようですが、当初、東海地震に限定したもので、当時考えられていた発生の予兆の可能性がある現象を観測した時に発表していた情報です。つまり地震を予知することを前提として始まった体制であり、その後研究が進んで、地震を確度高く予測する方法はない、と結論付けられるわけですが、それでもなお、それまでの何らかの成果を活かすためか、周期的に起きる可能性が高まっていると言われる「南海トラフ地震臨時情報」へ変わることとなり、現在に至ります。
そのような経緯もあり存在している以上、今回のように想定していた地域で想定していた以上の規模の異常(今回で言えば日向灘での地震)が起きれば、事前に決めていたように段階を踏んで臨時情報(今回は「巨大地震注意」)を発表し、それに対する説明(今回であれば「地震が普段に比べて相対的に起きる可能性が高まっている」)をするわけです。

また、それに対する対象地域の自治体や住民の対応についても明確な説明が用意されているようではなく、内閣府の防災上のページを見ても非常に抽象的な説明しかしていません。
今回は「巨大地震注意」でしたが、「巨大地震警戒」であれば、まだ具体的に事前避難などやることがあるようで、自治体ごとに決めていることもあるようですが、今回は「巨大地震注意」でしたから具体的にやるようなことも不明確で、自治体でも事前に「巨大地震注意」の場合にやることを決めているところも少なかったようです。
なので、僕も当初から「なかなか微妙」と思いましたし、当然のことのように各自治体で混乱し対応が分かれたり、「静かなパニック」も起きたりしたわけです。

それぞれの臨時情報について、もっと踏み込んだ具体的な対応とその説明を事前にしていなかったために、各自治体の現場も混乱し、最終的には「巨大地震注意」の臨時情報を地震予知の情報ではないのにもかかわらず「地震予知の情報と捉えたような具体的対応」しかできなかったのではないか?なので、例えば海水浴場で遊泳禁止の対応に至ったのではないか?と思います。

冒頭の記事では「平時よりも少しだけ地震の起こる可能性が高くなっているということを、もうちょっと普段からきちんと説明しておくべき」と書いています。
もちろん説明は大切なのですが、また何らかのきっかけで「巨大地震注意」が発表された時に、その際も例えばまた夏で海水浴場を遊泳禁止にするのでしょうか?地震も起きずに、またキャンセル続出で観光業界に打撃を与えるのでしょうか?そのたびに経済を止めるようなことがあってはならず、つどつど死活問題に見舞われるのは当事者の皆様にとってたまったものではありません。
しかし、そのきっかけは次いつかわかりません。早急にどうするのか?決める必要があります。
このことは、前回の記事でも書いたことですが、報道を見る限り今のところ今回出た問題点を精査し改善する動きは見られません。週明けの動きを見ないと何とも言えませんが、やはりうやむやになるのでしょうか。

そして、何よりもうやむやと言えば根本的に、予知をしようとしていた組織が予知できないとしながらも、予知じゃないと言いながら予知っぽいと思われてしまう情報を出して、うやむやになってしまっている点に、そもそもの矛盾があり、各自治体の現場が混乱する原因を作り出しているように思え、そして、そもそも地震は南海トラフを含めて、いつ、どこで、どのような規模で起こるかわからないのですから、このようなうやむやな「南海トラフ地震臨時情報」自体、そしてうやむやなまま続いている制度自体もなくても良いような気もしますし、あってもうやむやな情報はアテにせず、しっかりと普段から地震などの災害に備えをしておくべきなのではないか?と思うのです。

さらに、もう一つ付け加えると、かなり以前から書いていますが、そんなうやむやで矛盾なことにお金を使うのであれば、地震が起きた時の対策、備えにお金を使うほうが良いと思います。例えば、日本全国の人が居るすべての建物を徹底的に耐震化すること、あるいはそれに準じた政策を進め、それにお金を使うほうが、「地震から人の命を守る」ということに現実的であり近道であるように思え、より安心安全だと思います。

※言い回し等大幅に加筆修正しました。(2024.8.18.)

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