9日、市田忠義書記局長は記者会見で、11月23日に中国政府が設定した「防空識別圏」について、「撤回」を求める日本共産党の見解を発表しました。
「見解」は冒頭部分で、「中国政府は23日、日本の領土・領海を含む東シナ海の広い空域に『防空識別圏』を設定し、日中間や北東アジアの緊張の高まりが強く憂慮される事態となっている」と指摘し、中国の今回の措置の2つの重大問題をあげ、撤回を求めています。
「第1の問題点は、今回の措置が、『日本の実効支配下にある尖閣諸島を中国の『防空識別圏』に包含していることである。 中国政府の声明は、尖閣諸島を中国領のように扱い、その上空を含む広い空域にたいし、『防空識別圏』を設定している。 これは、国際慣行上、絶対に許されない不当な行為である」と述べています。
「第2の問題点は、今回の措置が公海上の広い空域をあたかも自国の『領空』のように扱っていることである。 中国国防省が同日発表した『公告』は、中国領空に入ろうとする航空機だけでなく、公海上の広い空域を占める『防空識別圏』を通過するすべての航空機にたいしてまで、飛行計画を提出し、無線交信を保つことなどを『かならず遵守」すべきものとして義務づけ、指令に従わない航空機にたいして『中国軍が防御的緊急措置をとる』ことを声明している」
「防空識別圏は、領空に接近してくる航空機を識別して、不審機が領空に入ることを防ぐためのものとされるが、中国が今回設置した『防空識別圏』は、領空への不法な侵入を防止するという措置を超えて、公海上空の広い範囲を、自国の排他的権限の及ぶ『領空』であるかのように扱うものであり、空の基本原則である『公海上空の飛行の自由』に反する」
「空に関しては、民間機・軍用機を問わず、国際民間航空条約や国連海洋法条約に明記された諸原則にもとづく、『公海上空の飛行の自由』が国際法の一般原則として確立しており、世界の航空秩序の土台となっている。 中国の『公告』は、世界の航空秩序の核心である『飛行の自由』を侵害するものである」
そして、東アジアの平和と友好関係を強く望む立場から、「今回の中国の措置は、この地域の緊張を激化させ、航空の安全や秩序を脅かすものにしかならない」と厳しく指摘してぎます。
日本共産党の第26回大会議案第6章(28項)では、「中国の将来を展望する場合」として、率直に次のように指摘しています。
「そこには模索もあれば、失敗や試行錯誤もありうるだろう。 覇権主義や大国主義が再現される危険もありうるだろう。 そうした大きな誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す危険すらあるだろう。 私たちは”社会主義をめざす国ぐに”が、旧ソ連のような致命的な誤りを、絶対に再現させないことを願っている」