七日正月に当地(佐賀県小城市)では「鬼火焚き」なる行事が行われます。他の地域では「左義長」と言われているものと同じものと思われます。筑後弁では「左義長」のことを「さぎっちょ」となりますが、私は「ほんげんぎょ」と言っていました。
昨日は、「鬼火焚き」の準備を行いました。山から竹を取り、公民館に隣接する広場に組み上げました。組み上げた形は全国似たようなものだと思います。筑後地方の「ほんげんぎょ」も大差ありません。若干異なるのは、「鬼火焚き」は竹のみで組まれるのに対し「ほんげんぎょ」の場合は、竹を骨格のみに用い、稲藁を主体にしていたというくらいでしょうか。筑後平野のど真ん中ですから、大きな竹の入手が難しかったのでしょう。一方で藁は多量にあったといったことであろうと想像します。また、大きな「ほんげんぎょ」は、子供クラブ主体で作って前日(六日)の夕方に行って、七日の朝に各家庭の庭先で小さなものをやっていたと記憶しております。そして、竈(くど)さんの種火にするために、ほんげんぎょの火を荒縄に灯して運んだものです。
残念ながら、今朝方は所用で参加することはできませんでしたが、遠くで竹がはじける音が、そこかしこから聞こえておりました。
七日正月といえば七草粥ですね。小学生の頃までは、ほんげんぎょから採った竈の火で七草粥を作っておりました。私が生まれ育った地域の七草粥は、一般の七草粥と少し変っているようです。春の七草を「七草の歌(?)」を歌いながら包丁で叩くようにして細かく刻みます。それを粥状に煮て味噌で味付けしたものを七草粥といっておりました。お粥みたいにどろどろしておりますが、米は入っておりません。
生まれ故郷を離れ、いわゆる七草粥に出会ったときには、いささか驚いてしまいました。正直申し上げますと、あまり美味いものだとは思えませんでした。七日正月を迎えるたび、あの懐かしい味を思い浮かべてしまいます。