曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

感動の島 祝島その2

2016年09月25日 | 日記

今日の花

白萩 祝島の山道を歩いていると道の側にこの白萩をたくさん植えた畑がありました。

 


 祝島を訪れた第一の目的は島に生息している蝶の調査です。一日で島全部を調査することはできません。今回は南側斜面沿いの農道を歩いてみることになりました。祝島に来るのが初めての私にとってはどこを歩こうとも風景は珍しくてとても楽しい一日でした。中でも、農道を歩きながらその道の上側と下側にある畑を見て驚きました。島の南側は山頂から海岸まで平たんな所は全くなくてかなり急な斜面が続いています。斜面の角度は45度を超えている所も多いのではと感じられました。島の南側ですから日当たりはよく畑を作るには適したところであるのは分かりますが何とこの急な斜面に畑を作ったものだと感心しました。一段ごとに石垣を築き段々畑が作ってあるのですが一段の畑の幅より石垣の方が高いところも多いのです。段幅が1.5メートルに高さが2m以上ある段々畑が下の方へ向かって続いているのが普通のような所です。その狭い畑に島特産の琵琶の木やみかんの木が植えてあるのですが収穫などどうやってするのか想像もつかないようなすごい畑です。私は大島でみかんを作っているので急傾斜地の作業がどんなに大変かよく分ります。そんな条件の厳しい段々畑を今もなお守っている島の農家の皆さんのことに同じ農家として感動を覚えたのです。平坦な農地でする農作業ですら結構きつい仕事なのにこんな急傾斜地で上がったり下りたり、重い肥料や収穫物を上げたり降ろしたりの労働のきつさは考えただけでもすごいに尽きます。一緒に歩いていた仲間の人は農家ではありませんがこの急な段々畑を見て「祝島のビワを食べる時はおろそかにはできないね。」と言われました。まさにその通りです。南向きの日当たりの良い、しかも水はけの良い畑で出来た果物はとても美味しいのです。でもその美味しさの影には厳しい農作業があってこそ生まれたものだと多くの人にも知っていただきたいと感じました。私の拙い写真では崖を見下ろすような急斜面の畑や見上げるような石垣の続く畑を上手く表現できませんがどんなすごいところかは想像してみて下さい。荷物を上げたり降ろしたりするための策動やモノラックなどがいまだに使われているらしいのですが懐かしく眺めました。ミカン農家の我が家でも昭和40年代までは使っていましたが今は跡形もありません。策動と言う言葉が分からない方もいるかもしれませんが、スキー場のリフトかロープウェイを想像してみてください。段々畑の上と下にワイヤーロープを張り渡し小さな荷物を載せるゴンドラのようなものをロープからぶら下げて荷物の上げ下げをするための設備です。モノラックとはモノレールを畑に設置してエンジン付きの台車が上がり下がりする設備ですが急傾斜でも滑らないようレールの下に波状のラックが付けてあるものです。傾斜がきつすぎると積んだ運搬用コンテナからみかんがこぼれ出たりします。
結局、島で農業をしようと思えばこんな厳しい畑しかないのですからそれに耐えてゆくしかないのだと感じその忍耐力に感動したのです。

 


 歩いた島の南側斜面の農道

地図で見てください。南側斜面は等高線がすごく混んでいます。

点線が農道ですが私たちは一番下の農道を歩きました。

石垣が見えるので元畑だったところですがもう山になっています。 

廃園になっているビワ畑です。運搬用コンテナが畑に投げ捨てられていますので最近やめた畑なのでしょう。

ビワ畑から遠く海を見下ろすとのどかな風景が見られます。

自動車を運搬する巨大な貨物船です。まさに現代の風景ですね。

 

軽トラックがかろうじて一台通れる道幅です。

赤いカラスウリが目立ちましたので写真に撮りましたが最近捨てられたみかん畑です。みかんの木は蔓に覆われていました。

見事に管理されたビワ畑ですがこの傾斜での作業はすごく大変でしょうね。

みかんの貯蔵庫でしょうか。

今でも使っている様子の策動です。この竹藪の下の方に畑があるのでしょう。

モノラックがありました。エンジンにカバーが掛けてありますので今も使っているのでしょう。

道の側の大木

傾斜が60度くらいありそうなみかん畑です。

この策動も現役で使っているようです。

この急な角度が海まで続いています。

みかん畑は一段ごとにきれいな石垣が築いてありました。人の力はすごいですね。

海に向かうと谷底を見下ろすようです。

 

 

向こうが上関と本州です。島にいるのだなあと感じました。(私も島に住んでいるものですが)

もっとも人口の多かった時には2000人も住んでいたという祝島の集落です。この小さな島でみんな頑張って生きてきたのですね。