今日の花
クズの花 秋の七草の一つです。しかしとても厄介な植物で 困っています。みかん畑の中に蔓を伸ばしさらにみかんの木を覆い尽くすこともあります。蔓が地面を這うと節ごとに根を下ろして切っても切っても枯れることはありません。根っこが大きくなると大根のように太くなり栄養をその中に貯めます。いわゆるくず粉と言われるでんぷんを貯めるのです。するとイノシシがやって来てみかん畑の中に大きな穴を掘りクズの根を食べます。イノシシの食べた跡は大きな落とし穴になって私が落ちることになります。ほんとにクズは困ったものです。
今ジャム用の青蜜柑を出荷しています。この青蜜柑は普通のみかんと違った栽培方法で作ります。残留農薬があると困りますのでほとんど無農薬に近い方法で栽培したものです。この青蜜柑を食べてみると酸っぱいけれど香りが良くて少し食欲をそそりました。
そこで、普通に生食用として作っている極早生みかんを今日取って来て試食をしてみました。7月の梅雨明け以来8月の末まで全く雨が降らず乾燥が続いていたので糖度の高いみかんが出来つつあります。糖度計で計って見たところ平均的な果実で12度弱ですが乾燥の効いたところの実は菊みかんになっていて15℃もありました。これから果実の肥大が進み酸が下がって来ると10月には美味しいみかんになると思います。
一般的に極早生みかんは10度以上を目指していますが山本柑橘園では甘さを感じることのできる12度以上を目指しています。今年は少し小玉ですが12度は楽にクリアできそうです。
みかんの話ついでに先日のみかんサミットで取り組まれたみかん産業の問題点にも触れてみたいと思います。
今の時期の極早生みかん
みかんの木は雨に濡れていました。ほんのり色づき始めていますがまだサイズ的には小さいです。
色づき始めた実を家に持ち帰り試食してみました。
果肉のオレンジ色がまだ少し淡いですね。
果皮が滑らかでなく凸凹が出来ているみかんのことを菊みかんと呼びます。乾燥による一種の果皮障害です。このように小ぶりで実が締まっていて果皮が凸凹しているみかんはすごく甘いみかんなのです。逆に大きめで果皮が滑らかで皮が浮いていて柔らかい果実は甘みの少ないみかんです。人には好みの違いがありますのでどちらが良いとは言い切れません。
この菊みかんの糖度を計ってみました。
この測定器具は屈折糖度計と言ってみかんの果汁を通過した光がその濃度によって屈折率の違いが起こることで果汁の糖分濃度を測る器具です。色の濃い部分と薄いところの境目が15をさしていますので、この果汁の糖分濃度は15度と言うことになります。
他の2個は12度弱でした。
この糖度計はわたしが40年も使っている古いものですが構造がシンプルなので正確です。今は便利なデジタルの糖度計もあります。
みかん産業の問題点 (このブログの趣旨からそれますがご容赦を)
さて、みかんは長年果物の中で最もたくさん食べられる果物の王様でしたが数年前に1位の座をバナナに奪われました。バナナの消費量がどんどん伸びているわけではありません。みかんの消費量が落ちているのです。先日のみかんサミットではどうしたらみかんの消費量を上向きに変えられるかと言うことが大きな議題でした。
今日はグラフを二つ示しますのでみかん産業の問題の深刻さを目で見てください。データは農水省の統計などから借りたものです。
日本のみかんの生産量の推移
昭和48年から昨年までの全国のみかん生産量 の推移ですが、最盛期の四分の一まで落ち込んでいます。現在高齢化しているみかん農家のことを考えると今後さらに急激に生産量が減っていく可能性があります。50万トン時代が来るかもしれません。みかん農家がなぜ減って行くかはまた別の機会に考えてみたいと思います。輸入果物ばかりお店に並ぶ時代が来るのでしょうか。
果物の消費はどうなっているのでしょうか
最近20年のみかんとその他の果物の消費量の変化です。
先ほど話した果物の王様バナナも伸びて来たけど最近10年は頭打ちと言ったところです。輸入果実のオレンジ・グレープフルーツはほぼ横ばいです。国産のリンゴとナシは減少気味ですがまだ健闘しています。みかんの消費は減少の比率が高いです。何故でしょう。
それにしても日本人の果物摂取量は世界の国々に比べて少ないほうなのに近年更に減っているのは何故でしょう。
今日は問題の提起だけにしておきますが、みんなでみかんをもっと食べてください ! 健康のためにもいいですよ !