国道1号線の宇津の谷SAで休憩すると
近くに明治時代のトンネルがあると言う
案内が目に入った。
宇津の谷峠は東海道の難所で
古くは平安時代、紀貫之の「伊勢物語」の
〈東下り〉に記述があることでも知られている。
駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
遠く都から離れて、辺境の地に向かう貫之の心細さが知られる。
その宇津の谷峠に明治になってトンネルができたと言うのだ。
行ってみると思ったより立派なもので、
観光用の洒落た照明までついている。
壁はしっかりしたレンガ造りで、
明治の土木工事の技術の高さが窺える。
何と日本で初めて通行料を取った、
有料のトンネルだったそうだ。
誰もいないトンネルを一往復して、
宇津の谷の集落に戻ろうとすると、
早足の足音がして、
若者が一人タッタと飛び出してきた。
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