昨日三重県津市まで、荻野さんの写真展を観に行ってきました。今回は「風/土」という
タイトルで武田美穂さんとの二人展と言う形態で、荻野さんは「山神」というテーマでの
出展。土地の生活に根付いていた「山神」信仰の痕跡を意識しながら撮られた写真。
そこには、雑然とした農家の庭先、荒れた畑地 納屋 枯れ果てた雑草 水場など
誰もが見向きもせず、何の意識もなく見過ごしている光景が淡々と、しかしこの上なく
丁寧に切り取られている。その光景が力強く美しいのだ。むしろ汚くさえ見える放置された
生活道具や手入れのされていない庭先、漫然と繁茂する植物 枯草さえ、確固たる存在感を
持って紛れもなくそこにあることの強さを意識させられるのだ。こういう写真を見せられると
何を撮るか、どう撮るかという写真する行為の意味を根底から覆される思いがする。被写体に
真摯に丁寧に向き合わないとこういう写真は撮れない。何よりプリントが素晴らしい。
描写力、落ち着いた色合い 構成・・ 一級品だと思う。
まだ30代の若さで、これだけの眼を持っている作者の今後の末恐ろしさを感じてしまった。
津市在住の加藤さんとも会えて、いい時間を過ごすことが出来た。遠出だったが
出かけて良かった一日。但し猛烈に暑い日だった。
Y
多分、荻野さんの写真を見せていただいたのは2度目だと思います。
初めての時も、凄いなと感じたのですが今回はそれにもまして
内容が深まり充実していると感じました。
Yが書いているのと全く同じ感想なので改めて私などが言わなくてもいいのですが
「若いのに・・」もうこんな風に物事を見る目が確かになっているのが
怖いくらいでした。人が見過ごしてしまうような光景に
「土」や「土俗性」を嗅ぎつけて・・またそれを真正面から切り取っていることに
凄さを感じずにはいられませんでした。良いテーマを見つけられているとも
思いました。ありがとうございました。
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