嵐が接近してくる事が確実な状況にもかかわらず、私はホテルにこもって、二日目の観光を無駄にしてしまうのは、あまりに残念でした。
ですから、恐らく多くの方が屋内に留まって、台風が通り過ぎるのを待っているであろう時間帯に、果敢にもホテルを後にした私です。
予定では、神戸の観光客向けの循環バス(シティー・ループ)に乗り、有名処の観光スポットを観て回るつもりでした。
けれど、そんな悠長なことをしていては、観光どころではなくなってしまいそうです。
嵐が、刻々と迫っていましたから。
やむを得ず、ホテルからタクシーに乗り込み、最初の目的地、「風見鶏の館」を目指しました。
明治初期~大正期に来日した外国人が住んだエキゾチックな異人館が点在する山の手のエリア、北野にあります。
明治42年ごろ、ドイツの貿易商の私邸として建てられたもので、
国の重要文化財に指定されています。。
その時のタクシドライバーさんが、馬が合うというのでしょうか。
私はとても気に入り、一瞬、このタクシーを終日利用して、タクシー観光を愉しむ。
そんな気持ちが心をよぎりましたが、遺族年金暮らしの身の私です。
大切なお金は、最大限有効に使いたいと願っているので、そのために数万支払うのは、やはり大きな無駄に思えました。
ゲストをもてなすために使用された食堂
重厚なドイツ建築と、シャンデリアやステンドグラスに、把手金具などにアール・ヌーブォー風の
見事な装飾が見られます。
しかし、この悪天候では、観光の途中、流しのタクシーを拾うのはとても無理そうです。
そのため、お迎えに来て いただけるかどうか尋ねたところ、
「その時の状況次第では、しばらく待たせるかもしれないけれど、それで良ければ迎えにきます」
と言われ、快く引き受けて下さいました。
この運転手さんに、異人館見学後の観光でも、最後までお世話になることに。
その方のとても温かなお人柄のお蔭で、その日の私の危険極まりない一人旅が、緊張も随分和らぎ、楽しいものになりました。
異人館巡では、館内に入れたのは、「風見鶏の館」と「うろこの館」、それにスターバックス異人館店だけでした。
九時開館で、その時間ジャストについた私ですが、なんと嵐のため、11時に、ほとんどの館は閉館するとの事。
いずれの異人館も大方、見晴らしの良い高台にあり、裏には小高い山が迫っています。
そのため、嵐の影響で土砂崩れの懸念があるようでした。
うろこの館は、風見鶏の館から、さらに15分くらい細いかなり急な坂道を上った場所にあります。
私は、濡れた急坂を、滑らないように注意しながら、こわごわと歩を進めていきました。
悪天候の中です。
これも一人旅ゆえにできる気ままさでしょうか。
大変な道中ながら、心から愉しんでいるところも多分にありました。
なぜ、貿易商たちは、そのような高い位置に、瀟洒な自邸を好んで建てたのでしょう。
その理由は、窓から家主が、自分の商船が、港に出入りするのを確認するためだったそうです。
明治34年ころ建てられた国指定の登録文化財です。
うろこ美術館が隣接してあるのですが、先を急ぎ、私は見落としてしまいました。
外壁一面を飾る天然石がうろこのように見えるところから、この館の名称が付けられたようです。
風見鶏の館とうろこの館は、外観は全く異なった趣きでしたが、館内の雰囲気は、よく似ています。
当時の家主の家族の優雅な暮らしが、展示された豪華な調度品や、マイセンやロイヤルコペンハーゲン等の、高価な食器から十分想像できました。
今年の旅行は、神社仏閣がほとんどでしたから、神戸の旅は、目先の変化がとても新鮮で、異人館巡りも、心から楽しめた私です。
他に観たい異人館はたくさんありましたが、閉館ではどうすることもできません。
潔く私は諦めました。
それぞれの建物の説明は、画像の下に簡単に記述しましたので、それをもって終わりにします。
棚には、18~19世紀に作られた名窯のアンティーク食器や置物が並んでいます。
そのあと、私が向かったのは、スターバックス北野異人館店でした。
前もってガイドブックで、その所在を 確認していた私です。
そこで一服することを楽しみにしていました。
通りのお店の人に尋ね、ほどなくたどり着いたその館。
館内は、スターバックスの営業店ですが、異人館の意匠を最大限に生かした、とても素敵な所。
コーヒーとケーキを注文した私です。
朝、ホテルのバイキングで、カロリーを取り過ぎの懸念があるほど、朝食はたくさんいただいています。
ですから、昼食は、神戸に限らず、いずれの旅行でも、いつも私は抜いています。
お茶を一服するだけでなく、お店の方に断って、館内を一巡りさせてもらいました。
既に前の記事でスターバックスの館内の画像はのせましたので、省略します。
この画像は、うろこの館のものです。この窓から自社の貿易船の往来を確認したのでしょう。
突風が吹くなか、傘を必死でかかげて異人館から異人館へと移動したときの疲れが、スターバックスで一息付けて、随分癒されました。
何故か、どこを訪ねても、この店内の雰囲気が大好きな私です。
「お蔭さまで元気になりました。ありがとう!」
といった感じでした。
そろそろ、先ほどのタクシーの運転手さんにお迎えを頼みましょう。
15分くらい経過したところで、携帯が鳴りました。
館の前で、待っていますとの事。
お昼過ぎ。
いよいよ後半の観光へのスタートです。
風は、ますます強くなってきました。
けれど、幸いにも雨量は心配したほどではないようです。
降ったりやんだり、そんな感じでした。
さてこれからの道中は、いかに。
明日に続きます
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