一日以上経って、もうこの問題に対してはほとんどの人が忘れるか、興味を失っているに違いない。
だから敢えて書く。
日本水泳、平泳ぎの第一人者・冨田尚弥選手が、9月の仁川アジア大会の最中にカメラの窃盗容疑で逮捕されたと聞いた時、「?」と思った。そしてすぐに罪を認めてしばらくの拘留の後に帰国、空港で謝罪し頭を下げた時にも、「?」と思った。
そして、あれこれと考えた。
そのことはおいおい書くとして、冨田選手は一昨日、無罪主張のための会見を開いた。
冨田選手が、実際にカメラを盗んだか否かということは、ここで詮索するつもりはない。
真実は彼の中にあるわけで、会見で語ったことが大嘘であれば、彼自身が自分自身を深く傷つける結果にしかならないのであって、それは少なくともボクとはなんの関係もない話。
ただ、彼を擁護するつもりはないけれど、彼が会見で見せた姿、話しぶり、目線等々、様々な情報を総括すると、あれこれ考えたことの意味が、なんとなく形を露わにしてきたので、書いてみようと思った。
いくつかあるのだが、その一つが、彼のあの反応の悪さ。要するに瞬間的に相手に対する言葉での対応がほとんどできない青年であるということ。マスコミの連中は、自分はうるさいほどに喋りすぎる人種であるという自覚もなく、「なぜその時にきちんと対応しなかった?」的な詰問をしていたが、話の下手な人間はたくさんいる。テレビの向こう側にはそんな人間はいないのだろうが、こちら側の大半は、そんな人だ。
一度受け取った情報を自分の中で咀嚼しないと反応できないのか、頭が悪いのか……理由はわからないが、冨田選手は明らかに「話下手」であり、言ってしまえば「こちら側」の人間だ。いまの北島康介とは違う。
自分の心の動きや思いのたけを、立て板に水のように話すことなどできないタイプの人間だということは、なにかを聞かれても、2テンポほどあけてしか反応できない様を見れば良く分かる。
そんな人間が、取調室、しかも韓国の警察の取調室で、どんな反応ができるのかといえば、おそらく精神的にも追い詰められ、情緒的にも極めて不安定な状態で、良く冤罪事件で言われる、誘導的な質問になにも考えずに、ほぼ「ハイ」と言ってしまうような精神状態だったのだろうということは容易に想像できる。
盗んだとされる現場を写したカメラ映像に関しても、彼の説明は、まったく要領を得ないもので心証は極めて悪いのだが、おそらく実際に自分が映っていなかったとしても、映っているのが自分だと思い込んでしまうことはある。それが後から落ち着いて考えれば、本当に自分だったかどうか、思い出せない心理状態というのもある。第三者の存在(迷彩のズボンを穿いたアジア系の男)を語っていたが、その男の姿が冨田選手の陰に隠れてカメラに映らない場合だってある。見せられた映像のポジションが、冨田選手の言う通りであれば、その可能性は高い。
重いカメラの入ったバッグを、無造作に持ち帰ったという点も、彼の説明は曖昧なのだが、なにか彼が嘘を言っているようには思えない。その理由は、曖昧なのだが自分なりの理由をきちんと話しているから。そりゃないだろう、というような理由で抗弁するのは、意外に真実だからという場合が多い。
途中にゴミ箱がなかったから部屋まで持って帰ったというのは、そうなのだろうなと思う。マスコミはきっとゴミ箱が本当になかったか「検証」するのだろうが、あっても目に入らないものはないと同じだということを理解すべきだ。
なにより、第一報を聞いた時の違和感、衆人環視の中で「カメラが欲しい」から盗んだという話は、いくつも「?」が付くモノだった。例え何十万円の代物でも、冨田選手に買えないモノではあるまい。よしんば盗んだとしたら、それは性癖に類するものだろう。であるとすれば、これまでにも冨田選手の周辺で窃盗事件の一つや二つあったに違いない。そこはどうなのだろう?
帰国した空港での謝罪時に見せた、なにか不本意な立場でそこにいるのだという空気感にも違和感を覚えた。要は、頭を下げているのに、明らかにそれまでの時間の流れが、彼の心証と異なるものだったことを如実に表していた。もしあの空気感が作為的なものだったとしたら、彼はオスカーを獲得できるだろう。
あの不服面は、真実を意味していたと思えるのだ。
なぜ今更こんなことを書いているかといえば、ボクも不本意な逮捕歴があり(そのことは以前にこのブログにも書いた)その時の取り調べ(勿論日本であり、冨田選手のように海外、それも韓国ではない)には、もう40年も前の話なのだが、いまもって納得がいかないでいるからだ。
警察は調書が書ければそれでいいわけで、事件の予定調和を崩さずに書き上げた調書を検察に送れば、それで一件落着する。
そこには目の前の被疑者の発言への考慮も取り立てて有りはしない。ましてや素直に認める被疑者の発言は、いくらでも捏造できる。そのことを、ボクは身をもって知っている。
だから、余計に冨田選手のことが気になるのだ。ただ、初めにも書いたが、彼が盗人なのか否かは、正直ここでは問題ではない。
よしんば彼が無罪だとしたら、なぜ韓国官憲が冨田選手を盗人に仕立て上げたのかという疑問が湧く。どんどん不穏になっていく。従って、ここで終わりにする。
ボクとしては(どうでもいいとは書いたが)心証として、彼は盗んではいないような気がする。
そういえば、水連の話。取り調べに水連関係者が同席したというが、本当だろうか? 日本で被疑者の取り調べに第三者を同席させることなどあるだろうか? もし同席することがあるとすれば、それは取り調べが終わり、内容を確認する目的だったのではないか? それを水連の人間が取り調べと勘違いしているように思えて仕方ない。
もっと言えば、水連関係者は、余談なく韓国官憲の話を聞いたのだろうか? 彼らは冨田選手に寄り添ったのか、韓国官憲に追随したのか? その立ち位置ひとつで事件の受け取り方は変わるだろう。「日本」水連は、どうだったのかなと思う。
長いな……。
だから敢えて書く。
日本水泳、平泳ぎの第一人者・冨田尚弥選手が、9月の仁川アジア大会の最中にカメラの窃盗容疑で逮捕されたと聞いた時、「?」と思った。そしてすぐに罪を認めてしばらくの拘留の後に帰国、空港で謝罪し頭を下げた時にも、「?」と思った。
そして、あれこれと考えた。
そのことはおいおい書くとして、冨田選手は一昨日、無罪主張のための会見を開いた。
冨田選手が、実際にカメラを盗んだか否かということは、ここで詮索するつもりはない。
真実は彼の中にあるわけで、会見で語ったことが大嘘であれば、彼自身が自分自身を深く傷つける結果にしかならないのであって、それは少なくともボクとはなんの関係もない話。
ただ、彼を擁護するつもりはないけれど、彼が会見で見せた姿、話しぶり、目線等々、様々な情報を総括すると、あれこれ考えたことの意味が、なんとなく形を露わにしてきたので、書いてみようと思った。
いくつかあるのだが、その一つが、彼のあの反応の悪さ。要するに瞬間的に相手に対する言葉での対応がほとんどできない青年であるということ。マスコミの連中は、自分はうるさいほどに喋りすぎる人種であるという自覚もなく、「なぜその時にきちんと対応しなかった?」的な詰問をしていたが、話の下手な人間はたくさんいる。テレビの向こう側にはそんな人間はいないのだろうが、こちら側の大半は、そんな人だ。
一度受け取った情報を自分の中で咀嚼しないと反応できないのか、頭が悪いのか……理由はわからないが、冨田選手は明らかに「話下手」であり、言ってしまえば「こちら側」の人間だ。いまの北島康介とは違う。
自分の心の動きや思いのたけを、立て板に水のように話すことなどできないタイプの人間だということは、なにかを聞かれても、2テンポほどあけてしか反応できない様を見れば良く分かる。
そんな人間が、取調室、しかも韓国の警察の取調室で、どんな反応ができるのかといえば、おそらく精神的にも追い詰められ、情緒的にも極めて不安定な状態で、良く冤罪事件で言われる、誘導的な質問になにも考えずに、ほぼ「ハイ」と言ってしまうような精神状態だったのだろうということは容易に想像できる。
盗んだとされる現場を写したカメラ映像に関しても、彼の説明は、まったく要領を得ないもので心証は極めて悪いのだが、おそらく実際に自分が映っていなかったとしても、映っているのが自分だと思い込んでしまうことはある。それが後から落ち着いて考えれば、本当に自分だったかどうか、思い出せない心理状態というのもある。第三者の存在(迷彩のズボンを穿いたアジア系の男)を語っていたが、その男の姿が冨田選手の陰に隠れてカメラに映らない場合だってある。見せられた映像のポジションが、冨田選手の言う通りであれば、その可能性は高い。
重いカメラの入ったバッグを、無造作に持ち帰ったという点も、彼の説明は曖昧なのだが、なにか彼が嘘を言っているようには思えない。その理由は、曖昧なのだが自分なりの理由をきちんと話しているから。そりゃないだろう、というような理由で抗弁するのは、意外に真実だからという場合が多い。
途中にゴミ箱がなかったから部屋まで持って帰ったというのは、そうなのだろうなと思う。マスコミはきっとゴミ箱が本当になかったか「検証」するのだろうが、あっても目に入らないものはないと同じだということを理解すべきだ。
なにより、第一報を聞いた時の違和感、衆人環視の中で「カメラが欲しい」から盗んだという話は、いくつも「?」が付くモノだった。例え何十万円の代物でも、冨田選手に買えないモノではあるまい。よしんば盗んだとしたら、それは性癖に類するものだろう。であるとすれば、これまでにも冨田選手の周辺で窃盗事件の一つや二つあったに違いない。そこはどうなのだろう?
帰国した空港での謝罪時に見せた、なにか不本意な立場でそこにいるのだという空気感にも違和感を覚えた。要は、頭を下げているのに、明らかにそれまでの時間の流れが、彼の心証と異なるものだったことを如実に表していた。もしあの空気感が作為的なものだったとしたら、彼はオスカーを獲得できるだろう。
あの不服面は、真実を意味していたと思えるのだ。
なぜ今更こんなことを書いているかといえば、ボクも不本意な逮捕歴があり(そのことは以前にこのブログにも書いた)その時の取り調べ(勿論日本であり、冨田選手のように海外、それも韓国ではない)には、もう40年も前の話なのだが、いまもって納得がいかないでいるからだ。
警察は調書が書ければそれでいいわけで、事件の予定調和を崩さずに書き上げた調書を検察に送れば、それで一件落着する。
そこには目の前の被疑者の発言への考慮も取り立てて有りはしない。ましてや素直に認める被疑者の発言は、いくらでも捏造できる。そのことを、ボクは身をもって知っている。
だから、余計に冨田選手のことが気になるのだ。ただ、初めにも書いたが、彼が盗人なのか否かは、正直ここでは問題ではない。
よしんば彼が無罪だとしたら、なぜ韓国官憲が冨田選手を盗人に仕立て上げたのかという疑問が湧く。どんどん不穏になっていく。従って、ここで終わりにする。
ボクとしては(どうでもいいとは書いたが)心証として、彼は盗んではいないような気がする。
そういえば、水連の話。取り調べに水連関係者が同席したというが、本当だろうか? 日本で被疑者の取り調べに第三者を同席させることなどあるだろうか? もし同席することがあるとすれば、それは取り調べが終わり、内容を確認する目的だったのではないか? それを水連の人間が取り調べと勘違いしているように思えて仕方ない。
もっと言えば、水連関係者は、余談なく韓国官憲の話を聞いたのだろうか? 彼らは冨田選手に寄り添ったのか、韓国官憲に追随したのか? その立ち位置ひとつで事件の受け取り方は変わるだろう。「日本」水連は、どうだったのかなと思う。
長いな……。