かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

7月7日は「銀河鉄道の夜の日」

2023-07-07 15:39:11 | 日記

宮沢賢治イーハトーブセンターより、漫画家(といっていいのかな)ますむらひろしさんの『銀河鉄道の夜四次稿編』-複製原画展-を花巻の宮沢賢治イーハトーブ館で開催する、との案内が届いた。7月15日から12月27日までと期間が長いので、今年は花巻に行く機会を見つけて立ち寄ってみようと思う。

銀河鉄道の夜」は、賢治さんが終生推敲を重ねてきた未完の作品であって、現在私たちが普段読んでいる作品は、いわゆる「第四次稿」とされるものであって賢治さんがなおも生きていたら、また違った姿で私たちの目の前に現れていたのかもしれない。

ますむらさんは、あのおなじみのネコのキャラクターでこの「銀河鉄道の夜」をおよそ40年前1983年と1985年の2度ばかり漫画化しており、新たに2016年から現在まで「銀河鉄道の夜 四次稿編」の連載を始めてるといい、全4巻600頁もの大作で、この秋にに完結するのだという。

残念ながらオイラは、下記に貼り付けた映画のアニメしかますむらさんの銀河には接していなかったので、イーハトーブ館に立ち寄った際などを機にますむら作品にしっかり向き合おうと思う。

奇しくも今日は7月7日の七夕の日、これを機会にアニメを見ながら銀河鉄道の四次の一通りと一次稿から三次稿の終章部分を読み直した。(といっても、一次、二次は原稿の大半は欠損し終章あたりが残されているのみだが)

あらためて、何と美しく味わい深いファンタジーなのだろう。友情とは、愛とは、幸福とは、生とは、死とは、宇宙とは、時間とは、神とは・・・賢治さんが彼の人生観、宗教観、宇宙観を集大成しようとした意欲溢れた作品であり、言わずもがな四次稿をもって彼の最高傑作と言ってもいいのだろう。

カムパネラとの銀河の旅をカムパネラのお父さんブルカニロ博士の「実験」とした三次稿までの結論とは異なり、宇宙の旅をジョバンニの「夢」と書き直したことで、私たちの夢もさらに広がる。

 

下記に貼り付けた写真は、石垣島で撮影した2019年1月15日のサソリ座、ケンタウルス座、南十字座がともに写り込んでいる一枚であるが、これらはまさ銀河鉄道の終着付近の星たちで、タイタニックの犠牲者をはじめとする銀河鉄道の旅人たちは、ここで降りているし、川でいじめっ子ザネリを救うために死んだというカムパネラは南十字座の石炭袋・コールザック(暗黒星雲)の存在を唯一の生者ジョバンニに教えてから姿を消した。

暗黒星雲が、新たな星々誕生の元になるガスの集合だとすれば、星の生成と消滅はまさにヒトの生と死そして復活(仏教でいう輪廻転生)と重なる。そう、宇宙とはそもそも生滅の繰り返しなのだ。あの「春と修羅」冒頭で賢治さんが自らの現象を「明滅する因果交流電灯」表現したのがそれだろう。

ジョバンニの夢見の日は、街はケンタウルス祭でにぎわい、その祭でカラスウリの灯りを川に流そうとしてザネリとカムパネラが川に落ちた。そして、ザネリを助けたカムパネラが犠牲となったのだ・・

ケンタウルス座は南十字座の小さな十字架をやさしく包み込んでいて、まるで神さまのシンボルたる十字架の守護神であるかのようだ。南の星座を巡ってさまざまな物語が紡がれそうで、「銀河鉄道の夜」が未完であるのは、私たちにそれぞれのファンタジーの完成型を求めているようだ。まさに賢治さんが私たちに残した「書置き」(遺言状ではなく)といっていいだろう。

オイラは、「風の又三郎の日」を9月1日と勝手に制定しているが、今日7月7日・七夕の日を「銀河鉄道の夜の日」と制定し、夏の星の美しい夜は、もっともっとこの作品を読み込んでいこうと思う。

 

 

    

              (2019.1.15 5:57A.M  石垣島宮良海岸)

       

 

ますむらひろしさんの「銀河鉄道の夜」映画 神レトロゲーマニアさんYoutub

 

 

讃美歌320番(映画では306番)主よみもとにちかずかん(サウンドトラック) 加賀谷玲・トピックさんYoutub

 

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