埼玉西武ライオンズ 4-8 北海道日本ハムファイターズ
【勝】吉川(7-5-0)【S】鍵谷(1-1-2)【負】ポーリーノ(0-5-0)
【本塁打】中田(15)、岡(2)
7勝目を目指して登板の吉川投手は、初回を無難に三者凡退に退けると2回表の
攻撃では、大谷が倒れるもレアードがセンターに打ち返し2塁打とし、このところ
チャンスには滅法強さを発揮している大野奨太が、センター前に打ち返し、あっさ
りと先取点を奪うあたりは、15連勝後オリックスに2敗という驚異的な勝利街道は
まだまだ続く予感の出だしとなりました。
その裏吉川投手は、あっさりとゼロに抑えれば、ベンチの信頼も高まったと思うの
ですが、なかなかそうはいかず、先頭打者のおかわり君を3振に打ち取るものの、
5番浅村にはライト前に運ばれ、金子の3塁ゴロを珍しくレアードがエラーをした
後に炭谷にはレフトにクリーンヒットを打たれ同点とされてしまいます。
先取点を取った後に点を入れられるパターンは、最も避けるのが野球の鉄則です
が、昨年同様に今年もこの日も吉川投手はピリッとしません。
スライダー・フォークは低めに集まるものの、ストレート系は浮き気味で西武の右
打者は無理をせずにライト方向を狙ってきます。
いずれも打たれた球は、最も打ちやすい高さに投げられたもので、コントロールに
難がある吉川投手には、2012年14勝5敗という好成績をあげてMVPを獲得した
面影はないので甘く入れば当然に打たれます。
大野捕手も苦心のリードをしていましたが、何とかこの回を同点で切り抜けるもの
3回裏にも1死後に秋山の2塁打のあと四球がらみで好打者渡辺(直)にライト前
に運ばれ逆転を喫してしまいます。
じつは3回裏の西武の攻撃は、この試合の勝負の分かれ目ともなる大きなポイント
が隠されていました。
2死満塁のチャンスに、好打者渡辺(直)の打球は、前進守備を敷いていた岡大海
選手の前に落ち、それを拾った岡は迷うことなくホームに返します。
2塁走者のメヒアも秋山に続きホームに滑り込みますが、主審の判定はアウト。
西武ベンチはすかさずビデオ判定に持ち込みましたが、奨太のタッチが早いと判定
をくだします。
ここで1-3とされていたなら、吉川は3回早々に降板をしていたかも知れません
し、日ハムの逆転劇もなかったかも知れません。
つまり、日ハムには「勝運」が依然続いていたと言えます。
試合は1-2の1点ビハインドのまま4回に入りました。
勝運を背中に受けた日ハムは、先頭打者中田翔がライトスタンドに15号の同点打
を放ち、2死後岡大海はレフト場外に特大の135メートル弾を運びます。
《中田翔久々の15号の同点打》
《岡大海逆転の大アーチを描く会心の一打》
3回の攻防後に訪れたチャンスをものにした日ハムは、4回表の逆転で勢いを
取り戻し、吉川投手は4回裏はヒットででた炭谷を2塁に釘づけをしてこの回
は何とかゼロに抑え切ります。
5回、6回とヒットを打たれはしますが、吉井コーチの行けるところまで行け
という言葉に従い頑張ります。
自信を取り戻すためには7回まで行ってほしかったものの、6回終了時での投球数
は104となっていましたから、ここは限界だったでしょう。
9回には打線が爆発をして一挙5得点の猛攻で8-2とした日ハムでしたが、ここで
マウンドには約2年ぶりに一軍に戻ってきたかっての抑えのエース武田久がマウン
ドに立ちました。
ファンの誰もが心待ちにしていた一瞬でした。
不運もあり1死を取ったのみで降板をしましたが、2度にわたる両足膝の手術の
後に蘇った投球は、まだまだやれるという感触を得たのではないでしょうか。
この日のヒーローは、もちろん逆転のHRを放ち猛打賞を獲得した岡大海選手と
なりましたが、何とか7勝5敗とした吉川投手とこの日500試合登板という記録
を作った宮西投手、7回に登板し3者凡退に打ち取った今季初登板で通算300試合
となった石井裕也投手、そして750日ぶりに戻ってきた武田久投手など、今後に
向けての「日ハム投手陣」にとっては、優勝への明るさが見える一戦でした。
この日首位SBは楽天に2-6と痛い星を落とし、首位とのゲーム差は再度3.5と
なりましたが、もしかした「8月の首位攻防」は「まさかの結果」を呼び込むかも
知れません。
この勢いがいつまで続かが楽しみでもあり、怖さを秘めていますが、この日の中田
の15号は驀進の起爆弾となるかも知れませんね。
《何はともあれ7勝目をあげた吉川投手ですが6回を投げ切ったのはエライです》