昨日のことである。
母をつれて いつもの温泉に行った。脱衣所に入るとなんだか雰囲気が違う。何?
どうやら鍵とバッグが見つからないお客様がいたらしい。スタッフとお客様がふたりで脱衣所をあちこち探し回っている。
わたしたちは気にしながらも 服を脱いで温泉に入っていった。しばらくするとスタッフが温泉のドアを開けて
「8番か9番の鍵を持っている方いませんか?」
と言うのが聞こえた。荷物を鍵のかかった扉に入れておく人もいる。わたしたちはそういう荷物は温泉には運び込まないので関係ないけど、誰か当てはまる方がいるのかしら?
なにげなく温泉の中をぐるりと見回すと 他の方も同じ思いだったらしく わたしと目が合った。ふたりの目は〈見つかるといいですねぇ〉といった感じで交差した。
母と一体どこにいっちゃったんだろうっとしばらく話していたが、その後もしばらくスタッフが温泉を出たり入ったりしたので 見つかっていなかったのだろう。母となんでもない話をあれこれしながら体を洗ったり 髪を洗ったり・・・サウナに入ったり。
そんなこんなしているうちに 誰かが〈見つかったらしいよ〉と話してくれた。温泉内にホッとした雰囲気が漂った。
自分の持っている鍵を貸してくださいと言われたら 誰だっていい気分はしないもの。貸した方がひとりいたかなぁ。結局 その方の持ちモノが入っているだけだったらしいけど(当たり前ですが、失くした方は動転していて それどころじゃなかったのでしょうね)
予想もしないことが起きると 動転してしまい、あれこれ悪いことを考えてしまうのが普通だと思う。そこで落ち着いて考えることができればいいのだけどね。帰りがけに母に
「さっき鍵が無いって話しを聞いて 前にスーパーで鍵を失くしたって思ってスタッフの人が親切に探してくれたときのことを思いだしていたよ。」
「見つかったのかい?」
「うん・・・ポケットの中に入っていた・・・」
「はあ?お前は・・・(絶句)」
きっと 今日のあの方もその類じゃなかったかなぁと運転しながら思っていた。
昨日は 温泉で安売りしていたジュースを5本も買ってきたので 車を降りたときには両手に荷物がたくさんあって、しかも母の家の鍵も持っていた。鍵を開けて中に入り、月曜日なので急いで母の注射の準備をしなくちゃとばかり ずんずん中に入って行った。
まずはすぐに冷蔵庫から注射を出しておく。すぐには注射できないからだ。30分くらい待たないといけない。
その間に 洗濯するものとしないものに分け、干す。暖房の設定。カーテンを引き、夜の気配が部屋に漂い始める。温泉に行く前に夕食の準備はすませていたから大丈夫。
明日は母のところの燃えるゴミだ。大きなゴミ袋にたまったものをよっこしょと出してくる。玄関先に置く。母はもうゴミ出しなどできなくなった。ゴミ出しもわたしの仕事の一つだ。
さて、あれこれやって さぁって帰ろうかと荷物を持って車に行った。あれ?キーがささっていない。
・・・そうっか。今日は注射の日だから 長くなると思ってキーを抜いたんだったな。
いったんかけた家の鍵をはずし 中に入っていく。
「母さん 鍵見なかった?」
「ん?お前 鍵失くしたのか?」
「なんかポケットに入っていないのよ。だからここかなぁって。」
それから探した 探した。あっちこっちと。ダウンのポケットから落ちたんじゃないかとか、風呂道具じゃないかとか。
最後には さっきまとめて玄関に置いたゴミ袋の中に落ちたんじゃないかって。
ゴミ袋?
そう言われて なんだかその気になって。
ゴミ袋の中を探した 探した。
でも なかった・・・いつもはキーを差し込んでいたので 今日もキーを差したままだったのか?もしかして。誰かがキーを抜きとっていったのか?(一体誰が抜き取るというのだろう、目の前の車から)
そんな邪悪?な考えが沸々と浮かんできたり、自分のしたことを考える余裕が全くなくなっていた。
暗くなっていた家の前の小路を懐中電灯を照らしながら 鍵が落ちていないかと探してみた。無い。もう一度 家の中を探そう。
母が
「こういうときは 自分のした行動をなぞってみるのが一番だ」
と言った。そこで 玄関から入ってきてからのことを振り返ってみた。その都度 その場所でそのものを確認。
温泉道具を再確認しようと思ったら 母が
「道具が入っている袋じゃなくて その袋を入れている鞄を見たら?」
というので、鞄から道具の入っているグレーの袋を持ちあげた。持ちあげた後の鞄の底、なんと 底にそれはあるではないか!
荷物がたくさんあったので キーを持ちながら荷物を持っているときにすべって落ちてしまったのだ。しかもちょうど袋と鞄の隙間からストンと落ちてしまい 上からは見えない状態になっていたのだ。
すみずみまで探すというのは こういうことなのだなぁ。見えるところだけしか見ていなかった。
見つかったときには 母に
「ありがたや 母さんさまさま!!」
と拝みました。
それにしても温泉で出会ったあの方の心境を その日のうちに味わうとは・・・鍵騒動ですっかり帰宅が遅くなったわたしでしたとさ♪
母をつれて いつもの温泉に行った。脱衣所に入るとなんだか雰囲気が違う。何?
どうやら鍵とバッグが見つからないお客様がいたらしい。スタッフとお客様がふたりで脱衣所をあちこち探し回っている。
わたしたちは気にしながらも 服を脱いで温泉に入っていった。しばらくするとスタッフが温泉のドアを開けて
「8番か9番の鍵を持っている方いませんか?」
と言うのが聞こえた。荷物を鍵のかかった扉に入れておく人もいる。わたしたちはそういう荷物は温泉には運び込まないので関係ないけど、誰か当てはまる方がいるのかしら?
なにげなく温泉の中をぐるりと見回すと 他の方も同じ思いだったらしく わたしと目が合った。ふたりの目は〈見つかるといいですねぇ〉といった感じで交差した。
母と一体どこにいっちゃったんだろうっとしばらく話していたが、その後もしばらくスタッフが温泉を出たり入ったりしたので 見つかっていなかったのだろう。母となんでもない話をあれこれしながら体を洗ったり 髪を洗ったり・・・サウナに入ったり。
そんなこんなしているうちに 誰かが〈見つかったらしいよ〉と話してくれた。温泉内にホッとした雰囲気が漂った。
自分の持っている鍵を貸してくださいと言われたら 誰だっていい気分はしないもの。貸した方がひとりいたかなぁ。結局 その方の持ちモノが入っているだけだったらしいけど(当たり前ですが、失くした方は動転していて それどころじゃなかったのでしょうね)
予想もしないことが起きると 動転してしまい、あれこれ悪いことを考えてしまうのが普通だと思う。そこで落ち着いて考えることができればいいのだけどね。帰りがけに母に
「さっき鍵が無いって話しを聞いて 前にスーパーで鍵を失くしたって思ってスタッフの人が親切に探してくれたときのことを思いだしていたよ。」
「見つかったのかい?」
「うん・・・ポケットの中に入っていた・・・」
「はあ?お前は・・・(絶句)」
きっと 今日のあの方もその類じゃなかったかなぁと運転しながら思っていた。
昨日は 温泉で安売りしていたジュースを5本も買ってきたので 車を降りたときには両手に荷物がたくさんあって、しかも母の家の鍵も持っていた。鍵を開けて中に入り、月曜日なので急いで母の注射の準備をしなくちゃとばかり ずんずん中に入って行った。
まずはすぐに冷蔵庫から注射を出しておく。すぐには注射できないからだ。30分くらい待たないといけない。
その間に 洗濯するものとしないものに分け、干す。暖房の設定。カーテンを引き、夜の気配が部屋に漂い始める。温泉に行く前に夕食の準備はすませていたから大丈夫。
明日は母のところの燃えるゴミだ。大きなゴミ袋にたまったものをよっこしょと出してくる。玄関先に置く。母はもうゴミ出しなどできなくなった。ゴミ出しもわたしの仕事の一つだ。
さて、あれこれやって さぁって帰ろうかと荷物を持って車に行った。あれ?キーがささっていない。
・・・そうっか。今日は注射の日だから 長くなると思ってキーを抜いたんだったな。
いったんかけた家の鍵をはずし 中に入っていく。
「母さん 鍵見なかった?」
「ん?お前 鍵失くしたのか?」
「なんかポケットに入っていないのよ。だからここかなぁって。」
それから探した 探した。あっちこっちと。ダウンのポケットから落ちたんじゃないかとか、風呂道具じゃないかとか。
最後には さっきまとめて玄関に置いたゴミ袋の中に落ちたんじゃないかって。
ゴミ袋?
そう言われて なんだかその気になって。
ゴミ袋の中を探した 探した。
でも なかった・・・いつもはキーを差し込んでいたので 今日もキーを差したままだったのか?もしかして。誰かがキーを抜きとっていったのか?(一体誰が抜き取るというのだろう、目の前の車から)
そんな邪悪?な考えが沸々と浮かんできたり、自分のしたことを考える余裕が全くなくなっていた。
暗くなっていた家の前の小路を懐中電灯を照らしながら 鍵が落ちていないかと探してみた。無い。もう一度 家の中を探そう。
母が
「こういうときは 自分のした行動をなぞってみるのが一番だ」
と言った。そこで 玄関から入ってきてからのことを振り返ってみた。その都度 その場所でそのものを確認。
温泉道具を再確認しようと思ったら 母が
「道具が入っている袋じゃなくて その袋を入れている鞄を見たら?」
というので、鞄から道具の入っているグレーの袋を持ちあげた。持ちあげた後の鞄の底、なんと 底にそれはあるではないか!
荷物がたくさんあったので キーを持ちながら荷物を持っているときにすべって落ちてしまったのだ。しかもちょうど袋と鞄の隙間からストンと落ちてしまい 上からは見えない状態になっていたのだ。
すみずみまで探すというのは こういうことなのだなぁ。見えるところだけしか見ていなかった。
見つかったときには 母に
「ありがたや 母さんさまさま!!」
と拝みました。
それにしても温泉で出会ったあの方の心境を その日のうちに味わうとは・・・鍵騒動ですっかり帰宅が遅くなったわたしでしたとさ♪